平成14年7月30日(火)、 黒部ダムを見に行く日です。
ただし、黒部ダムまで自家用車で行くことはできません。 途中の扇沢というところから、トロリーバスに乗る必要があります。 黒部ダムを見るだけであれば、扇沢に駐車しておいて、 トロリーバスで往復するという手もあります。 しかし、黒部ダムから先、ケーブルカーやロープウェイなどを乗り継ぐと、 富山県側の立山駅まで抜けることができます。 そして、そういうニーズに応じて、扇沢から立山駅まで (あるいはその逆向きに)自家用車を回送してくれるサービスがあります。
てなわけで、今日は、扇沢から立山駅までを 公共交通機関を利用して山の景色を堪能し、 立山駅からは、回送してもらった車に乗って、 金沢市内の宿泊ホテルに行くというコースになります。 以下、交通手段ごとに順を追って整理します。
(1)大町温泉→扇沢駅 <自家用車>
大町アルペンラインという、木々の緑に囲まれた道路をひたすら進むだけです。 あまり「XX方面」系の道路標識がないので、 正しい道を走っているのかわからずに不安になるかもしれませんが、 一本道を道なりに進むだけですので、まぁ間違えないでしょう。
(2)扇沢駅→黒部ダム駅 <トロリーバス>
扇沢で自家用車回送の手続きを済ませて、 トロリーバスに乗りに行きます。 バス乗り場ですが、単なるバス停という感じではなくて、 立派な「駅」という感じの建物です。
トロリーバスは、だいたい30分間隔で発車するようです。 8時半発がちょうど出発したところでしたので、 9時ちょうど発のに乗ることになりました。 待合室で並んでいると、人がどんどん増えてきます。 こんなの絶対にバス1台に乗れるわけないと思っていたら、 9時に何台か同時にバスが出るようです。 とはいえ、立ち乗り客が出るくらいの混雑です。
扇沢の駅を出て、まもなくトンネルに入り、 後はずっとトンネルの中です。 黒部ダム工事のために作った、関電トンネルの中を走ります。 トロリーバスというのは、電車のように架線から電気を得て走る、 電気自動車です。排気ガスがなく、人や自然にやさしいバスという のがキャッチフレーズのようです。
所要時間は、約16分。 ほぼ予定通りで、地下鉄の駅のような黒部ダム駅に着きます。
(3)黒部ダム駅→黒部湖駅 <徒歩>
黒部ダム駅を降りると、道が二つに分かれています。
さて、展望台までは、ひたすら階段を登ります。 220段あるそうです。 そして、途中に「あと何段」という表記があります。
たぶん、一人で登っているのであれば、たいした 階段ではないはずです。 しかし、子供を抱いて登っているというのは、 ちょっと勝手が違います。徐々に足腰の動きを蝕んでいきます。 階段の途中のところどころに踊場があり、ベンチがあります。 しかし、さすがにこんなところまで来る人は、 元気な人が多いのか、ベンチを使う人はそんなに多くはありません。 若いのに情けねーな的な 視線を向けながら、元気に通り過ぎるおじさんを無視しながら、 ベンチで休みまくりです。
てな感じに、いろいろなものを失いながら、展望台に到着します。 展望台は想像していたよりも広くて、多くの人が写真を撮ったり、 湧き水を飲んだりしています。 下界はくそ暑い真夏ですが、ここから見る山々は、 ところどころ白く雪が残っていて別世界です。 気温はよくわかりませんが、たぶん少しは涼しいんだと思います。 しかし、運動(階段登頂)の後なので、体感的には想像以上に暑いです。
展望台からは、色々なものが見えますが、 黒部ダムを見に着たんだから、とにかく念願の黒部ダムを見ます。
さてこれからの順路を簡単に説明しますが、 上↑の写真を見たうえでご覧ください。
まず展望台から降ります。登り階段はトンネル内でしたが、 今度は、屋外にある別の階段で降ります。 下りは、「あと何段」の表記がないので段数はよくわかりませんが、 上りと同じくらいだと思います。 上の写真の外なので写っていませんが、 写真の左下のほうにお土産物などの売店があり、まずはそこまで降ります。 (おそらく、体力に自信がない方用の平坦コースを選んでいれば、 すぐにその売店に到着していたんだと思います)
そして、ダムの上を歩いて写真右上のほうに歩きます。 写真をよく見るとダムのうえに点々がありますが、これが人です。 ダム上の歩道は、写真右上の山にあるトンネルで終わっています。 このトンネルの中に、 我々の次の目的地である、ケーブルカーの黒部湖駅があります。
てなわけて、黒部湖駅に行くには、ダムの上を歩くことになりますが、 展望台からとはまた違った景色でなかなかのものです。
(4)黒部湖駅→黒部平駅 <ケーブルカー>
