第17議定書



  弁護。ゴイム僧職者の影響。教皇法廷。総主教としてのユダヤ王。いかにして既存の教会と闘うか。現代の新聞の役割。警察組織。志願警察官。秘密結社スパイ活動のスパイ活動。権威の乱用。


  弁護士活動は人間を冷酷、非情、頑固、破廉恥にする。弁護士はどんな場合にも、人間ではなくひたすら法律の観点からのみ問題を論じる。かれらはどんなことを取り上げるにしても、弁護する価値があるかどうかと考えるのが習慣になっていて、弁護した結果、公共の福利がどうなるかは考えない。なんでもかんでも弁護を引き受けて断わることをしないというのが普通であり、無罪を目ざして極力奮闘し、法律上の細かい所にこだわって片端から難癖をつけ、挙句のはてに正義を地に落とす。であるから、われわれは他の行政公務員と同様にこの職業の範囲を狭く絞り込んでおこうと思う。裁判官と同じく、弁護士が訴訟当事者と直接接触する権利は剥奪する。かれらは法廷からのみ仕事を受け、訴訟書類や報告を調査し、法廷で被告が尋問を受け事実が明らかになった後に被告を弁護する。どんな弁護をしたかという内容に関わりなく報酬を受け取る。このことは弁護人は、告訴のための審理記録人である代訴人に対して平衡を保つための、正義のための法務の単なる記録人に過ぎなくさせる。こうすれは、個人的な興味関心からではなく確信に基づいた、偽りのない公平な弁護活動が可能となるのである。また、この方式にすれば、現今横行しているような、金をよけい出さなけれは裁判には勝てないという弁護士の腐敗堕落を除去することにもある……

  われわれは過去長い時間をかけて、ゴイム僧侶の信用を落とし、それによって、放っておいたらわれわれの大きな脅威となったやも知れぬ地上におけるかれらの伝道を凋落させるようにして来た。今や日一日と、世界の人民に対するかれらの影響力は低下しつつある。信教の自由ということが至る所で喧伝されたので、今やキリスト教が完全に破壊されるのはここ数年のうちに過ぎなくなった。ほかの宗教に至っては、骨抜きにするのは更に容易であるが、今この問題を論ずるのは時期尚早であると思う。われわれは聖職者重視の教権主義や聖職者たちの力を、以前かれらが華やかなりし頃に持っていたのとは比べものにならないほど狭い枠に押し込めるであろう。

  決定的に法王庁を破壊する時が来れは、見えざる手の指が各国民に法王庁を指さすであろう。しかしながら、国民がそれに襲いかかろうとしたら、あたかも過度の流血を防がんとするかのように、われわれは法王庁の擁護者を装って進み出る。この転換によって、われわれはかれらの深奥にまで足を踏み入れ、間違いなくかの最強部を腐食し切るまでは二度と出て来ないであろう。

  ユダヤ王は真の世界の法王、世界にまたがる教会の総大司教となる。

  だが、一方で、われわれが青年層を過渡期の新しい伝統の宗教に、後にはわれわれの宗教で再教育する間、われわれは明らさまには既存の教会には指一本触れないけれども、教会内部の軋轢を目ざし批判を加えて宗教人と闘う。

  その場合、一般的には、われわれの現代の新聞はゴイムの国家問題、宗教、ゴイムの無能さを断罪し続けるが、常に、わが民天与の才能を振い、あらゆる手段を駆使してかれらの威信を剥奪すべく、罵詈雑言を浴びせ百方中傷する……

  われらが王国はインドのヴィシュヌ神になぞらえ擬人化すると・・われらが百本の手の一本一本は、社会という機械のバネを握っている。警察というのは、われわれがゴイムのために入念に作り上げ、しかも政府は覗けない望遠鏡であるが、その警察の力を借りずともわれわれは何もかもが解るのである。われわれの計画では、われわれの臣民の三人に一人が、国家への無料奉仕義務として他の二人を監視する。かつてのようにスパイは恥ずべきことではなく、評価すべきことなのである。しかしながら、根拠のないことを密告した者は厳罰に処し、密告権の乱用を慎ませる。

  このわれわれの代理人は、社会の上層からも下層からも、さらに暇な時間を娯楽に費す管理層、編集者、印刷業者や出版人、書店業、店員、販売業者、労働者、御者、従僕等々からも採用する。この組織は職権を持たず、目撃したことについてなんらかの行動を起こすことは許されず、なんら権限のない警察であって、唯一観察し証言するのみである。供述を確かめたり逮捕を決定したりするのは、警察の責任ある取締官の仕事であり、実際の逮捕には憲兵隊や都市警察があたる。警察担当の事件で、見聞したことを報告しない者は、隠匿罪で告発されその責を負い、それが証明されれは有罪となる。

  今日でもわれらの兄弟たちは、自分の責任において、自分の家族の背教者や結社に反対する行動をとった結社員を告発する義務をもっているが、それと同じことを全世界を支配するわれらの王国においても、わが臣民全員に国家に対する奉仕として義務づけるのである。

  このような組織こそが、権威権力の乱用や贈収賄や、われわれの機密計画を使い、人間についての超人類的な理論を駆使し、われわれがゴイムに植え付けた悪習のすべてを根絶させるであろう……だが、かれらの政治の中に混乱を植え付け増大させるのに、果たして他に方法があっただろうか?……あまたあるこれらの方策の中でも、最も重要なるものの一つは、かれらの悪の偏執性・・どうしようもない自惚れ、権力の無責任な乱用、そして、何よりもかによりも賄賂・・を拡張発達させ、かれらを破滅させるのに都合のいい位置にいる秩序回復の代理人である。