僕の中で僕は彼女と会っていた
捨てたはずの彼女への愛情を抱いた僕は
会話に既視感を覚えつつ
二人だけの時間を幸せに思った
気づくと辺りは薄暗い洞窟になっていた
彼女と別れると僕は高い岩から
底を流れる浅い河川の中州へ飛び降りた
すると中国人の剥製が横たわっていた
着地の際にぶつかってしまったが
生きていなかったので良しとした
そこから先は覚えていない
覚醒率10%のまどろみに
心地よく溺れていた
そういえば加湿器の水がそろそろ無くなる
だが起きあがる決め手にはならず
夢の中の彼女はどこへ行ってしまったのか
今から起きて追いかければ間に合うのではないか
そしてそのままさらってしまおうか
そんな無駄を思考しつつ
覚醒率は下がっていった