公務員試験お役立ちメモ
ここはあくまで管理人マサの個人的なメモであり、その内容の正確さは保障できません。


2002年05月18日(土) 民法メモ5

Aがミカン10キログラムをBに売り渡す売買契約につき、ミカンの引渡場所がBの住所となっていた場合は、AがBの住所においてミカン10キログラムを現実に提供したときに給付目的物は特定する。
民法401条2項。持参債務については、債権者(B)の住所で現実の提供がなされたときに債務者が給付をなすに必要な行為を完了したといえるから、このときに給付目的物が特定する(大判大8・12・25)。
「特定」の概念は、1・債務者が給付をなすに必要な行為を完了したとき、2・債権者の同意を得て給付すべきものを指定したときに特定し、以後は「その物」を給付すればよい状態になる。



A運送会社の従業員BおよびCが、D宅にタンスを配送し、家の中に運び込んだところ、Bの過失によってD宅の玄関にあった50万円相当の壷を割ってしまった場合は、A運送会社はDに対して債務不履行責任(民法415条)を負う。
いわゆる積極的債権侵害の問題である。A運送会社とDとの間には運送契約が認められるが、これに基づいてAは単にタンスを運ぶ義務のみならず、その過程でDに損害を与えない義務も負っているので、運送の過程で生じた損害につきDに賠償責任を負う。また、上記の例では壷を割ったのはBであるが、BはA運送会社の従業員であるから、Aの履行補助者であると考えられる。そして債務者は履行補助者の故意過失についても責任を負うべきである(大判昭4・3・30)から、AはDに対して債務不履行責任を負う。
債務不履行には、1・履行遅滞、2・不完全履行、3・履行不能、の3つの形態があるとされており、いずれも債務者の帰責事由を要する。



AがBに対して絵画の引渡債権を有している場合において、Bの責めに帰すべき事由による履行遅滞の間に第三者Cの放火によりこの絵画を保管しているBの家屋が焼失し絵画も焼失したときは、Bは絵画焼失による履行不能についてもAに対して責任を負わなければならない。
債務者は、履行遅滞がなくても減失していたと立証できないかぎり、履行遅滞後には、その責めに帰すべからざる履行不能についても、責任を負わなければならない(大判明39・10・29)。


Aが自己所有の中古車をBに売却する契約を締結した。Aが自動車を約定通りBに引き渡そうとしたにもかかわらず、Bが受領を拒絶した後、地震により当該自動車が大破した場合、Aは約定通り自動車の代金を請求することができる。
契約締結後、債務者の帰責事由によらず債務の履行が不可能になった場合、危険負担の問題となる。そして中古車の売買契約のような特定物に関する物権の移転を目的とする契約については、債権者主義(民法534条1項)が適用される。その結果、代金の支払義務は継続することになる。


債務者Bがすでに第三債務者Cに対して有する債権を行使している場合には、その行使の方法が不適当なために債権を完全に回収することができないときであっても、Bの債権者AはBのCに対する債権を代位行使することはできない。
債権者が自ら行使している場合は、その行使の方法または結果の良否にかかわらず、債権者は債権者代位権を行使することができない(最判昭28・12・14)。かかる場合に行使を認めると、債務者の財産に対する不当な干渉になるからである。債権者としては、債権者取消権を行使するなどして権利の保全を図るしかない。


詐害行為取消権行使の前提となる被保全債権は、詐害行為以前に成立したものでなければならない。
詐害行為取消権(債権者取消権、民法424条)。債権者は、債権発生当時における債務者の資力を信用の基礎として評価するのであるから、詐害行為当時にまだ存在していない債権は、その詐害行為によって害されるという関係にないからである。


AがBに対して100万円の債権を有していたとき、Bが唯一の財産である土地を相当の価格で第三者に売却した場合であっても、Aはこの行為を詐害行為にあたるとして債権者取消権を行使することができる。
相当の価格による売却であっても、債務者Bの財産が費消しやすい金銭に変わるため、原則として詐害行為にあたる(大判明39・2・5)。ただし、例外として、その売却が債権者への弁済や抵当権を消滅させるための弁済資金を調達することを目的としている場合などには、詐害行為の成立を否定している。


連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の債務者に対しても効力を生ずる。
民法434条。請求が絶対効を有するところから、請求による時効中断も他の債権者に及ぶことになる。しかし、差押・承認等、請求以外の中断事由は他の債権者に及ばない。請求を除く時効の中断は相対効(440条)にすぎないからである。
連帯債務の絶対効(434条〜439条)=請求・更改・相殺・免除・混同・時効の完成の六つ。



連帯債務者の一人が事前の通知なくして債務の全額を弁済したところ、他の債務者の一人が債務の免除を受けていた場合には、当該債務者は弁済者からの償還を拒むことができる。
連帯債務者の一人が事前に他の債務者に通知することなく弁済をおこなった場合、他の債務者の求償に際し、他の債務者は債権者に対する抗弁事由をもって求償者に対抗することができる(民法443条1項)。したがって、債務の免除を受けていた債務者はこれをもって求償者に対抗し、求償を拒むことができる。


