中編「三陸海岸の旅」では、 8月2日(土)に盛岡(岩手県)の実家を出発し、 三陸の田野畑村(岩手県)で1泊して、 翌日に盛岡(岩手県)の実家に戻ります。 この中編は、実家のメンバーも加わり、大人数の旅です。
初日の予定は、盛岡の実家を車で出発し、 国道106号線をひたすら東に向かって宮古で浄土ヶ浜を観光し、 その後、海沿いの国道45号線を北上して、 田野畑村で一泊するというものです。
移動距離は大したことないのですが、山道が多いし、 色々な道の駅に立ち寄りながら行きたいので、 1日かかるだろうとみました。
宮古までの国道106号線では、 道の駅などで3箇所ほど途中立ち寄りながら行きました。 中心街に大漁旗がはためく宮古市街まで、 2時間強だったでしょうか。 市街地を抜けて海に向かうと、浄土ヶ浜はもうすぐです。 浄土ヶ浜は、「極楽浄土のように美しい海岸」というような 意味だと思います。誰が見てきたのか知りませんが。
浄土ヶ浜では、観光遊覧船に乗ることにしました。 船に乗って、海のほうから美しい海岸を見ようということです。 しかし、この遊覧船には、景色以外の観光目玉があります。 そして、我々にとっては、むしろそちらがメインといっても、 過言ではありません。 それは何かと言うと、 ウミネコへの餌付け です。 船に乗り込むと、ウミネコの餌となるパンを売っています。
船が動き始めると、パンを目当ての多数のウミネコも、 船を取り囲むように飛び交います。 最初は、船室の椅子に座り、 パンをちぎって窓から外に投げていました。 ウミネコは、そのパンの小片を上空でうまくキャッチします。 なかなかの芸です。 1羽、間違って窓の中まで突っ込んで来たのがいましたが、 本人(本鳥?)も間違ったと気づいたらしく、 慌てて外に逃げていきました。
壁と窓で守られた船室の後方は、壁がなく、 屋根と椅子とフェンスがあるだけです。 そちらのほうが、身近にウミネコが見られそうに思った (船室でも、1羽だけ身近に見られましたが...) ので、 新たなパンを買って船室を出てみることにしました。
パンを持って壁のない船の甲板に立つと、 船と平行に飛んでいる数羽のウミネコと、 2メートルくらいの距離で目が合います。 いや、目が合うというよりは、 ガンを付けられた という感じです。さらにいうと、 何モタモタしとるんじゃ、このど素人が! 早くパンを渡さんかい。このボケ! と、怒鳴られているような気分です。
しかし、ここでひるんでは負けです。 こちらは、エサをあげる側、 向こうはエサを乞う側です。 びびっているようでは、人類としての尊厳に関わります。 ここは、毅然とした態度で、エサをあげなければなりません。 片手にカメラ、片手にパンを持ち、 うみねこにパンを投げつけながら、必死でカメラを操作します。
そうこうするうちに、 徐々にうみねこの数が少なくなってきた気がします。 最初は、面白がって次々とパンをあげていた観光客も、 飽きてきてあまりあげなくなったためでしょう。 ウミネコと戦う、じゃなくて触れ合う遊覧船の旅もここまでです。
ところで、パンのあげ方ですが、 ちぎって投げる以外に、 実は丸ごと持って立つというやり方もあったようです。 そうすると、うみねこが一口分ずつかじり取っていくみたいです。 軍手でもないと、ちょっと不安ですが、 次回(あるのか?)はチャレンジしたいと思います。
遊覧船を降りて、浄土ヶ浜にある海の家を少し立派にしたような、 食堂兼お土産物屋で昼食にします。 船で浴びる海上の風は冷たく、身体がやや冷え気味なので、 熱いラーメンがうまいです。 食後は、お土産物屋コーナーを物色しますが、 な、な、な、なんと、ストーブに点火されています。 いくら冷夏とはいえ、多くの人が半袖の服装を選択する程度の陽気です。 たぶん、ムキになって海水浴をした人(浄土ヶ浜は海水浴場でもある)が、 後悔して暖を取るのに使うんでしょう。
昼食を終え、記念写真も撮り終えたら、 うみねことの戦いの熱気覚めやらぬ浄土ヶ浜を出発し、 国道45号線を北上します。
途中、潮吹岩という景勝地があるので、立ち寄ります。 潮吹岩とは、海水を噴き上げる(クジラの潮吹きみたいに) 岩のことです。岩に空いた穴に、波が押し寄せるために、 潮を噴き上げるらしいです。
四半世紀ほど前に、1度だけ来たことがあると思うのですが、 そのときのかすかな記憶では、確かに少しは潮を吹いていたと思います。 さて、今回ですが、全く何も音沙汰がありません。 そもそもどこが潮吹岩なのかよくわかりません。 ちゃっちゃと撤収することにしました。
ところで、宮古より北の三陸海岸沿いには、 三陸鉄道の北リアス線という路線があります。 駅舎や列車のデザインが独特で面白いというので、 列車好きの子供のために、 本日の宿泊場所付近にある駅に立ち寄って見ることにしました。
んで、その駅の名前ですが、 横文字交じりのせいか、岩手在住の実家の面々も今ひとつ覚えていません。 「カルボナーラ××」とか言っていますが、 それはスパゲティの名前ではないのか!?
