8月の手紙

主イエス・キリストにあってご挨拶いたします。皆様に恵みと平和がありますように。西日本を中心とした豪雨による被災者のために神さまの慰めと励ましをお祈りします。
皆さんは、「子ども兵」の存在をご存じでしょうか?ウガンダで元子ども兵の社会復帰を支援している「テラ・ルネッサンス」の代表である鬼丸昌也さんのお話を紹介します。
2004年当時ウガンダは、政府軍と武装勢力による内戦が続いていました。武装勢力は、多くの子どもたちを誘拐し、男の子は兵士として、女の子は食事などの兵士の身の回りの世話や「褒美」としてあてがわれたりしました。その数は23年間でのべ2万人にもなります。その中の16歳の男の子はこう証言しました。「僕は、お母さんの腕を切らなければいけなかったんだ。」彼は12歳の時に誘拐され、訓練を受け、その後「テスト」と称して自分の生まれ育った村を襲いに行かされます。そこで受けたのが「母親の腕を切れ」という命令でした。なぜ、そんなことをさせるのか?一つは、脱走を防ぐためです。自分の住んでいた村や家を襲うことによって、「もう自分は帰れない」と思わせるのです。もう一つは、人を傷つけることに対する恐怖心を奪うためです。最初に近親者や友人に危害を加えることによって感覚を麻痺させるのです。
ウガンダでは現在に至るまで、194人の元子ども兵を社会復帰させることができています。ただお金や物をあげるのではなく、「どうすれば彼らの能力を生かし、自立に向けて一歩踏み出せるようになるか」を共に考え、必要な支援をしていくことが大切です。仕事や商売は人との関係性の中で生まれます。だからコミュニケーションは不可欠です。そうしたコミュニケーションの積み重ねの中で元子ども兵の自尊心に変化が現れてきます。自分が少しずつ村や町の人に受け入れられていると感じていくことは、自分の過去を受け入れる強さにもつながっていくのです。「私たちが相手を変える」のではなく、「相手の中にある眠っている力に光を当てることで、本人が持っている本来の力を目覚めさせていく」という支援です。
東日本大震災のあの日、「テラ・ルネッサンス」にウガンダから1本の電話がかかってきました。「大津波の映像を見ました。そして私たちは話し合いました。『今、私たちに何ができるのだろうか』と。そして決めました。わずかでもいいから日本の人たちのために募金をします」と。彼らの調達した毛布が寒さから被災者の命を守ってくれました。「自分のためだけでなく、誰かのために貢献したい」という心は失われなかったのです。

2018年09月22日