Q:

チュウレンジバチの成虫の退治の仕方を教えてください。バラの茎に、次から次へと卵を産み付けられて困っています。長いもので2センチくらい,茎を縦に裂いて卵を産み付けられます。 Old&Englishroseが12〜13種類のうちの小さな庭に、今日だけで7匹捕殺しました。(お腹がオレンジのチュウレンジバチです)ロサ・ムンディなんて,茎が伸びるたびにやられています。本によると生みつけられた部分は,cutすると書いてあるので、いつも泣く泣くcutしています。  今日は幼虫も見つけて,緑豊+木酢液を散布しましたが,死にませんでした。なぜかなあ?

 

A:

1.茎は切るべきか?

「チュウレンジバチが産卵した茎は切り捨てる」という理由は、幼虫が孵化する前に処理してしまえるので、後の面倒がないからということにすぎません。孵化後に縦にさけた茎は枯れてしまうという「ベテラン」もいますが、これは「大ウソ」です。健全な茎ならチュウレンジバチの孵化痕ごときで枯れはしません。茎を「横向き」にカットするバラクキバチとは異なり、チュウレンジバチによる切り口は縦方向の裂け目ですから養・水分の通り道である維管束が切断されないためです。こんな裂け目程度で枯れるなら、むしろ栽培法そのものを疑う必要があります。

裂けた部分は、放置しておいてもかまいませんが、気になるなら癒合剤を塗ったり、テープを巻いておいてもいいでしょう。中途半端な処置で裂け目部分に雨水等が溜まらないように注意。裂けた茎にも立派に花は咲きます。安心して下さい。

 

2.成虫の退治法

チュウレンジバチのような飛来害虫は、バラクキバチやハキリバチと同様、完全な対策はありません。有機リン剤の連続散布による忌避効果はわずかながらあるそうですが、忌避目的でこんなこと実行するのはキチガイじみてます。一方、木酢やニームオイルにも一定の忌避効果があるようです。しかし、お問い合わせの例のように大量の成虫が飛来するような環境では、その効果だけでは不十分と思われます。飛来害虫への対処は、現行犯逮捕と孵化直後の幼虫の早期処置によるのが一般的でしょう。

 

3.では幼虫の処置は?

問題は、孵化した幼虫どもですが、こいつらは葉を猛スピードで喰いまくり坊主にしてしまうため、こっちのほうが実は大問題です。ただちに阻止しなければなりません。幸い若齢幼虫は極めて薬剤に弱いので、ほとんどの散布液が有効です。たとえば、ピレトリン(除虫菊)スプレー(パイベニカ等)で、数分後にはお亡くなりになります。オレート液剤などの窒息系も有効です。

ご使用になった木酢+緑豊ですが、どっちの緑豊を使われましたか?緑豊Tはアルカロイドによる接触毒ですから、通常の殺虫剤感覚で使用しますが、ピレトリン剤ほどの即効性はありません。また、緑豊Uは摂食毒ですから、液のかかった葉を虫が食べて初めて効きます。効くと言っても脱皮を阻害したり食中毒を起こさせるわけですから、即死ではなく、効果が出るまでに数日はかかります。

私はチュウレンジバチ幼虫の対策には、木酢+緑豊Uあるいはニームオイルの定期散布(通常は週1回、幼虫発生が頻発したときは週2回)で完璧だと思っています。これらが、孵化した幼虫を「待ち伏せ」する防除法だというのはおわかりになると思います。茎に裂け目はつけられますが、葉への被害は最小限で食い止められます。開花への悪影響はほとんどないでしょう。

もしこれらの散布液でチュウレンジバチ幼虫がいなくならないようなら、老齢幼虫になるまで発見できなかったとか、不適切な使用法(希釈濃度エラー等)など別の原因をチェックすることをおすすめします。

チュウレンジバチは、本HPで紹介した種々の方法で対処可能な代表的な害虫のひとつです。恐れることはありません。

(98/9/20)