債権者が主債務者に履行の請求をした上で保証人に履行を請求したときであっても、保証人は、主たる債務者の弁済の資質があり、かつ容易に執行できることを立証して、まず主たる債務者に執行すべきことを請求することができる。
民法453条の通り。これを検索の抗弁権という。保証債務の補充性から導かれる。その他に催告の抗弁権(452条)。


AがBに対して有する債権をCが保証した場合において、BがAに対して債権を有しているときは、Cはこれを自働債権として主たる債務と相殺することができる。
相殺は、相殺者が被相殺者に対して有する債権によってなされるのが原則である(民法505条1項)。しかし、保証人は主たる債務者の有する債権によって相殺ができる(457条2項)。上記では、保証人(C)は、主たる債務者(B)が債権者(A)に対して有する債権を自働債権として主たる債務と相殺することができる。


AのBに対する金銭債務について、CがAから委託をうけて連帯保証した場合において、BがCに対して債務の履行を請求し、これによって消滅時効が中断したときは、この時効中断の効力は、Aにも及ぶ。
連帯保証人には連帯債務に関する民法434条ないし440条の絶対効や相対効の規定が準用される(458条)。その結果、連帯保証人に対する「請求」による時効中断の効果は、主債務者にも及ぶ(434条)。
連帯保証に関しては、1・補充性(催告・検索の抗弁権)がない、2・連帯保証人には連帯債務の絶対効・相対効に関する規定が準用されるが、負担部分がないので、請求および更改・相殺・混同による債務消滅の効果のみが主債務者にも及ぶ(絶対効)、の2点が重要。



AがXに対して負う1000万円の債務について、Bが連帯債務を負う場合(負担部分は平等)と、連帯保証を負う場合とで結論が異ならないのは、BがXから履行の請求をうけた場合である。
連帯債務の場合、Bへの履行の請求は民法434条によりAに対しても効力を生ずる。連帯保証の場合も、458条により434条が準用されるので、連帯保証人Bへの履行の請求は主債務者Aに対しても効力を生ずる。


甲が乙に対して有する債権を丙に譲渡した場合において、この債権譲渡を乙が承諾するときは、甲・丙いずれに対してなされてもよい。
承諾を対抗要件としたのは(民法466条1項)債務者のためであるから、債務者が譲渡を承諾する旨の認識を表明しさえすれば足り、承諾の相手方は譲受人(丙)でも譲渡人(甲)でも良い(大判昭4・2・23)。


AがBに対して有する100万円の債権をCに譲渡した事例。AがBに対して債権譲渡の通知をおこなった場合に、Bが通知以前にAに対して反対債権を取得していた場合、Bは双方の債権の弁済期の前後を問わず、相殺をもってCに対抗することができる。
債権譲渡の対抗要件として債務者に対する譲渡の通知がなされた場合、債務者は通知までに譲渡人に対して生じた抗弁事由をもって、譲受人に対抗することができる(民法468条2項)。そして、債務者が反対債権による相殺を主張する場合は、当該反対債権を債権譲渡の通知以前に取得していれば、譲渡債権との弁済期の前後を問わず、総裁を持って譲受人に対抗できるとするのが判例である(最判昭50・12・8)。債務者の相殺に対する期待を重視したものである。


債権の準占有者に対して弁済した場合、債務者が善意であっても、過失によって真実の債権者でないことを知らなかった場合には、弁済は有効とされない。
民法478条の文言は、債務者が「善意」で弁済すれば有効と規定するが、外観に対する信頼を基礎とする規定があることから、「無過失」をも要求するのが判例・通説である(最判昭37・8・21)。


AがBに対して有する100万円の債権に対する弁済がなされたとき、Aが当該債権をC・Dに二重譲渡し、DがCに優先することとなった場合において、Bが、Cが債権の正当な譲受人であると過失なく信じて弁済した場合には、当該弁済は有効となる。
債権の二重譲渡がなされた場合に、譲受人間の対抗関係(民法467条2項)により劣後する譲受人は、債務者との関係では債権の準占有者に該当する(最判昭61・4・11)。したがって、債務者BがCに対して、Cが正当な受領権限を有しないことについて善意無過失で弁済すれば、当該弁済は有効となる。


本来の債務に代えて車を引き渡すことによる代物弁済を行う場合、債権消滅の効果は、車を債権者に引き渡した時点で生じる。
代物弁済による債権消滅の効果は「給付を為したるとき」に生ずる(民法482条)。すなわち、代物弁済は要物契約であって、目的物の引渡しが成立用件である。


AがBに対して甲債権を有しているが、まだ弁済期が到来していない場合は、BがAに対して有する乙債権の弁済期が到来していても、Aは甲債権を自働債権として乙債権とその対等額において相殺することはできない。
民法505条1項。弁済期未到来の債権は、自己の期限の利益を放棄することによって受働債権として相殺できるが、自働債権としては相殺することはできない。一方的に相手方の期限の利益を放棄させることになるからである。


相殺は、双方の債務の履行地が異なるときでもなすことができるが、相殺をした者は、相手方に相殺によって生じた損害を賠償しなければならない。
双方の履行地が異なっても相殺をなすこと自体は妨げられない。ただし、履行地が異なる場合に相殺を行うと、相手方が調達予定地で現実の履行が得られなくなり、新たな調達費用がかかる等の損害が生ずるおそれがある。このような場合、相殺をした者は相手方の損害を賠償しなければならない(507条)。