
オフロードギャングの活動内容
オフロードギャングはタイのチェンマイで自然発生的に生まれたグループです。メンバーはチェンマイ滞在中の外国人で構成されています。
基本的な趣旨はもちろん我々自身がオフ走行を楽しむ事ですが、いろいろと走り続けた結果、得られた情報はかなりな量になりました。
走りに行った場所でキャンプしてみたり、山奥の小学校に学用品を届けたりもしました。やりたい事をとりあえずやってみる、きわめて単純な願望を試すのが我々の行動パターンです。
またオフロードギャングではライダーの皆様のサポート走行やバイクレッスンをしながらのツアーも企画・実行しています。
(現在、世界18ヶ国からの参加があります。)
ゲスト参加については、お気軽にお問合せ下さい。
チェンマイEDレース参戦記
2001年10月21日にローカルですが、とても面白いEDレースに参加したのでエピソードを含めてお伝えします。
レース前の金曜日の夕方、市内のレストランで申込みとライダースミーティングが行われるそうなので行ってみました。
話によるとこのレストランにはチェンマイ中のトップクラスの美女が集まる場所みたいです。集合時間は17時30分からで、その時間に行くと垂れ幕が掛かっていてクロスカントリーだけ英語で書かれていました。
中に入ってみると日に焼けていかにも労働者っぽい感じのタイ人オフロードライダー達が集まっています。(私も人の事は言えないですけどね。)でも本当にここにチェンマイ中の美女が集まるのか心配になってきました。
壁には簡単なコース図と写真が貼られていましたが、タイ語で書かれているので読めません。英語の地図を持って行ったので大体のスタート地点とランチコントロール・給油地点・ゴールは分かりました。写真を見るとマディなコースが多そうです。
エントリー用紙をもらって記入していくとライダーでなくドライバーとなっているし、パッセンジャーの記入欄もあります。つまり4輪のラリーも行っているオーガナイザーなのでしょう。カテゴリーはスポーツクラスとEDクラスに別れていましたが、EDクラスの方が日に焼けたオヤジがたくさんエントリーしているようなので直感的にそちらにしておきました。
エントリー代、約1500円を払い競技説明を聞く事にするのですが、その前にビールを注文。しかし周りを見ても競技関係者でビールを飲んでいるのはヨーロッパ人と私だけで、タイ人ライダーは金が無いのか、もう競技モードに入っているのかよく分かりません。(これは後日、競技モードだった事に気付きました。)
コース上のSSは2つで午前と午後で別れています。
午前中の走行距離は86.5kmでSS1は40.4kmとなっており、オーガナイザーが言うには62回の川渡りがあるそうで何度か聞き直しましたが答えは同じでした。(よく数えたと思いますが・・・)
午後は73.3kmの中に35.9kmのSS2があり、オートバイしか通れない狭いコースがかなりあるようです。ここでもオーガナイザーが面白い事を言っていました。「雨が降ったりしてスタックしたら地元の山岳民族の村人が押してくれる。」その時に「日本円で60円くらいをあげた方が一生懸命助けてくれる。」のだそうです。まあ、この時は半分冗談だと思っていたのですが、これも後日、実は冗談では無い事を目撃してしまいました。
ビールも2本目を注文し、近くにいたライダーに勧めたけれど辞退されてしまいました。レースは明後日なのに・・・。つまらないので私は同じくチェンマイに住んでいるイギリス人ライダーを呼び出しました。
ライダースミーティングも終わり、オヤジライダー達と入れ替わりにやっと美女達が集まって来ました。やはり日に焼けたオヤジとこの美女達はミスマッチだなんて勝手に思いながら飲んでいたら、イギリス人ライダーがやって来ました。その彼の第一声は「何ここ。バタフライガーデンだね。」その後、我々は気分よく飲めたのは言うまでもありません。
さてレース当日の朝、スタート地点へと向かいます。チェンマイ市内から北へ100kmほど走った所。車検終了は8時30分なので一応、6時に出発、まだ外は真っ暗です。途中でバイクを積んだトラックを見かけるだろうと思っていたけど見たのは1台だけだったので多少不安がよぎりました。天気は良さそうですが途中の山越えは霧雨。朝、寒かったのでGore‐Texのジャケットを着てきたのでそのまま走って行きました。
ちなみに私は登山用のGore‐Texを使っています。登山用は大量生産されているのでバイク用に比べると値段も安い上コンパクトに収納出来たり、最新の素材が使われているなどのメリットがあります。
8時少し前に到着。スタート場所は地元のガソリンスタンドです。午前中に走る距離は80kmと少しだからXR400のフュエールタンクは満タンにしないで70%ほど給油しておきます。もちろん少しでも軽くするためですが。(これって入れ込み過ぎでしょうか?私には当然の行為なのですけど。)
