第33話 ウェンディ(11歳 オス) |
カイは誉子に言う泣いたら誰かが助けてくれるのかと。しかし誉子はただ泣き言を言うだけ。雨宮が出ることで今までの自分のやってきたことが無駄になる。どれだけ自分が一生懸命やってきたか知りもせずに無責任なことを言うな。カイはそんな誉子に帰れと言うがそれはできないと言われる。教師のために、家族のためにそれはできないと言う。 カイはそんな誉子にお前の敵はおまえ自身だという。そしてそれと同時に今まで阿字野が言ってきたことに意味もわかる。そしてカイは阿字野に教えてもらった落ち着く方法を誉子に教える。一番好きな場所を思い出せと。 誉子はそれはトイレだと言い駆け込むがすぐに出てくる。そして犬のウェンディが必要だと言いカイを一緒にトイレに連れ込み、普段の自分を取り戻す。 |
第34話 31番雨宮修平 |
雨宮の番が回ってきた。そしてちょうどその頃雨宮の父も会場にやってくる。 そして雨宮の演奏が始まる。 それはみんなが聞きほれるピアノ。 それは一つのミスもない完璧なピアノ。 雨宮自身もそう感じるピアノ。 |
第35話 33番丸山誉子 |
会場から沸き起こる拍手。完璧なピアノに対する拍手。 そして次は誉子の版。少し落ち着きを取り戻した誉子。ピアノの前でもう一度ウェンディの姿を思い浮かべる。 そして誉子の演奏が始まる。 それは誉子のピアノ。 それは誉子が一番のピアノ。 それは誉子にとって完璧なピアノ。 演奏が終わると会場から沸き起こる拍手。誉子は袖に入るとカイに飛びつきありがとうと言う。 |
第36話 37番一ノ瀬海 |
カイは誉子に言った言葉がそのまま自分に帰ってきていることに気づく。そして一生懸命イメージつくりに勤める 会場では怜子が阿字野に昔の話しをしている。運動会でうれしさのあまり涙でカイの活躍する姿を見れなかったと。しかし阿字野は、ピアノは聴くものだからいくら涙を流しても大丈夫だと怜子に言う。そして、阿字野は心の中でカイを励ます。 カイの版が回ってきた。雨宮の父がコンクールに来た理由も阿字野の初めての弟子、阿字野を音楽の瀬かに呼び戻したカイを見るためだった。 そしてカイは袖から出る途中ピアノの前で立ち止まる。 |
第37話 37番一ノ瀬海A |
カイは思いなおしてピアノへ向かう。そしてカイの演奏が始まる。 それはまるで阿字野のピアノ。 それは雨宮の父が追いつけなかった阿字野のピアノ。 それは完璧な演奏をした雨宮を驚嘆たらしめるピアノ。 それはみんなが聞きほれるピアノ。 そして、それは阿字野ががっかりするピアノ。 カイも自分のピアノでないことに気づく。そして演奏がとまる。曲が終わっていないのに演奏がとまる。 そしてカイは開き直りネクタイと、靴を脱ぎ自分のピアノを弾くことをはじめる。 |
第38話 37番一ノ瀬海B |
そのピアノはカイのピアノ。 そのピアノは”森のピアノ”。 そのピアノは客席を樹木に変えるピアノ。 そのピアノは会場をピアノの森にするピアノ。 はじめて雨宮がカイのピアノを聞いた時に味わった感動。その感動が会場全てに伝わる。 そして会場はスタンディング・オベーション。 雨宮は自分がカイには絶対勝てない。カイのピアノを最初に聞いた時から分かっていたことに気づく。 |
第39話 ピアノ弾きの幸せ |
スタンディング・オベーションの嵐。アンコールの声の嵐。カイの初めての経験。 カイがはじめて他人から必要とされている知る瞬間。 カイがはじめて他人に感動を与えたと知る瞬間。 カイが始めて他人から注目された知る瞬間。 カイが絶対一生忘れないと誓う瞬間。 ロビーに出てきたカイに誉子が抱きついて感動を伝える。そして本選に一緒に行こうと誓う。 誉子から本選の曲が「子犬のワルツ」だと聴く。そしてカイはとても弾きたくなる。 カイが始めて人前でピアノを弾きたいと思う瞬間。 |
第40話 一番のピアノ |
審査員室では予選通過者を決めていた。そして決まりかけた時に審査員の一人から意見が出た。カイが落ちるのはおかしいと。しかし、権威の塊の世界では会の音楽は認められなかった。 審査結果が会場に貼られる時。雨宮、誉子の名はあるがカイの名はない。 カイは自分が予選を落ちたことを知る。そして、「子犬のワルツ」を弾けないことを知る。 誉子は結果を信じられないでいる。落ち込むカイに声をかける誉子。「ウェンディとトイレの神様に誓ってあなたのピアノが一番だった」と。 雨宮も母親から結果を聞き信じられないでいる。しかし父は見抜いていた。今の日本ではカイのピアノは認められないと。 阿字野は自分の誤算を悔やむ。元々出るだけでいいと思い、点を採ることを考えていなかったことを。そしてその結果カイが予想以上に悲しんでいることを。 外はいつの間にか雨が降っていた。カイは落ち込んで雨の中外に出る。 そんなカイを見て阿字野は怜子に提案する。カイを世界に出してみないかと。 |