正解は、「カルボナード島越駅」でした。 あとで、Webで検索してみたのですが、 カルボナードとは、宮沢賢治の童話に出てくる火山島の名前らしいです。 いずれにしても、パスタ屋のメニューとは関係ないようです。
駅で列車を見てから、この日の宿泊地に行きました。 島越駅の少し北の海沿いにある、田野畑村内のホテルです。
さて、田野畑村での一夜も明け、翌8月3日(日)になりました。 三陸沿岸を観光しながらさらに北上し、 盛岡の実家に戻る日です。 ただし、具体的にどこに立ち寄るかは、あまり考えていません。
懸命な読者の皆さんはそろそろお気づきだと思いますが、 今回の旅は、前編、中編、後編のいずれも、 あまり観光プランを考えていません。 行き当たりばったりの旅です。
ホテルの部屋の窓から外を見ると、 なかなか良い景色です。
まずは、三陸の自然の景色を見に行くことにしました。 この辺では、なんといっても北山崎が名所として有名です。 朝早いせいか、まだガラガラに空いていますが、 さすがに北山崎の駐車場は広いです。 車を降りて、舗装された歩道をしばらく歩くと展望台があります。
この写真は、第1展望台というところから撮りました。 駐車場から第1展望台までは、 ほとんど平坦といって良いほどの 傾斜の緩やかな舗装された歩道で行けます。 この先、遊歩道(舗装されていない山道)を下っていくと 第2、第3の展望台があり、さらに良い景色が見られるらしいですが、 子連れでは危ないので行きません。 第1展望台で見て写真を撮ったら帰ります。
それにしても、カレンダー的には真夏のはずなのに涼しいです。 北山崎の歩道の脇には、紫陽花が咲いています。
さて、朝ホテルを出る時点では、 北山崎を観光するところまでは決めていましたが、 その後は何も決めていません。 久慈か八戸まで北上してから盛岡に帰るかなー という感じです。
途中、野田というところにある道の駅に停まります。 ここは、車で行ったので「道の駅」と書いてしまいましたが、 三陸鉄道北リアス線の陸中野田駅も兼ねていますので、 単に「駅」で良かったようです。
北山崎にいた頃は天気が良かったのですが、 この辺から雨が降り出しました。 慌てて車に戻ってさらに国道45号線を北上し続けます。 しかし、天気はさらに悪くなってきます。 景色を堪能するとかいう以前の問題として、 屋外に出ること自体がツライという感じです。 雨が降るとは誰も思っていなかったので、 前日に盛岡を出る時点で、 ほとんど誰も傘を持ってきていません。
とりあえず、屋内系観光スポットということで、 久慈市郊外にある琥珀博物館を見学に行きます。 しかし、見学といっても、そう何時間もかかるわけではありません。 見学が終わっても、かなり強く雨が降っています。 これでは観光にならないので、盛岡に帰ることにしました。
南西方向に進路を変え、久慈から盛岡方面に行く国道281号を進みます。 途中、山形村にある道の駅に停まり、昼食にしました。 ここは、恐竜か怪獣かよく知りませんが、 なんかそういうものがシンボルになっているようです。
昼食後は、さらに盛岡に向かって、ひたすら走るだけです。 途中、夕食のおかずを求めて、 他の道の駅の停まったり、スーパーに立ち寄ったりします。 ウミネコとの戦いという、 かつてない盛り上がりを見せた三陸の旅でしたが、 最後は、普通の日曜日午後の「買い出し」になってしまいました。