妊娠中の散布は?


Q:

私,ただ今妊娠4ヶ月となりました。今までは,にんにく木酢液+緑豊U or 碧露を週1位で散布していましたが,妊娠がわかってからは少し怖くてやめています。すると,みるみるうちに黒点病が広がってしまいました。雨が少ない季節なのでなんとかもちこたえていますが・・・木酢液・緑豊U・碧露の説明書には大丈夫とあるのですが,GAMIさんはどう思われますか? (ゲストブックのお問い合わせより)

A:

結論から申し上げますと、GAMIでしたら、出産までは自然農薬系を含めすべての薬剤散布を中止すべきと思います。理由は次の通りです。

1)木酢液には微量ですが非常に多種の成分が含まれており、その中には、有害とされているものもあること。(極めて微量で、本来問題にすべきかどうかが、そもそも問題ですが...)

2)漢方農薬やニームオイルも、摂食阻害や脱皮阻害効果があり、これらが環境ホルモン様の効果を持たないとは現時点で確証がないこと。(もちろんあるという証拠もないが...)

3)現在(12月)で、妊娠4ヶ月ということは、少なくとも来年春の開花時期のピークが過ぎるころには出産がすんでいるわけですが、よほどの悪天候が続かない限り、無散布でも春の開花ピークを過ぎるまでは重篤な病害にかかることはまれであること。(害虫はでますが、これは捕殺か石鹸水で窒息させましょう)

4)万が一、授かった赤ちゃんの健康に僅かでも問題があった場合、それが散布のせいではないにしても、「もしかして、あのせいじゃないか?」と余分な悩みをもち自分を責めることがあっては、大切な育児期に余分な精神的重荷を背負うことになり、赤ちゃんのためにも良くありません。

5)バラは丈夫な植物です。私は1シーズンの殆どを無散布で試したことがあります。春には通常の開花が望めましたが、夏を過ぎる頃には殆どが坊主になりました。でもその翌年、立派に花は咲きました。もちろん枯れたりしてダメになった株は一つもありません。

 

実際問題として、きちんと薬剤散布用のマスクをして散布する限り、木酢液や漢方農薬がお腹の赤ちゃんの健康に影響するとは考えにくいと思いますが、完全な安全性を保証することは現在の科学的方法論では不可能です。これは、安全性そのものを統計的な蓋然性を基礎に議論せざるを得ないからです。さらにもう一方で、自然農薬系の物質は、もともと安全であると考えられているためにEPAなどでは急性毒性以外は厳密に調べる義務づけがなされておらず、データが少ないからです。おそらく焚き火を囲んで焼き芋したり、七輪でサンマを焼く方が、よほど多くの有害物質を吸い込むと考えられます。しかし、(5)の前提のもと、(4)を最重視して考えれば、「散布はやめじゃっ!」となるわけです。かけがえのない赤ちゃんの健康とお母さんの精神的負担を天秤の一方に置けば、もう一方のバラの重さはどれほどのものでしょうか...。余計なリスクは最初からゼロにしておくにこしたことないでしょ? たかがバラじゃぁないですか。それも1シーズンだけですし...最悪枯れちゃったって、代わりはいくらでもあります...

それでも、どうしてもなんらかの処置が必要なら重曹剤(重曹+石鹸)や食酢(20倍)などの食品系か、強酸性水はいかがですか? これらは当HPで紹介した各種散布液の中でも特に安全なものと考えています。

元気な赤ちゃんが、生まれますように..。

(99/1/2)