魚群探知機について
 
魚探の一番初めはブラウン管式のヤマハYFV-630V。200kHzの単周波でしたが扱い易く表示もいい感じで、水中のロープも判別が出来ていました。信号はデジタル化しているのですが、液晶のようにドットが気にならないブラウン管の良さは今でも値打ちがあるような気がします。ただしGPSが付いていませんでしたのですぐにICOMのFP-560を購入。この選択基準は単純に安かったと言うことだけです。GPSのメリットは絶大でしたが魚探は同レベルだったでしょうか。そしてヤマハのYF-82NFDですが、HONDEXの製品で本家ではHE-6801です。歳とともに視力が低下してきましたので大きい画面が必要になってきた訳です。しかしこの程度では焼け石に水で、DVIケーブルの出力をパソコン用の15インチモニターに接続して、ついでにテレビも見れるようにして使っています。購入するときはNMEAに水深データが出力されるだろうと思い込んでいましたが、実際は出ておらず魚探の性能も期待したほどでなくてガッカリでした。

何とかもっと性能の良い魚探をと思いつつ、プロ仕様の魚探専用機を考えていましたところ最新鋭の魚探が発売されました。宣伝文句によると超音波の高速発射とハイパワー、最高レベルの明るさと高解像度縦長液晶、極めつけはイカの反応も出るということです。しかも各メーカーの写真に単体魚の反応が弓形に写っていますが、今までどの魚探でも出たことはありません。販売店に問い合わせをすると200kHzでも本当に出ますということと、インターネットで検索しても海外での評価も出ていましたので即購入しました。

今まで船底に発振器を付けていましたが、アンテナの前に障害物があっては性能が低下するのは必然だと思い、リスクを承知で船外に付けました。お陰で温度センサーも速度センサーも同時に付きました。液晶の大きさはこれだけの違いがあります。パソコン用の15インチのモニターですから当然ですが、純正の8インチモニターと比べてもかなり小さく感じます。7インチといっても横長のモニターなので余計差があるようです。ちなみにセールスポイントの1つである600カンデラの明るさはさしてメリットなしですわ。

しかし大きな売りになっている超音波の高速発射についてはどうなんでしょうか。なるほどAスコープで見たり音を聞いてみると、今までのものより回数が多いようですが、毎秒50回と言うのは超浅場の特殊な場合、あるいは計算上のものかもです。深度が30mだとたいして回数が多いような気もしません。そして現段階で一番減滅したのが次の写真です。縦800ドットの繊細画面のはずが、水深を10mより浅くすると反応がモザイク状になってしまいます。

YF-82のセンサーは船の中央付近の船底に取り付けており位置が2m程離れているのですがほぼ同程度の反応です。船底に発振子を付けても大きな損失はないようですわ。6600は微妙な表示も出ていますがコントラストで言うならYF-82の方が見やすいです。これは双方とも反射信号の強度を16段階で捉えているのですが、6600は各レベルに色を割り当てているけれどYF-82の方は幾つかのレベルを同じ色にして丸めているためだと思います。つまり細かさより見易さを優先していると思われます。以前のFP-560は8段階でしたがさほど情報量が少ないという感じはしません。

感度の調整にもよるのでしょうが反応に違いがある場合があります。同じ海の中なのに、反応が同じだったり違ったりすることが納得いきません。そして、6600は発振パルスの強度やパルス長の設定が出来たり、他にも色々な設定が出来るのですが、どのように調整しても問題の弓形の反応は見ることが出来ませんでした。実際に釣れた小魚をセンサーの下で泳がすようなこともして見ましたが写らないんです。まあ1m位の魚だと出るのかもですが、こちらの海には滅多に泳いでいません。
 
GPSについて見てみますと、地図の細かさは6600のC-MAPが勝っているようですが、私の港の形状が正確ではありません。それにポイントの記号がたくさんあるのですが使えるのは僅かで、しかもその記号が地図上で大きすぎる表示になります。驚いたのは、ほとんど同じ衛星からの信号で位置を特定しているのだから同じ値が出るものと思っていましたら、3台とも違った数値になります。6600のズレが大きいようですが、アンテナをセンサーの真上と言う事で船尾に付けたため傾いていることが原因なんでしょうか。測地系をTOKYOに揃えましたが、この補正アルゴリズムの違いで誤差が出るのでしょうかね。
 
本日船尾のセンサーにサビキが絡まるトラブルがありました。今までこんなことは全く意識なかったですが今後気を付けますわ。それに30mの水深で魚探の反応を見ていますと表示が細かいことを実感できました。やはり超音波の高速発射の効果なんでしょうか。もう少し使って見て気づいたことを追加していきます。

