公務員試験お役立ちメモ
ここはあくまで管理人マサの個人的なメモであり、その内容の正確さは保障できません。


2002年05月20日(月) 民法メモ7

他人の物を賃貸借契約の目的とした場合、賃貸人は賃借人に対し、他人から権利を取得して目的物を使用できるようにする義務を負う。
有償契約たる賃貸借契約には売買契約に関する規定が準用される(民法559条)。したがって、上記のような他人物賃貸借に対しては他人物売買に関する560条の規定が準用され、賃貸人は賃借人に対し、他人から権利を取得して目的物を使用できるようにする義務を負うことになる。


BがAから賃借してる家屋をCに転貸する場合において、CはAに対して直接義務を負うので、たとえBC間の契約で賃料の前払いの特約があり、これに従ってCがすでにBに賃料を支払っていても、このことを理由にAからの賃料支払請求を拒絶することはできない。
転借人Cは賃貸人Aに対し直接に賃料支払い等の義務を負い、賃借人Bに対する賃料の前払いは、賃貸人Aに対抗することができない(民法613条1項)。賃貸人の賃料債権を確保するためである。


AはBとの間でB所有の土地を目的とする賃借契約を締結したが、まだ引渡しを受けておらず、さらに当該土地はCに占拠されていた。Cが無権限で土地を占拠していた場合、Aは賃借権につき登記を経由していなくても、自己の賃借権を保全するため、BのCに対する妨害排除請求権を代位行使することにより、Cの妨害を排除しうる。
Aが賃借権の登記も土地の占有も有しない以上、Cの妨害を排除するには、BのCに対する妨害排除請求権の代位行使よることからなる(大判昭4・12・16)。これはAが対抗要件を具備しない場合の手段だから、登記を経由しなくても認められる。


贈与は、当事者の合意があれば目的物の引渡しがなくても成立する諾成契約であるが、書面によらない贈与については、当事者は、履行の終わらない部分を取り消すことができる。
民法550条。贈与は諾成契約であり、かつ贈与者に一方的負担を負わせるものであることから、安易な贈与がなされた場合に、贈与者がこれを撤回する余地を認めたものである。ここにいう「取り消し」とは民法120条に言う法律行為の取り消しではなく、撤回(法律効果の発生が未確定な場合に、法律効果を発生させないことにすること)を意味する。


金銭消費貸借の成立用件としての「引渡し」としては、借主に対して預金通帳と印鑑を交付することでも足りるとするのが判例である。
消費貸借は要物契約であるから、契約の目的物を借主に引き渡すこと(条文上は「借主が受け取る」)が契約成立の要件になる。しかし、この要件は緩和して解釈されており、金銭の場合、上記のような預金通帳と印鑑の交付でも足りるとするのが判例である(大判大11・10・25)。


製造物責任法にいう欠陥は製造物が通常有する安全性の欠如を意味するが、請負人の担保責任を生じさせる瑕疵は、安全性の欠如に限られない。
製造物責任法にいう欠陥については同法2条2項に上記のような定義が置かれている。これに対して請負人の担保責任における瑕疵については定義規定を欠くが、広く物の性状の瑕疵を指す。これは、前者が瑕疵から生じた人の生命・身体・財産等に対する被害(拡大被害)についての責任を定めたものであるのに対して、後者は、仕事の完成という契約上の義務の不履行(不完全履行)自体に関する責任を定めたものだからである。


委任は請負とは異なり事務を処理する行為自体に重点が置かれているから、有償委任の受任者は、委任が履行の途中で終了しても、それが自己の責に帰すべからざる事由による場合には、履行した部分につき報酬を請求することができる。
委任者については民法648条3項。これに対して請負契約の目的は仕事の完成であり、報酬の支払いは「仕事の結果」に対してなされる(632条)。したがって、両者は同時履行の関係を立たない。


不当利得が成立するためには、利得が法律上の原因なくして生じたものであることが必要であるが、時効によって権利を取得した者は、法律上の原因なくして利得したとは言えないから、原権利者に対して不当利得返還義務を負わない。
時効取得の成立により、取得者は起算日すなわちその占有のはじめに遡って権利を取得することができる(民法144条)。そしてこれは、民法の規定による適法な権利の取得である。したがって、法律上の原因は存在するから、不当利得は成立しない。


不法の原因により物を給付した場合であっても、その原因が受益者のみにある場合には、損失者は不当利得として返還請求をすることができる。
いはゆる片面的不法とよばれる(民法708条但書)受益者のみに不法原因がある場合には、損失者の返還請求を肯定しても法が不法を助力することにはならないからである。


AがBに対して債務を負わないことを知りつつ、債務の弁済として給付をなした場合、それがBによる強制執行を避けるためやむを得ずなしたものであれば、AはBに対し当該給付につき不当利得として返還を請求することができる。
債務者でない者が債務の弁済として給付をおこなった場合(非債弁済)、債務の不存在を知りつつおこなったのであれば返還請求ができないとされる(民法705条)。しかし、給付をおこなうことにつきやむを得ない事情があれば返還請求を認めるべきであり、強制執行を避けるためというのもこの場合にあたる(大判大6・12・11)。


精神の障害により事理を弁識できない者は責任能力を欠くが、その状態を故意・過失によって招いた者は、不法行為責任を免れない。
「原因において自由な行為」とよばれる(民法713条但書)。自ら事理弁識能力を欠く状態を招いた以上、賠償責任を負わせてもその者に酷ではないからである。


妻が夫の車に同乗したところ、夫と第三者双方の過失により事故が生じ、妻が負傷したため、妻がこの第三者に対して損害賠償請求をした場合、裁判所は、賠償額の算定にあたって夫の過失をもって相殺することができる。
一般に被害者と密接な利害関係を同じくする者の過失は、被害者の過失の斟酌にあたり、「被害者側の過失」として考慮しうるとされる。判例(最判昭51・3・25)は上記のような場合に、夫の過失をもって相殺することを認めた。過失相殺の制度が、損害額の算定における公平性を確保するための手段だからである。


被用者がその地位を濫用し私利を図り、または私用のために行為した結果、不法行為が生じた場合であっても、使用者が責任を負うことがある。
使用者責任を生じるには、被用者の不法行為が「事業の執行に付き」なされたことが必要であるが、これは「外形上、事業の執行行為またはこれに付随する行為と見られるもの」であれば足りる(外形標準説)。したがって、「私利を図り、または私用のため」の行為であってもこの要件に該当する場合には使用者が責任を負うことがある(最判昭40・11・30)。


会社員Aが工場内において機械の整備中、同僚Bの運転する車両に轢かれて即死した事例。会社は使用者責任を負うほか、Aとの契約上、Aが安全に勤務することができるよう配慮すべき信義則上の義務を負うので、Aの遺族は会社に対していずれの責任をも追及することができる。
Bは会社の被用者であり、不法行為との関係ではAも「第三者」と言えるから、会社には使用者責任(民法715条1項)が成立する。また、会社はAとの雇用契約上の付随的義務として、Aの安全に配慮すべき信義則上の義務(最判昭50・2・25)、その違反として債務不履行責任も負う。
それらの両責任は競合的に認められるから、被害者たるAの遺族はいずれの責任も追求することができる(大判大6・10・20)。