★正夢☆



朝目が覚めた。
エンジェルアイランドは今日も晴れ。

皆晴れ晴れしい朝を迎えている様子だ。

小鳥のさえずりも聞こえてくる。


しかし彼は不機嫌だった。

小鳥のさえずりさえ、苛立たしくて仕方がなかった。

勿論日差しが嫌だから というのもあるのだが、今日はいつも以上にイライラする。

「何で覚めちまうんだよ‥。」

そういってボヤく彼はその場で胡座をかいた。

ピンと立っているはずの赤い尻尾が今日は垂れていた。

ボヤいているのはマスターエメラルドの御曹司、ナックルズである。


覚めたくなかった

覚めなければもっとアイツと一緒にいられたのに‥

生意気なくせにどっか優しくて

文句ばっか言うくせに本当は全部知ってるアイツに‥

夢の中ではうまく話せたんだ。
俺の気持ちを言葉に出来た。

夢の中でアイツは笑ってだけど‥ 俺の事、ちょっとは考えたらしく、そん時だけは
俺に対して素直で居てくれた。

‥嬉しくて アイツの手 もう一度握ろうとした。

でも

目が覚めた。

「夢って結構はかねぇもんだな」
彼は何となく呟いて溜め息をついた。

その時後ろで音がした。

地面に何かが弾けた様な音。

細い‥何かヒールの様な‥


‥‥?


「何溜め息付いてんのよ。」

生意気口調が後ろから飛んできた。

「っっな!?‥え?あぁ」

自分でも恥ずかしくなる様な素っ頓狂な声。
彼女が笑う。

そう、彼女こそ
彼の夢のヒロイン。ルージュであった。

彼女の笑みを見るとつい夢の事を思い出してしまい、顔が火照る。
「な、何か用かよ!」一生懸命強がってみるものの、言葉に躓く。
このタイミングで現れるては
正直以外だ。

「別に?何か気になったから来てみただけ」
気になったら‥
その言葉にまた顔が赤くなるのがわかった。
そしてピンク色の胸の部分のハートが
太陽の光で仄かに光っているのに彼は気が付いた。

あれってやっぱりわざとなのか‥?
色々計算してんのか‥ピンクって光ると薄くなるんだょな
‥‥。





「‥‥。」
「ちょ‥ちょっと?アンタどこ見てんのよ!」
彼女の言われ、初めて見つめていた事に彼は気がつく。

「べ‥別に何でもねぇよ!」

「何でもなくないでしょ!本当にいやらしぃんだからっ‥」

「んだと!卑しいのはそっちだろ!」

「はぁ?アンタ頭大丈夫??見てたのはそっちじゃない!信じらんない!
謝りなさいよレディに」

彼は一瞬とまり
そして何かを考えた。
「‥‥‥。‥‥‥悪かった」

いつもなら噛みついてくるはずの彼なのだが予想以外の展開に彼女は少し戸惑った。

「‥別にいいわょ。許してあげる‥」

適当に流す彼女の横顔を見つつ、彼は呟く

「‥‥‥なぁ」

縋るような話し方に彼女はまた少し困惑した

「‥何よ?」




「‥お前、今日は帰るな」


「‥‥‥ぇ?」


別に変な奴と思われてもいいと思った

夢を信じてみたかったのさ

可能性が0に近くても
諦めるのは俺らしくねぇし






大分間があった

彼は下を向いて待ち続けた



年上の女に、俺は何を言っているんだか‥

エミーみたいに無邪気じゃねぇし、クリームみたいな可愛さもなかった。

でも、俺は‥






そして彼女は少し笑った。
「いいゎ。ついて来れるならね。」




夢ってのは
結構はかねぇもんだけど‥

マスターエメラルドに似て
何かパワーのあるものかもしれない。

それは本当は夢の力でも何でもなくて


愛なのかもしれない。

★end☆



―――――
ごめんね;
初心者です;;

どうか暖かく見守ってやって下さい

最後まで付き合ってくれてありがとっ!