抱卵開始から20日でヒヨコが生まれる。2月中旬頃に産卵し、3月に孵った雛が
他の時期に生まれた雛に比べ、丈夫で成長も早い。しかし3月はまだ寒いので
雛にとって厳しい面もある。3月のある朝、巣箱の中からヒヨコの鳴き声が
聞こえてくる。無事に孵ったようだ。しかしこの雛が生き延びられるかどうかはまだ
わからない。生まれてから5日ほどは食べなくても生きられるが3月の寒さでは、親鳥
の保護が必要である。親が抱卵中にもかかわらず、早く生まれた雛が巣箱から出て
しまうと、この雛はすぐ死んでしまう。親から離れた雛が夜中の寒さの中いかに鳴こう
が、他の親鳥は無関心である。またこの雛を巣箱に戻してやっても抱卵中の母鶏はヒヨコ
の面倒を見ることはない。
抱卵を終えた母鶏はヒヨコの面倒をよく見る。ヒヨコは母鶏と行動を共にしながら、給餌や給水を覚える。ヒヨコたちは巣箱の中で母鶏の羽毛につつまれて寒い夜をしのぐ。
運動能力の発達は驚くほど早い。10日もすると、かなりの段差を飛び越えて鶏舎の外へ出てくるようになる。親鳥に寄り添いながらさかんに動き回る。しかし人が近づくと母鶏のもとに集まる。
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