車検は前後のハブとフレームにマジックでマークを付けていました。主要部品の交換を認めないからでしょうけど、こちらの方が入れ込み過ぎじゃないかな?(やはり、その日のお昼にはその理由が分かりました。)
ちょっと話が横道にそれますが、車検時にサインインしてIDカードをもらいます。自分の写真が貼ってある本格的な物です。地元ライダーに理由を聞くと替え玉ライダー防止のためだそう。そこまでやる奴がいるのだろうか、恐るべしタイライダー。
9時にスタートしたのですが、EDレースのスタートではありませんでした。警察のパトカーの先導で地元の町でデモンストレーションです。はっきり言えばウィリーしたり爆音を撒き散らす暴走行為なんですが、地元の人達はもう大喜び。でも私は大人だから(?)おとなしく走っていました。実は私の計算にはこの大騒ぎ分のガソリン量は入っていないからですが、おそらくタイのライダー達は日本人ライダーのマナーのよさに驚いていた事でしょう。
さてやっと本当のスタートです。9時30分から1分間隔でスタートして行くのですが、かなりいい加減な間隔でした。私はSSさえしっかりしてもらえればそれで問題はありませんが・・・(この期待も後で裏切られる事に。)
私のゼッケンは47。EDクラスは40から始まっています。つまり前に7人の選手がいるわけですが欠場選手が1人いて実際は6人です。知らないコースを先頭で走るのも嫌なのでこの番号を選んだのですが・・・これが幸運なのかは、この時点ではまだ分かりません。
SS1のスタート地点に到着しました。林道の入り口で、すぐコーナーなのでどんなコースかは不明。その後に40kmも走るのだからそんな心配をしても意味はありませんけどね。
いよいよ私のスタートが迫ります。前のライダーのスタート時にストップウォッチをスタートさせ、ゴール時にはそのタイムから1分を引けばいい計算。オフィシャルを信頼していない訳ではないのですが念のためです。(でもやっぱり信頼してないのかな。)
さてスタートのカウントダウン、やはりこの緊張感がレースの醍醐味でしょう。快調に飛ばして走って行くと硬い路面に砂を撒いたような状態が続きます。あくまでオーバースピードにならないように気を使います。それでも途中何度かコースから飛び出しそうになりましたがなるべくスピードを殺さずにごまかしました。
10分くらい走っても、まだ前のライダーは見えてきません。私のペースが遅いのかと不安になります。そんな時にコースの前方に砂埃が見えてきました。ゼッケンは見えなかったけれど追い付いたという事はかなりのスピード差があるわけですから、マナーよく抜かさせてもらいました。この辺からコースが荒れてきてどんどん次のライダーが見えてくるようになりました。これは速度差が出来てきたからでXR400パワーに感謝です。でももう1人だけライダーが見えて来ません。前回のレースの優勝者です。彼とはレースミーティングから仲良くなっていていろいろ通訳をしてもらいました。何とか彼に挨拶をしなければとXRを飛ばします。このあたりから急坂が続き400のパワーに物を言わせます。彼は250で走っていますからエンジンが唸っているはず。そんな彼をキャッチ出来たのは下りででした。1分くらい様子を見ながら後ろを走ってみたけれど、なかなかコーナーを攻めています。ラッツのある下りで彼がラッツにラインを落としてしまったところで抜かさせてもらいました。400の音がプレッシャーになったようでした。(ディフューザー無しですからね。)
残り15kmくらいで先頭になったようです。抜いたライダー数ははっきりしないのですが、コース上にタイヤマークがなくなってそうだと分かりました。
この辺から何度も川を渡り、岩やコケの付いた氷上のような難しいコースになってきました。後で聞いた話によるとここでほとんどのライダーが転倒したようです。私はラッキーな事に転倒しないで済みました。TRやってたおかげですが見るからに滑りそうなのでスピードは出せませんでした。
さてXRのトリップメーターが40kmを超えたのに村に入ってしまう事態になってしまいました。更に走ってもチェックポイントはないしスピードを落とすわけにもいかずそのまま走り、5kmほど過ぎた地点でなんと主催者とすれ違いました。そう、彼らはまだチェックポイントに到着していなかったのです。とっさにストップウォッチを止めて主催者にこの地点をSS1のゴールにしてもらうように要請。主催者の時計もチェックしてもらい次のライダーを待つ事にしました。しばらくすると古いYZ250が大カウンターを切りながらゴール。次はXR250でその後でゼッケン57のKX125が入って来ました。私より前にスタートしたライダーは問題ないのですがゼッケンが私より後のライダーの状況が気になるところです。まあ、ほぼベストで走ったのだからOKとします。
