ルージュがいじってるケイタイデンワを、ナックルズはいっつも見てた。

ナックルズっていうのは、思ってる事を隠せない。だから、ルージュはすぐ気付いた。

気付いてたけど、知らん顔してた。



ある日、ルージュは街でケイタイデンワを買った。

少し悪戯してやろうと、可愛い包装紙と可愛いリボンも買ってきて、ケイタイデンワを丁寧に包装した。



「はい、プレゼント。」

エメラルドの祭壇から少し離れた木の下で、昼寝をしてたナックルズにそれを渡した。

可愛い包装紙に可愛いリボンなんか巻かれてて、ナックルズは顔が赤くなった。

「何、コレ。」

「プレゼント。」

「じゃなくて」

「アンタが今一番欲しいものよ。」

ナックルズはリボンをほどき、包装紙を(セロテープで破れないように)丁寧に開けた。

「んなっ」

「今一番欲しいものでしょ?」

ナックルズの目はケイタイデンワとルージュを行ったり来たり。

自分の思ってた事がばれて、もっと顔が赤くなった。

「い…いらねぇよっ」

何でか、ムキになって今の気持ちと正反対の事を言ってしまう。

「あらそう」

ルージュはケイタイデンワをひったくった。

「いらないならしょうがないわね。アタシのケイタイも古いし、コッチに変えようかしら?」

ひったくられた時に「あ」なんて間抜けた声だして、がっかりしたみたいな顔になって、やっぱりナックルズは思ってる事を隠せない。

ふふ、とルージュは笑って、「使い方教えてあげるから、よく聞くのよ。」

ケイタイデンワをナックルズに渡した。



「名前…そう、R,O,U,G,E」

ナックルズは一生懸命説明を聞いた。

「このボタン押して、コレを選べば記号」

「えっと、ここ押せばいいのか?」

ぷち、ぷち、ぷち。

「メール打つときは、ココ押して…そう。それから」

「送、信」

ルージュのケイタイデンワが鳴った。

「うん、ちゃんと届いたわ」

「やった」

ついつい嬉しくてそんな事を言うナックルズ。

それから少し、遊びでメールを送受信し合った。



あっという間に周りはオレンジ色になった。

「せっかくアタシがプレゼントしたんだから、壊すんじゃないわよ。」

「…な、なぁ、これ変な風にいじったら壊れたりすんのか?」

「アンタだったらコワレそうねー」

「『だったら』ってなんだよ」

ふくれた顔を横目に、助走して島から飛び出した。

「じゃぁね」

いつもは見えなくなるまで見送るナックルズが、今日はすぐいなくなった。

メールの着信音が鳴った。

『また来い』

こらえきれなくて笑った。

『また来てあげる 可愛いハリモグラ君』

ハートとキスマークの絵文字入りのメールを送信した。



***
作:なぞのさいころ サイト:サイコロコロ
サイコロコロの方で密かに(?)公開した期間限定小説。
言い出しっぺもナニか書かなきゃと思ってコレを流用さしていただきました。
小説とは言いがたいですが、まぁ鼻で軽くあしらってやって下さい。ふふんと。
それにしても絵が痛すぎです。ヘタクソ…;;

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