本日重大なことに気づきました。浅場ではモザイク状になってしまうことに加えて魚探画面のスクロールスピードを高速にしても同様のようです。どうも超音波の反射をスクロールスピードに比例してサンプリングしてないような感じ。一定の間隔でサンプリングしているため、スクロールスピードを上げると横方向がモザイク状となってしまいます。加えて、本来Aスコープはリアルタイムで反射波を表示して欲しいのですが、これもサンプリングしたもののみを表示しているようです。これでは高速発射をしている意味がなくなってしまうと思うのですが、私のところに来た製品が不良品なんだろうか。

そこでちょっと考えて勘違いに気づきました。画面の画素数は800*480です。従って魚探画面にして横方向にスクロールさせると過去480回分の反射データを表示できます。もし毎秒10回の発射があるなら48秒分の過去のデータが表示されていることになります。2周波だと交互に発射するそうですので2画面表示にしても同じだけ掛かることになります。これではサンプリングする必要はなく全て表示させても遅すぎるぐらいですね。まして水深が深くなって毎秒2回になると5倍ですので過去4分間のデータが画面に表示されることになります。
ちなみにFP-560は320*234で同じく縦、YF-82は640*480の横で通常1/3程度を魚探に分割してさらに2周波で使っています。もし超音波の発射回数が同じなら560の2倍、82の6倍分を表示していることになります。ただしそんな過去のデータは意味がありませんが。

設定値は停止と低、中、高に超高速がありますが、中が1:1のようです。低ではサンプリングして表示されるが、高とか超高速の場合は1回のデータを横方向に2,3ドット分1度に描画するために特に水深が浅いときは本当のモザイク状に見えるということでしょう。この高速というのは横方向の拡大設定のようです。細かな表示が必要ならスクロールスピードは中速に決まりです。
またまた重大なことを発見しました。その前にmenuキーを押したまま電源を入れるとハードウェアの点検メニューが出ますわ。ついでにdisplayの場合は初期設定メニューが出ます。地図画面に妙な線が入っていましたのでここでラムクリアをして消しました。この感じでは直接データを入力できれば作図も出来そうです。さて本題ですが、改めて魚探のデモ画面を見ますとすごい速さでスクロールしています。これだと宣伝通りに超音波を高速で発射してることになります。簡単に調べてみますと各水深において次の様な結果でした。測定法はマニュアルで水深を固定し画面の右から左までスクロールする時間を測り、横方向の画素数で割っただけですので実際の水深になったときは別のアルゴリズムが働くかもですが。

100mで毎秒2回、40mで6回、20mなら10回、そして10mなら19回、5mで26回でした。比較のためYF-82の方はそれぞれ3,8,13,16,16回となりました。やはり最初の感じ通り浅いときは高速ですが、深いと逆の結果になりました。またYF-82は10m以内は同じ発射回数と言うのがおまけで分かりました。デモ画面では水深が変わりますので計測は出来ませんが、見た感じ明らかに高速です。これが正しい結果なのであれば、あまり高速発射を売りにするのは問題があるような気もしますね。
今回は決定的なことを記入します。購入を考えている方はストップして下さい。この商品は不良品の可能性があります。内容は液晶画面のバックライトが不安定になってちらつきます。電源を入れたときは安定していますが、1時間程度で本体が熱をもってくるとこの現象が現れます。最初は送られてきた機械のみの問題かと思ったのですが、販売店で交換してもらったものも同じ状態でした。ちらつきと言っても僅かですし気づかないユーザーも居るかもです。私も最初は錯覚かなと思った位です。でも、感じとして発熱を抑えるために保護回路が働いているような気がします。直射日光があたらずに外気温が下がると正常になりますので。

さらに販売店への再三の確認メールが滞っているのも問題ありです。海外でのエージングも行われているので、こんな状態の製品だともっとクレームが出る筈なんですがおかしいですね。まあ、画面照度を1段レベルを下げておればちらつきは出ませんし、それでもマリーナの方から見やすい画面だと言ってもらってますがね。この件について本社の方にも慣れない英語でメールを入れました。当初電源関係が問題とのことでしたが、現在日本の販売店で検査を行って頂いています。

水深が10mより浅い時に画面がモザイク状になることについて考えました。もし超音波の発射回数が1秒間に20回だとすると1回あたり50msで、その内の半分を計測に使っていると仮定すると25msを800の4ビットデータに変換しているはずです。つまりA/Dコンバーターのサンプリング速度は約30μsとなります。この程度だと安価なパーツで十分対応できるはずです。とすればCPUの処理速度の方がネックになっているのかもです。まあ様々な仕事をしながらそんな間隔でポートを調べてVRAMの書き換えをするのはハードですからね。YF-82もこの辺りが影響しているのかもです。パソコンなどはCPUやクロックを表示していますが、魚探はどの程度の性能なんでしょうか。
Trackfish6600は残念ながらメーカーからの回答がないまま、最終的に返品処置をしました。