ハイビジョン特集
黒澤明に挑む 映画監督・森田芳光
「椿三十郎」を撮る
2007年 9月 10日 (月)
(20:00〜21:30/BShi)
森田監督を追っかけた『椿三十郎』のメイキング特番。
レポとしてはちょっと大雑把なところもありますが、
織田さん部分だけは、なるべく忠実に文字起こししてみました(笑)
撮影現場の様子からスタート。 森田監督中心なので、織田さんは監督の後ろや脇にちょっと映るぐらい(笑) (森田監督の年齢にビックリ!<57歳に見えない(^^;;) 昨年の『椿三十郎』制作発表時の映像と、森田監督のコメント。 今回、敢えて同じシナリオで挑戦するということで、前作と今作の映像が何シーンか交互に映し出される。 初見のシーンもいくつか。 【監督へのインタビュー】 ●映画『椿三十郎』とは? 森田 「超娯楽大作の原点。 本当にやりたかった。」 ●『椿三十郎』のリメイク監督に決まって 森田 「いいところはどんどん取り入れて、もっと違うことができると思う時は どんどんやってみる。 ただ、すごい重圧がある。 日本映画の歴史の重圧が。」 ●何故、同じ台本でやろうと思ったのか 森田 「時代劇は、現代劇と違って時代設定を変える必要はないと思ったし、 上下や横の関係とかの社会機構についても、人間的にも、通じるものはあるから。 (同じ台本でやった方が)『椿三十郎』を知ってる人も楽しめるし、 黒澤監督を知らない人も楽しめるし、まして、『椿』を全く知らない人も楽しめる。」 クランクインの2ヶ月前、スタジオ内で殺陣の練習をする織田さん。 すでに三十郎の衣装を着ているが、かつらはなし。 (長めの髪が汗に濡れて、真剣に練習に励む姿がかっこい〜(*¨*)ポッ) 森田監督の狙いは、これまで織田さんが演じてきた現代のヒーロー像を椿三十郎に投影させ、 若い人たちに感銘を与える映画にしたいというもの。 森田 「織田裕二が主役でやってくんなかったら、やってなかったかもしれませんね(笑) 僕は今、織田裕二が日本の代表だとおもってますよ、正直言って。 だから、その織田裕二が三船さんの役をやってくれなければ、 胸張ってこの映画撮れないと思った。 ホントにそれは直感で。 自分が演出して、織田裕二が三船さんのあの椿三十郎をやるってことは、 全然違和感なかったですね。」 赤や白の椿をバックに、三十郎の出で立ち&不精ひげでのインタビュー。 (撮影の合間?) 織田 「これは、やるって…はい、やります!って言ってから、実はしばらく経ってから インするまでの間に襲ってきましたね、突然。 えっ?って。 これはちょっと経験なかったですね、そういうプレッシャーは…。」 織田 「リメイクっていうことで、もう、前の作品は名作ですから、 絶対不利なんですよ、こっちは(笑) でも、その不利な中でも、ん〜〜…やってやるぞっていうエネルギーが ワーッとありましたからね、現場に。 満ちてましたから。 それは尊敬しながら、リスペクトしながら、なんか、俺たちも頑張ろう っていう感じの力があったんで、やれたんじゃないですかね。 うん。」 三十郎の後ろについていき、その背後で不安げな表情を見せる若侍たちのシーン。 監督が若侍たちの立ち位置にダメ出し・アドバイスする。 「大スターに若手スター」という、黒澤監督の選んだ俳優の組み合わせと一線を画すため、 今回、リーダー役の松山ケンイチ以外は、無名の若手俳優からオーディションによって選んだ。 正攻法では黒澤版は乗り越えられない。 今の若者の感性を、この若侍たちに抽入したいと考えた。 (オーディションシーンも流れたのですが、『湘爆』のオーディションを思い出しました(^^;;) ◆台本シーン12:逃げてきた腰元と若侍たちのやり取り 若侍役に指導する監督の後ろでウロついている織田さん。 <待ちの時すら三十郎っぽい(笑) 監督は、若手俳優一人一人に、それぞれの性格とクセを書いたカードを渡していた。 森田 「織田くんだけが面白かった、織田くんが凄かったって映画には絶対したくない。 全員が凄かった、全員が面白かった。(というものにしたい) それはいつも、『椿三十郎』に限らず心がけてるつもり。 一つの作品っていうのは、一つが突出しててもダメ。 例えば、野球でホームランバッターが50本打っても勝てないチームもあれば、 全員が2割7分しか打てなくても、優勝しちゃう時もある。 それを、この映画でやりたかった。」 全員野球を目指す森田監督が、主役の織田さんに求めるものとは…? ◆三十郎が若侍をたしなめて、打開策を示すシーン 監督が織田さんのところにやってきて打ち合わせ。 口調を変えながら、セリフの言い回しにどこまで現代を感じさせるかを模索。 何度目かで、 森田 「おー、いいじゃん!」 