そして私はランチコントロール地点に向かいます。途中の町のバイク屋さんでチェンにオイルを注してガソリンスタンドで70%ほどガソリンを入れ、オフィシャルの駐車場に到着しました。昼食はタイのお米のヌードルで主催者のサービスです。2時間30分くらいの長いランチコントロールの間、リアサスをオーバーホールしています。メカニックが作業しているのですが整備基準が相当低いのが分かってしまいます。
さてSS2へと向かいます。それにしてもこのランチコントロールは長過ぎたようです。(それは主催者も後ではっきりと分かったと思いますが。)
SS2は私からのスタートになってしまいました。SS1は1時間3分のタイムで2位とは10分離れています。はっきり言えばもう流して走っても問題はないのですが、またとんでもない不測の事態が起こってしまったのでした。
3時30分が私のスタートタイムで最初はアップダウンのジェットコースターのようなコースでした。山岳民族の村で左に曲がり登山道になります。畑の中もコースになっていて農作物を荒らさないよう走らせます。ところが・・・なんと、この辺からコースマークが消えてしまったのです。3kmほど走ったもののコースマークはありません。きっと主催者が行ける所だけにコースマークを置いたのかもしれません。だんだんSS2でミスコースして順位を悪くした私の姿が頭をよぎります。アドバンテージはあるので登山道を戻る事にしました。しばらくするとYZの音が聞こえてきました。YZのライダーにコースの確認をしようと思いましたが彼は目の色を変えて走って行ってしまいました。
とりあえずUターンして彼の後ろを走る事にしました。枝道があるのにコースマークは相変わらずなく困惑しながら彼の後を走ります。そしたらやっと見えましたコースマークが。急いでYZを抜いて走りました。が、また交差点にコースマークがありません。仕方なくまたYZを待って更に抜き返します。そんな妙な事を2〜3回繰り返しました。
村の手前の大きな交差点でまた、あるはずのコースマークがありません。村人は右に行けと言っているようです。しかし、よくよく見るとなんと村の子供達がコースマークで遊んでいるではありませんか。またYZが来ましたが彼は左に走って行きました。私はここで呆れてしまい、3番目のライダーを待つ事にしました。(いやはや何というEDレース!)かなり待つとXR250が来ました。状況を説明しようとすると彼も止まらずに走って行きます。3人目が来た事でミスコースにはなりそうもないので残りの5kmを飛ばしましたがYZには届かずに終わりました。
最後の移動コースは露天温泉まで走りゴールというものです。この最後の移動コースはもうトラックにバイクを載せて移動するライダーも多くいました。
結果としては総合優勝したようですが本心を言えばSS2は気持ちよく走りたかったコースなので残念です。ハードなコースなため、暗くなってからゴールするライダーが多く、KX125が1台、行方不明だそうです。そういえば、あのKXはモトクロッサーそのままでライトはなく、夜は走れないだろうし、ガソリンももうすでに無いはずです。怪我が無ければよいのですが、やはり午後のスタートは遅過ぎだったと思います。
さてゴールしたらライダー達がビールやウィスキーを飲んでいて、今度は私の方がタイ人ライダーから勧められます。そう、彼らは金曜日からレースモードだったわけです。そして更に冗談が事実と分かったのはその支払いの時でした。ウェストバックの中には小額紙幣が束になって入っていました。つまり山奥でスタックした時は現金に物を言わすつもりだったというわけです。
夜の9時にやっと表彰式が始まりました。上位に入らなかったライダーはいつのまにかいなくなっているのは万国共通ですが、聞けばどうも賞金が出るようです。まったく予想していなかった事ですが一体、いくらもらえるのでしょう。
それぞれにトロフィーが渡された後、上位3位のライダーが呼ばれ賞金が出ましたが、その渡し方がすごいのです。封筒とかに入れてではなく主催者のポケットからいきなり現金をワシづかみにして渡して来ます。まるで泥棒の山分け状態でした。
私は自走で80km以上走らないとチェンマイには戻れないのでトロフィーは車で来ているライダーに運んでもらう事にして、山分け賞金はしっかり財布にしまいました。計算ではエントリー代が10倍になった訳ですがカブクラスも同額の賞金が出ていたのには笑えました。
また来月にも別の主催者が行うEDレースがあるようです。もし時間があればまた出場しようと思います。(地元ライダーと摩擦を起こさない程度に・・・)
終わり