第8話 サイコロステーキ |
雨宮の母が言うカイのことを気にする阿字野。 阿字野の自分のピアノの教師になってくれるかどうか心配している反面、カイのことを気にする雨宮。 そして、大嫌いなサイコロステーキを居残りで教師に食べるように指示されるが、食べられないでいるカイ。キンピラがカイをからかっていると、教師に漢字の書き取りをさせられる。 阿字野は雨宮の母が言っていることを信じられずにいる。カイが阿字野のアレンジした曲をそっくりに弾いたこと。専門家にも難しいピアノの調律ミスを簡単に言い当てたこと。 雨宮の母は全て阿字野がカイに教え込んだと思っているが、阿字野は否定する。そして、これからも誰にも教えないと言いきる。 仕方なく帰る雨宮の母だが、阿字野を息子の教師にすることをあきらめられないでいる。阿字野は母親が言ったこと、昔自分のミスを指摘したことと、もしかしたらカイは自分と同じ種類の人間ではないかと思い始める。 書き取りをしているキンピラ。カイにインバイといいたいが、言ってしまうとまた書き取りをやらされる。そこへカイがサイコロステーキを食べてくれたら言ってもいいと提案する。キンピラはその提案を呑みサイコロステーキを食べるが、カイはその食べてる音からキンピラに虫歯があることを指摘する。そしてそのまま喧嘩へ。 そこへ教師がやってきてカイとキンピラを怒ろうとすると、カイはそのまま逃げてしまう。 そのやり取りを教室外で見ていた雨宮。そこへ阿字野がやってきて雨宮に声をかける。 |
第9話 森へ |
カイはそのまま外へ走って逃げてしまう。教師はカイの足の速さについていけずあきらめる。 阿字野は雨宮にカイの事を聞く。そして、カイが”森のピアノ”を弾いたことを聞く。阿字野はカイが森のピアノを弾いたことを信じられずにいる。しかし雨宮は懸命にその時のことを説明する。そして、それがどれだけ雨宮の心を動かしたかも。 阿字野は自分の部屋で悩む。雨宮の言葉がいつまでも心を捉えている。そして森へ行くことを決める。 その頃カイは怜子を待つ客に喧嘩を吹っかけられる。懸命に抵抗するカイ。それを押さえ込む大人たち。ちょうど阿字野が森に一歩足を踏み入れた時に。 |
第10話 阿字野壮介の栄光と喪失 |
森の中を”森のピアノ”へ向かう阿字野。怜子の客ともめるカイ。 阿字野は森の中を歩いてる間過去の栄光を思い出してしまう。”森のピアノ”は昔阿字野のピアノだった。阿字野にしか弾けないピアノだった。阿字野のためのピアノだった。あの事故があるまでは。 阿字野は思う、あの時に自分の半分が死んだことを。 病院を退院した阿字野は自分にしか弾けないピアノをタダ同然で売ってしまう。大学の講師として生きるが、感動と言う言葉を忘れてしまった。そして、事故から10年、名誉教授を解任されてしまう。 |
第11話 Calling |
ピアノ音世界から離れることを決める阿字野だが、最後にもう一度自分のピアノを見たくなった。ピアノの持ち主BAR”21Century”に行くが、現在は近くのキャバレー”バニー”にあることを聞く。しかし、そのキャバレーはつぶれていた。 町の人間からピアノは森の中にあることを聞き、阿字野は森の中へと向かう。そこにあったのは音を失ったピアノ。死んでしまったピアノ。阿字野はあの事故で何故自分が死ぬことができなかったのかを悔やむ。 その後阿字野は森の近くの小学校教員となる。自分ではあきらめていると思っているが、何かが阿字野を自分のピアノのそばに引き止める。 阿字野は森の中を歩くスピードがだんだん早くなる。そして、もう一度忘れかけている自分のピアノのノ音を聞かせてもらいたいと思う。いつの間にかカイにピアノを弾いてくれるように心から懇願している。 その頃カイは怜子の客にカマを掘られそうになる寸前で怜子に助けられる。カイは悔しさのあまり”森のピアノ”へと走っていく。 阿字野は途中にある落とし穴にはまり、自分がやってることのおろかさに気づく。そしてそこに聞こえてくるピアノの音。聞こえるはずのないピアノの音が今阿字野の耳に聞こえている。 |
