無機質な現実


その日私はTVのスイッチを入れる
いつもと同じようにとチャンネルを切り替える

いきなり映し出される映像
とても不思議な映像

静かな朝の陽射し
煙を上げるビルに反射する陽射し

そして繰り返されるシーン
ビルに突き刺さる飛行機のシーン

映画のワンシーン
最初の印象

何の映画だろう、こんな時間に?
二つ目の印象

つまらないな
三つ目の印象

そしてなにか重々しいキャスターの声
一瞬にして現実に戻される声

2機目が突き刺さるビル
崩れ落ちるビル

朝のニューヨークを覆い隠す噴煙のとばりと音
怒り、悲しみ、涙、叫び、サイレンの音

最初から最後まで流れ続ける無機質な現実
そして、1年の歳月が流れたという現実

私にはけっして理解できない現実
宗教の名の下に行われた現実

けっして許すことのできない現実
そんなことを気にするより自分の明日を何とかしなければいけない人がいるという現実

2度と起こしてはいけないという現実
何度でも起こしてやるという現実

命は全てのものに勝るという現実
理念が人の命に勝るという現実

命の重さは平等という現実
人の命をなんとも思わない現実

色々な現実。無機質な現実

8時46分の出来事
3025人に起こった出来事

たくさんの現実の中、なにが真実かを見つけなければいけないという現実
しかし、人間はそこまで進歩していないと思い知った現実

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