黒部湖駅から黒部平駅までは、ケーブルカーでトンネル内の急坂を登ります。 この急坂ですが、終始ほぼ一定角度になっており、 ケーブルカーは斜面の角度に合わせて平行四辺形になっています。(以下図解)
ケーブルカーは、だいたい20分間隔で運転しているようですが、 トロリーバスに比べるとかなり小さい感じがします。 こんなんで大勢の観光客がみんな乗り切れるのか?と心配だったんですが、 なんとか通勤電車並みに全員を詰め込んで、無事に発車しました。 仕事を忘れて癒しに来た山の中で、 通勤電車に押し込まれたダメージ は計り知れません。 唯一の救いは、黒部平駅までの所要時間が約5分と短いことです。
(5)黒部平駅→大観峰駅 <ロープウェイ>
黒部平駅で、ちょっと外の景色を見て見ます。 次の目的地である大観峰駅付近が見えます。
ロープウェイも約20分間隔で運転していますが、 やっぱりすし詰めです。 ケーブルカーと比べて、床面積が小さい気がします。 だから、ケーブルカーのように中途半端に座席がなくて、 全員立たされているのでしょう。
うまく窓際に立つことができたので、 残雪などの外の景色をじっくり見ることができました。 所要時間は、約7分です。
(6)大観峰駅→室堂駅 <トロリーバス>
再びトロリーバスです。 今度は、立山の下の「立山トンネル」の中を進みます。
同時に何台か発車する割には、 鮨詰めとは言いませんが、立ち乗りが出る程度には混んでいます。 大観峰駅では、 時刻表を見ずにチャッチャと乗ったので、 運転間隔はわかりませんが、 そんなに頻繁ではないだろうなという気がします。
室堂駅までは、約10分です。 室堂は、本コースの最高地点(手元の資料によると、標高2,450m)です。
(7)室堂駅→美女平駅 <バス>
室堂は、本コースの最高地点ですが、大きな駅で人もたくさんいます。 大きな売店、大きなレストラン、そしてホテルまであります。 まず、レストランで昼食をとり、バスの時間を確認しました。 運転時間は20分間隔で、ちょうどすぐに乗れそうなバスが来るところ でした。しかし、所要時間が約50分と長く、立ち乗りは嫌だったので、 あえて次のバスまで待つことにしました。 そして周辺を少しぶらついてみました。
普通の人であれば、ここまで来たら「みくりが池」くらいは見て行くのでは ないかと思いますが、子連れで山歩きは嫌だったので、どこにも行きません。 早々にバス乗り場に並びます。
バスは、普通の観光バスという感じで、 立ち乗りもなく全員ゆったりと座れています。 ところどころで車窓の景色についての説明があり、 それにあわせて一時停止や徐行運転しながら、 山をどんどん下って行きます。
(8)美女平駅→立山駅 <ケーブルカー>
美女平に着いたとたん、ケーブルカーの乗る順番を仕切るため、 整理券が配られています。順番に呼ぶから、 「時間までは改札に並ばずに、お土産物屋でも見ていろ」 という主旨のようです。 売店の外は展望台になっており、周囲の景色が見渡せますが、 すっかり良い景色は見慣れており、特別な感動もありません。
整理券の番号が良かったようで、 ケーブルカーでは座ることができました。 たったの約7分の所要時間とはいえ、 やっぱり楽できるほうがいいもんです。 車内は、普通の電車と同じように、 ボックス席と通路になっているのですが、 普通の電車と違って通路は階段になっています。 平行四辺形のケーブルカーらしい作りです。
(9)立山駅→金沢市内 <自家用車>
朝の8時半くらいにマイカー回送サービスに申し込んだ際に、 車の受け取り時刻を立山駅で14時にお願いしておきました。 どうも他の人は、山歩き等をするため、 もっとゆっくりで良いという場合が多いらしいです。 でも我々は、サクサク見て回る予定だったので、 いちおう一番早い時間をお願いしておきました。
さて、我々が立山駅に着いたのは、 14時前というより、13時過ぎというくらいの時間でした。 さすがにサクサク見て回りすぎたようですが、 すでに私の車は、立山駅前に到着していました。
立山駅から金沢市内までは、 北陸自動車道を使えば、車で1時間半くらいの距離だと思います。 我々は、高速のSAでゆっくり休んだりしながら行きましたが、 それでも宿泊するホテルには、 予想よりもかなり早く(たしか3時半くらいに)到着しました。 そのホテルは、兼六園まで歩いて行けなくもないというような場所にあり、 実際、チェックインのときに兼六園は夕方?時(忘れた)まで開いていると、 「こんなに早く到着したんだから、とうぜんこれから出かけるんでしょ?」 という無言のプレッシャーを感じさせながら教えて頂きました。 しかし、黒部ダム階段子連れ登山で、本日の体力を使いきってしまったため、 ぜんぜん出かける気はありません。 夕方まで体をゆっくり休めてから、夕食だけを食べに出かけました。