EVAミニ小説「おるちゅばんレイ」

土曜の夕方の出来事(地方の七夕編)

 

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8月のある夕暮れ−−− コツ、コツ、コツ…
ここは長野県、元松代近郊のある坂を上りきった見晴らしのいい台地、その所に建っている感じのいいバー、「エバンティ」。

俺のお気に入りのこのバーに土曜日によるのが習慣になっている。まぁ、ミサトとの待ち合わせの場所でもあるんだがな… しかし、今日はこの坂もにぎやかだ。松代夏祭りの日だからな…
おっ。あの浴衣もなかなか…いやいやこれもしかり。 …おいおい、いつから浴衣の丈が短くなったんだぁ?これはイカンだろう…じゅる(?) …おっと、どうやら行きすぎてしまったようだ。もどろう…

きぃぃぃ…
「あ、いらっしゃい。」
「やぁ、デューク、今日はにぎやかだね。」
店では「デューク」と呼ばれているケンスケが加持を迎える。
「いつもは、アスカやシンジのおかげで店の中がにぎやかですが、今日は外の方がにぎやかですよ。」
「…そういえば、どんなに外(店の)がうるさかろうが、店の中はにぎやかなのに今日はなんか、本当にシックなバーって感じがするぞ…」
「ブキミですね…」
「…こうゆう時は酔ってしまったほうがいいかもしれない…デューク、いつもの。」
「いつものですね。かしこまりました。」
そういってマスターのケンスケ君は俺のいつものオンザロックを作り始める。 ピュアモルト100%のサン○リーのウイスキーを今となっては少なくなってしまった南極の氷で飲むのは最高だ。カウンターのいつもの席に座りまわりを眺めてみる。

ん…どうやら、本当に今日はアスカはシンジ君を怒っていないようだ… あれ程毎日怒っているのによっぽどアスカは機嫌がいいのか…
ま、今日もミサトがくるまで暇つぶしに聞いてみますか…

カランカランカラン…
(音。氷の音です。)




「シィンジィ〜(はぁ〜と)。」
「…(汗)。な、なんだい。アスカ。」
アスカのいつもと違う態度にドキドキしながらシンジが答える。
「今日は一ヶ月遅れの七夕祭りよねぇ。」
「そ、そうだね(汗)」
いつもと、いや正確には昼間の態度とは思えぬアスカと、短い浴衣の裾からチラチラと見える白い肌の太ももに、イヤな予感とチラリズムの興奮とでシンジの頭はパニックであった。
ま、もちろん、足をさりげなく組替えながらシンジに見えそうで見えないような状態を作り出し、流し目を使うのはアスカの計算の上での行動であったが…

「でね、シンジ、七夕の話しってしってる?(チラッ。←組替え)」
「も、もちろんだよ。(こんなときのアスカは絶対なにかある。そ、そうだよ。この手でいつも痛い目にあってきたんじゃないか!耐えろ。碇シンジ! 男には絶えなきゃいけない刻(とき)があるんだよっ!   …ああ…でも裸じゃない浴衣のアスカも魅力的だよなぁ…)」
「本当?(ふっふっふ。もうちょっとの様ね…(ニヤリ))」
「あ、あの、織姫と彦星が1年に1度天の川を渡って会えるって話しだろ…」
平静を装い(本人はいたってそのつもり。)、しかし目線は太ももにくぎ付けのシンジが残り少ない平常心をかき集めて返事をする。
目はしっかりアスカの足にくぎ付けになっていながら体は妙にソワソワして挙動不信極まりない。

「そうよぉ〜。あの彦星が織姫に1年に1度、1年間貯めたお金でプレゼントを買って贈りにいく話よ。」
「そ、そうだね。そーゆう話だね…ハッ!」
「な〜んだ。シンジ知ってるじゃない♪」
「もちろん知ってるよ。でもそうゆう話じゃ…」
「(作戦成功♪)もちろん、シンジは彦星でぇ〜、私は織姫よねぇ〜(チラッ)。」
「……。」
「ね!?(ギロッ)」
「…そうだね(泣)」
シンジはこの段階でアスカの作戦から逃れられないことを自覚する。アスカのペースだ。
       

「やだぁ!シンジ。私たちを七夕の話と結びつけてプレゼントくれるなんて♪」
「…そうだね(泣)」
「いつも、色々やってもらっているのに悪いわよ。」
「…そうだね(泣)」
「ギロッ!」
「そ、そんなこと無いよっ(汗)。うん。悪くないです。」
「そんなぁ〜悪いわぁ♪」
「悪くないです(泣)。」
「そんなにシンジがプレゼントくれるって言うんだったら、その好意を無駄にしない為にもらう事にするわ♪」

シンジはいつものパターンと観念し、アスカが言って欲しいだろう一言を口にする。
「アスカ…なにが欲しいの…?」
「あのね、○○にあったXXXのバッグ!」
「そう…(XXXのバッグってこの前見たあの15万円のですかぁ!)」
…それは以前のデートの時に、アスカがシンジにどれだけこのバックが欲しいか話し続けられたバックだ。
「シンジ、無理だったらいいのよ。」
そう言いながらアスカはまた足を組みなおす。裾がはだけるのはもちろん計算済みだ。

チラッ。

「無理?」
トドメとばかりにアスカがシンジに抱きつき耳元でささやく。もちろん密着だ。二つのふくらみが…更になにかポッチリが…って今日はノー○ラですかぁぁぁ!
「全然無理じゃないよっ!」
「じゃぁ、すぐ行きましょう!」
「そ、そうだね!」
満面の笑みを浮かべたアスカと腕を組んでシンジは立ち上がる。








カランカラン…
二人が出て行った「エバンティ」は、また静けさを取り戻す。

…シンジ君。あれは腕を組んだ感じじゃなくて、アスカにがっちり腕を組まれて連行されているようにしか見えないよ…
しかし…漢(おとこ)には罠だとわかっていても時にはわかるわけにはイカン時があるんだよな。シンジ君! わかるぞ!
「…しかし、アスカもイイ太ももだったなぁ…」
加持はさっきの事を思い出しながら後ろに人がいる気配も察知せずニヤリとする。
「…で、誰の太ももがイイって!?(怒)」
「…(汗)。 ミ、ミサト、早かったじゃないか。」
「…まぁいいわ。ところで加持君。七夕の話って知ってる?(ニヤリ)」
「おいおい。さっきシンジ君とアスカもその話をしていたよ。」
ミサトは加持の話を無視して顔はにこやかにしながら言葉を続ける。
「知ってる?」
「ハッ。ま、まさかお前、俺が彦星でお前が織姫とか…(汗)。」
「あら、偶然ねぇ。まったくもってその話よ(ニヤリ)。」
「…この先の展開がなんとなく読めたよ(泣)。」
残りのウィスキーを飲み干し加持は観念して自分の財布を確かめる。





カランカラン…
二人が出て行った「エバンティ」は、今度こそ本当の静けさを取り戻す。

ウェイティングバー「エバンティ」…某ウイスキーメーカーの提供で土曜のFMラジオで流れるノンフィクション夫婦喧嘩生中継番組。
かつての渋い雰囲気の放送とはすっかりかけ離れたもので放送されつづけている…
           

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