第12話 茶色の小瓶 |
阿字野はピアノの音が聞こえる方に向かっていく。カイは悔しさのあまりにメチャクチャにピアノを弾いている。 いつの間にかカイも心が落ち着き普通にピアノを弾き始める。その曲は茶色の小瓶。 阿字野は驚愕する。自分の編曲した茶色の小瓶を間違いなく弾いているカイ。そしてそれ以上に驚愕したのがカイの弾くピアノが自分のピアノの音と同じであること。そして自然に阿字野の目からは涙が流れてくる。 いつの間にか阿字野はカイの手をつかんでいる。カイは突然のことに驚いてしまう。怜子の客が追いかけてきたのではないかと思い。手を捕まえたのが阿字野であることに気づくとカイは落ち着く。そしてなぜ阿字野がこの場にいるのかを問いただす。 阿字野は”森のピアノ”が”自分のピアノ”であること、しかし今はカイのピアノであることを話す。そしてカイに言う。 「一緒にピアノをやらないか」 阿字野は熱心にカイを誘うがカイは反発する。ピアノは一緒にやるものではなく一人でやるものだと。そして木を上りどこかに行ってしまう。阿字野は一人”カイのピアノ”の前に残されカイの奇跡を感じ続ける。 |
第13話 へのへのモーツァルト |
その夜の雨宮家。母はいまだに阿字野のことをあきらめきれないでいる。雨宮自身は既にあきらめている。そして母は1ヵ月後のピアノコンクールに優勝すれば大丈夫だという。そして、それがピアニストになるためであることも。 カイは自分の家で思いつめている。阿字野が言った言葉「この手はピアノが選んだ手だ」。そしてその意味を分からずにカイは自分の手を見つめる。 次の日カイは学校を休む。雨宮が家に帰るとそこにはカイがいた。カイはピアノの上に置いてある楽譜がモーツァルトの”ピアノソナタ ヘ長調 K280”の楽譜であることを知る。雨宮はカイのためにその楽譜を弾く。そしてはじめて聞くモーツァルト。カイの頭の中には楽譜とメロディーが一つになっていく。 カイは雨宮に森で阿字野に会ったことを話す。そして、ピアノを一緒にやろうと言われたことも話す。カイはばかばかしいと言う風なそぶりを見せるがそれを聞いた雨宮がポツリとつぶやく。 「すごいじゃないか 僕はそうお願いしたのに 断られたんだ」 |
第14話 優れた指導者 |
なぜ雨宮が阿字野にピアノの教師を頼んだかを理解できないカイ。雨宮はカイに阿字野にピアノを教えてもらうことを勧める。 しかしカイはそれを断る。誰にも教わるつもりはないし、お金もないと。雨宮は自分の言葉に悔やんでしまう。 カイは雨宮の家から帰ろうとする。雨宮はカイに提案する。「僕がピアノを、モーツァルトの”ピアノソナタ ヘ長調 K280”を教えてあげる」と。しかしカイはもう覚えたからとそれを断る。 カイは帰り道に学校により音楽室にあるモーツァルトの肖像を見ながら頭の中でピアノソナタを弾く。 雨宮はカイが帰った後ピアノを弾きながら阿字野がカイを選んだことをいつまでも考えている。 |
第15話 クラシック・オールスターズ |
初めてのクラシックに心躍るカイ。 阿字野が施錠するために音楽室に向かうと、そこから聞こえてくるカイの鼻歌。阿字野はいつの間にかそれに合わせてピアノを弾き出す。そしてそれに気づくカイ。 阿字野はカイに色々なピアノを弾いてみる。”エリーゼのために”、”運命”、”結婚行進曲”……。 カイも色々な音楽が聞きたくなり阿字野にリクエストを出す。 そしてカイがはじめてショパンと出会う。ショパンの”変ニ長調 作品64の1 子犬のワルツ”と。 それが今まで聞いたクラシックの中で一番心の引かれた旋律だった。 |