織田 「あ、了解、了解」 結局、若侍の気持ちを察しながらの言い回しに。 森田 「若侍のそれぞれの性格とか適正をわかった三十郎でありたかった。 こいつは俺に反対だな、こいつは俺に賛成だな、こいつは俺に中間派だなとか、 それがわかる三十郎であって欲しかった。 また今の時代、上に立つ人間はそうじゃなきゃいけないと思うしね(笑)」 森田 「三船さんのあの役がリーダーシップであった時代と、 織田くんがリーダーシップをとれる今とは、全然違うわけです。 織田くんのキャラクター≒椿三十郎≒今のリーダーシップというのが、 僕の考え方。 それが、エンターテイメントの中にも意味づけられている。」 ◆シーン12 後半 (前作と今作との比較) 強い口調で言い放つ、絶対的なリーダーの黒澤版三十郎。 対して、一人一人の目を見ながら話しかけ、反論にもしっかりリアクションし、 説得力でチームをまとめていく、森田版三十郎。 <確かに織田さんのキャラに酷似だわ(^^;; 生い立ちを振り返りながら、子供の頃に初めて見た『椿三十郎』への印象や、 映画についての考えを語る森田監督。 ◆シーン51:三十郎と半兵衛が密会するシーン (前作と今作との比較) 黒澤監督は、強面の表情に微妙な台詞回しで、室戸の傲慢さを表現。 森田監督は、藩に仕えながらも一匹狼としての室戸の力を、なんと笑顔で表現。 自らに絶対の自信を持つ室戸。 それ故、強い友情を三十郎に感じていると解釈したのだ。 豊川 「キスでもしそうな勢いでしたからねぇ(笑)<(爆) でも、他にも結構あるんですよ。 三十郎と室戸のシーンってツーアップがすごく多くって、 その時に監督はとにかく、くっついてくれ!くっついてくれ!って言ってて…。」 豊川 「もしかしたら三十郎の過去っていうのは、 室戸みたいに一つの大きな野望を持ってたんだけど、 (それに)失敗してから、一匹狼の道を歩き出したのかもしれないしっていう… 映画のシナリオ以前、あるいはシナリオ以後の部分っていうのは、 この二人のキャラクターにはすごく想像させるところがあると思うんですよ。」 このシーンでは、全編を通じて笑顔を絶やさない、森田版室戸。 この三十郎への友情が、二人のその後の運命を大きく左右する。 森田 「(三十郎と室戸は)お互いに力を認め合っている。 力を認め合ってるんだけど、生き方が違う。 力の存在が友情を支えているというか…。 もし、お互いの力が違ってたら、あの二人には友情も芽生えなかったでしょうね。 要するに、力の尊敬というか、お前よくあの立場でいられるな、みたいな。 もし自分がちょっと考え方が違ったら、立場が逆転していたかもしれない。」 森田監督が今回、睦田夫人役に起用したのは、14年ぶりの映画出演となる中村玉緒さん。 勝新太郎さんと結婚した中村さんは、この役にピッタリだと思ったとか(笑) 撮影が始まって1ヶ月半。 オーディションで敢えて若い俳優たちを起用した森田監督の想いを、 スタッフや織田さんはきっちりと受け止めていた。 ◆シーン27:若侍が、黒幕の屋敷偵察の報告をする場面 とあるセリフで、NG連発の若手俳優(富川一人君)に、織田さんが声をかける。(なんと言ってるかは聞き取れず) NGは10回を超えるが、森田監督も、織田さんもスタッフも、怒らない。 若い力を映画に取り込みたいという想いからだ。 森田 「(富川くんに)ダメなの?」 織田 「はははは!(笑) もう一回やってみて」 森田 「今度やったら、代えるよ」 <ジョークでしょうが、余計プレッシャーのような(^^;; 他の若侍も、次々とNG連発でなかなかOKテイクが出ない。 森田 「もう行け〜50(回)ぐらい! 時間はたっぷりあるし、フィルムもたっぷりあるから、いくらでもやろう。 (セットは)ずっと昼間だしね。」 とうとうフィルムを交換し、テイク22でやっとOK。 黒澤版では、モノクロで椿の「赤」を感じさせた。 森田監督は、椿の色が観客の心に染み入るようにして欲しいと、スタッフに注文。 さらに監督のアイデアで、赤や白だけじゃなく、赤と白の混じった斑椿も。 モノクロは客の想像力で椿の色を感じたが、カラーはスタッフの想像力が試される、と。 そして、淡い色調の画面に映える「赤」が完成した。 現代の息吹を感じさせたい森田監督は、撮影現場での発想やひらめきを大切にする。 監督が現場で、何故か一人で突然ガッツポーズ。 シーン12で、逃げてきた腰元が再び戻るために立った時の、決めポーズをひらめいたのでした(笑) 現代にもいそうな、人間くさい黒幕を描きたいという森田監督。 三悪人にも細かい設定をつけて、狭い空間でも弾けた演技を演出する。 黒澤版と同じ台本で撮ると決めた故の、様々な悩みもあった。 