ただいま実験中--新ネタ早出しコーナー


 

すでに掲示板ではご案内した「GAMIブレンド」の処方を紹介します。

1.目的

「もどき」のような残効性ゼロの処方だけでは、グウタラが出来ないので、せめて月2〜3回の散布で、黒点病をしっかり抑えられる処方を見いだすこと。

 

2.アプローチ

2−1
黒点病は開花後の葉に多発するが、これは開花後の時期には葉の表面層が脆くなっていることによる。これを回避するために、葉面保護層の強化・回復を期待できる成分を併用する。

2−2
黒点病胞子に対する抗菌活性をもつ物質を長期間葉面に固定できる処方とする。

2−3
上記物質は、σ(^^;)のような「農薬ギライ」さんにもなるべく抵抗なく受け入れられるものとする。基本は有機農産物用に認められているものから選ぶ。

2−4
なるべく無臭であること

2−5
なるべく現在の倉庫の中身を増やさないこと

 

3.処方

上記の要請をほぼ満たすものとして、以下の処方Ver.1を作製

薬剤(資材)名
備考
重要度
イオウフロアブル剤
(Safer Garden Fungicide:Sulfer 12%)
15〜30cc
(予防時15cc)
黒点病・ウドン粉病抗菌剤

必須

ピュアグリーン
15cc
パラフィン系展着剤
必須
バイオゴールドバイタル
15cc
葉面散布活性剤(葉面保護層回復)
必須
Rose Defense
(または虫追祭)
15cc
展着促進
あった方がよい
BT剤(トアローCT)
2〜3g
ヨトウムシ対策
必要に応じて

以上を総量4.5〜5リットルに希釈

 

な〜んて、エラそうに書いてますが、要するに、倉庫にあったものをテキト〜に混ぜちゃっただけとも言えるヾ(^∀^;)

あらたに入手したのは、Safer Garden Fugicide (Concentrate) のみ。これはインターネットで米国から簡単に輸入できます。例えば、のんびりした対応だけど、ここあたりがお手軽です。なんたってJCBカードまで使えるんだから...

逆に、日本国内ではイオウ剤はハヤラナいらしく、近所の農協に「イオウのフロアブルありますか?」と訊いたら、「それなんですか?」という感じの返事を係の女の子にされたヾ(^^;)オイオイ

今回の処方では、このイオウ剤の推奨希釈濃度のさらに1/5〜1/10の希釈率で使用します。もっとも米国の推奨使用濃度は日本より高めかも知れませんので、この数字だけから単純にエラく低濃度と決めつけることは出来ませんが、それでもまあ、日本での通常使用濃度の少なくとも半分以下だとは思います。

イオウ剤は、要するに温泉の湯の花ですから、あまりコワイという気はしないでしょう。石灰硫黄合剤とは違いますがナメないでください。よく振ってから使います。

ピュアグリーンは虫追祭とセットで「マリポサ」やチェルシーガーデンの一部店舗で扱ってるパラフィン系の展着剤。東京・神奈川以外の人は店舗がないので入手しにくいと思いますが、その場合はアビオンでも可。アビオンEがファーマーズポータルから通販で購入可能。

バイオゴールドバイタルは、葉面散布にも使える活性剤ですが、原料の一部にタンパク質が使用されているようで、新しいものは硫化水素臭がすることがありますが、気にしなくて良いそうです。

ニームオイルは、散布液の回り込みをさらに改善するために用います。これを使わないと、乾燥後の葉にイオウとパラフィンによる白い色ブチの模様がつきます。ただ、臭いがヤダという方は省略可能。回り込みの性能ではRose Defenseのほうが良好ですが、虫追祭でも十分です。

BT剤はヨトウムシの被害が目立つときにだけ混ぜます。チュウレンジバチには効果がありません。

 

(追加情報)

イオウフロアブル剤は上記ファーマーズポータルで扱っていました。オンラインカタログ上にはありませんが、ほぼ即納で処理してくれます。また土浦農芸からも入手できるとの情報を、読者の方からいただきました。

入手可能なフロアブル剤は、イオウ濃度が52%のもので、上記輸入品よりはるかに高濃度です。取り扱いには十分注意して下さい。特に目に入らないように。保護メガネなしであつかって目玉焼き作っても食えませんです。

 

4.結果

結果は一言でいうと、やったぁ!!\(^∀^)/ でした...

ほぼ週1回の散布で、梅雨明けまで黒点の蔓延をまったく許しませんでした。その後は気温があがって、メンドクサがり&暑がりのGAMIは散布をサボりましたが、8月中旬現在までで、坊主になった株はなく(サボった結果チュウレンジにヤラレまくった株をのぞく)、過去に1〜2ヶ月に1回程度サプロールを使用した頃と同等といってもいいです。

ウドン粉病もほぼ抑制できました。

問題点は、ボトリチスには無力なこと。これは教科書どおりでして、イオウはボトには効かないということが再確認できました。でもボトには「もどき」があるから、ま、いいでしょう。

なお、散布は原則として葉の表のみ。裏側散布は、液があまってもてあましたときのみです。葉裏から侵入する黒点病ってあまりないので、気孔を塞ぐだけ無駄です。 あ、BT剤混ぜたときは、ヨトウムシ対策だから当然葉裏にもまいて下さいね。

梅雨どきをのぞけば、2回/月の散布で十分そうです。いったん黒点が出ても、Safer Garden Fungicide 30ccで、それ以上拡がりません。

なお、イオウ剤は製品によって成分濃度が大きく異なるので、他の製品での希釈率はわかりません。なんとか国産のイオウフロアブルを入手して試したいと思っています。

 

【ご注意】

本処方は、現在評価段階です。したがって、当サイトとしては積極的におすすめすることはしません。ご興味のある方のみ、自己責任でお試しください。今後の改良のために、効き具合をお知らせいただければ幸いです。

本処方の問題点として、イオウ剤による天敵への影響が皆無という保証はできません。実際、ハダニの防除には有効なはずですが、同時に各種害虫の天敵となる徘徊性のクモ類への影響があるかもしれません。ご承知おき下さい。