近況

  ≪能面について
   
   能面(のうめん)は、能楽や一部の神楽で用いられる仮面である。伎楽面や舞楽の仮面などの影響を受けている。



  概要≫

   鬼神・老人・男・女・霊の5種類に大別される。小面は若い女性を象る。その他多くの能面がある。
   その完成度はたかく、見るものを圧倒する迫力がある。特に鬼面の一つである般若(はんにゃ)、真蛇(しんじゃ)は
   有名である。役者の芸と能面作家の腕によって、一つの面から深く様々な表情を見せることができ、仮面劇としての
   能を今日までも支えている。


   女面、少年面、青年面は一部を除いて何れも白塗りの厚化粧、引眉で、お歯黒を付けており、これらは何れも、
   能が成立した時代の習慣を残したものである。


   なお、『翁』の面は特徴的で、他の能面と異なり、

    ■ 眼が全てくり抜いてある


    ■ ぼうぼう眉(綿や毛が植えてある)

    ■面が口の部分で上下で切り離してあり、後ろのところで結んである(顎が動く)

   古式でおおらかな面である。


  
能面は木(桧が多い)を彫り、彩色して製作するが、この工程を「面を打つ」という。
   また、顔に付けることを「面を掛ける」という。この場合「面(おもて)」と読み、「能」がつくと「能面(のうめん)」と読む。
   近年は和紙製の張子面も登場している。


  ≪能面の例≫

   ● 女性の面
     ■若い女性
       ・小面(こおもて)、小姫(こひめ) 可憐な娘。
       ・万眉(まんび)、孫次郎(まごじろう)、若女(わかおんな) 小面より若干年上。
       ・増(ぞう)、増女(ぞうおんな)、節木増(ふしきぞう)、増髪(十寸神とも)(ますかみ) 清澄な神女。

     ■ 中年女性
       ・深井(ふかい) 理知的、都会風。
       ・曲見(しゃくみ) 情感的、田舎風。

     ■老女
       ・姥(うば) 老女。シテが尉をつけるとき、ツレが使う事がおおい。
       ・痩女(やせおんな)
       ・老女(ろうじょ)
       ・霊女(りょうのおんな)
       ・桧垣女(ひがきおんな)

     ■鬼女
       ・泥眼(でいがん) 眼に金泥がある。品の良い美女の嫉妬に狂う様。『葵上』の前シテなど。
       ・鉄輪女(かなわおんな)、橋姫(はしひめ) 更に嫉妬の度が増したもの。『鉄輪』などに。
       ・般若(はんにゃ) 嫉妬の度が極めて強く、鬼のような形相になった女性。良く見ると女性的な眉が描いてある。
       ・蛇(じゃ)、真蛇(しんじゃ) 般若より更に鬼度が増したもの。「もはや聞く耳を持たない」という意味なのか、
        耳がないのが特徴。なお蛇は「道成寺」の専用面である。

    ●若い男の面
      ■少年
       ・童子(どうじ)
       ・慈童(じどう)

      ■青年
       ・若男(わかおとこ)
       ・今若(いまわか)
       ・十六(じゅうろく) 敦盛戦死の年齢に由縁。

      ■盲目の少年
       ・弱法師(よろぼし) やつれた感じ。
       ・蝉丸(せみまる) 盲目の貴公子。

      ■半僧半俗
       ・喝食(かっしき) 『自然居士』、『花月』等。稚児に相当。

    ●武人の面
      ■平太(へいだ) 赤ら顔の壮年武将。

      ■ 中将(ちゅうじょう) 公達。

    ●老人の面
      ■小尉(こじょう) 品が良く、神体を表すのにも用いられる。

      ■邯鄲男(かんたんおとこ) 『邯鄲』に用いられ、神体を表すのにも用いられる。

      ■皺尉(しわじょう)、石王尉(いしおうじょう)、舞尉(まいじょう) 真ノ序ノ舞を舞う後シテ。

      ■悪尉(あくじょう) 強く恐そうな顔の老人。

    ●『翁』の面
      ■白式尉(はくしきじょう) シテ

      ■黒式尉(こくしきじょう) 三番叟

    ●他の男の面
      ■怪士(あやかし) 『船弁慶』の後シテなど。

      ■黒髭(くろひげ) 龍神である後シテ。

      ■大飛出(おおとびで)、小飛出(ことびで) 眼を剥き、カッと口を開いた様。

      ■大厳間じぇ見(おおべしみ)、小?見(こべしみ) 口をしっかと結んだ様。

      ■獅子口(ししぐち) 『石橋』など。

      ■顰(しかみ) 『紅葉狩』など。

      ■痩男(やせおとこ) 恨みのこもった庶民の亡霊。

      ■蛙(かわず) 水死人。