その中で、撮影前日まで答えが出なかったシーン。 ◆シーン74:城代家老をどのように救い出すかを相談している場面 奥方たちののん気な発言に苛立つ三十郎を、黒澤監督は 画面の片隅で襖の文字をなぞらせるという演出で表現した。 自分ならではの演出、そして織田裕二ならではの演技があるのではないかと、 森田監督はずっと悩み続けていたという。 そのアイデアは、部屋に置いてあった碁盤から見つけたらしいのだが…(答えは未発表(^^;;) そしてこの碁盤のシーンが、織田さんの最後の撮影シーン。 撮影を終えてセットから出てくると、そこにはズラッと並ぶスタッフ・キャスト一同! 織田 「うゎ、ビックリしたぁ〜〜!(笑)」 スタッフ 「それでは皆さん、椿三十郎役織田裕二さん、全て終了しました。 お疲れ様です!」 みんな拍手。 森田監督がでっかい椿の花束を持ってきて、織田さんとハグ♪ そして、稽古を含めて4ヶ月近く戦ってきた織田さんに、森田監督はとっておきの演出を用意。 おもむろに取り出した巻物。 森田 「それでは読ませて頂きます。 血判状!」 織田 「おほほぅ?(笑)」 森田 「貴殿は、『椿三十郎』撮影にあたり、真摯な姿勢と情熱、 スタッフ・キャストに対する温かい気遣いを以て、三十郎役を全うされました。 死ぬも生きるも、我々74人。 今後も、貴殿の熱演に応えるべく、 素晴らしい映画の完成と大ヒットを目指し全力投球することを、血判を以て、ここに誓います。 あとは、このメンバーが全部、血判をここに押しております!(と、巻物を広げる)」 織田 「うへぇえええ!??」 おーーー!と、周りから歓声と拍手。 織田 「ありがとうございます。 こんなの初めてですよ! ビックリした…。 皆さん、最初から、すごくプレッシャーとも戦いながら、 でも、いつの間にか、監督の下、えー森田監督作品『椿三十郎』が完成すると思います。 ホントに、なんとも言えない…(血判状を見ながら)今、幸せな気分です。 まだ撮影は残ってると思うんで、是非、(僕が)いないところも頑張ってください。 あばよっ!」 三十郎の決めセリフで締めくくる織田さんでした(笑) ◆シーン49:三十郎を信じるべきか否か、若侍たちが言い合う場面 速いテンポの中で、若侍一人一人がその個性を表現しなければならない。 2006年12月1日。 香川県の高松城披雲閣で、若侍たち最後の撮影。 ラストの決闘の直前のシーンで、クランクアップ。 森田監督から、若侍役の若手俳優たちに、それぞれの役のセリフを一言ずつ直筆した扇子の贈り物が♪ 年が明けて、2月。 東宝のサウンドスタジオでの、ダビング(効果音などを加えてリアルなシーンを作り上げる)作業。 三十郎の殺陣に、どんな音をつけるか。 たくさんの布を用意し、ハサミなどを突き立てて、 刀を突き刺す音、切り裂く音などを収録していく。 <意外とアナログ…(^^;; 監督がこだわった、殺陣の音のポイントは、 @人数の減り方を音で表現 A三十郎の心臓音を入れる B骨の砕ける音などを入れる 個人的にはAに興味があるのですが(笑) 監督曰く、人を何人も斬っていくというのは疲れるはずだと。 その三十郎の疲れを、心臓音で表現したいのだという。 部屋の奥から聞こえてくる、酔った武士たちの歌声は、 森田監督作詞作曲でスタジオでスタッフたちみんなで収録。 音楽担当は、大島ミチルさん。 今回の森田監督からの注文は、「メジャーコードで、複雑な転調をしないストレートな音楽」。 黒澤映画は、日本映画の歴史そのものだと語り続けた森田監督。 黒澤映画の完成度故に、今回の試みは、何度となく「無謀」だと揶揄された。 森田監督は、今、どう考えているのか? 森田 「今は満足してますよ。 ただ、始まる前は、自分では自信があったんだけど、 絶対に斜に構えて見る人が専門家にはたくさんいると思います。 黒澤監督に対して何やってんだと。 でもやっぱり、時代と共に映画というものはあるし、歴史もあっての今だから、 それを、敢えて自分が犠牲になって、どんな形で言われるかわかんないけど、 チャレンジしたことは、意義あることだと思いますね。」 なんだか、織田さんと同じような精神を持った方ですね〜(^-^) 『椿三十郎』といえば、45年後の今もファンの脳裏に焼きついているという、ラストの決闘シーン。 今回、森田監督は黒澤版の撮影現場を探し出し、全く同じ現場で撮影に臨んだ。 この決闘シーン。 台本には、「これからの二人の決斗(決闘)は、とても筆では書けない」と書かれている。 森田版の決闘シーンは果たしてどうなるのか? 三十郎と室戸が、45年前と同じ現場で向き合うシーンで、番組は終了。 エンディングで流れた曲は劇中曲でしょうか? 初聴でしたが、重厚な感じが気に入りました♪ |