公務員試験お役立ちメモ
ここはあくまで管理人マサの個人的なメモであり、その内容の正確さは保障できません。


2002年05月17日(金) 民法メモ4

担保物権は、債権を担保するためのものであるから、債権全額が弁済消滅した場合には、たとえ担保物権の登記を抹消しなくても、担保物権も消滅する。
これを担保物権の「附従性」という。担保物権の通有性としては、この附従性のほかに、随伴性・不可分性・物上代位性がある。随伴性とは、債権が他人に移転すれば担保物権もこれに伴い移転すること、不可分性とは、債権全部の弁済を受けるまで目的のうえに担保物権を行使しうること、物上代位性とは、目的物の売却・賃貸などにより、債務者が受ける金銭その他の代償物に対して担保物権を行使しうることをいう。


家屋の賃借人は、その賃借中に支出した必要費の償還請求権につき、留置権の行使としてその家屋に引き続き居住することができる。
上記の場合に、賃借人であった者が当該家屋に居住することは、留置物の保存に必要な使用として許される(大判昭10・5・13)。


質権設定は要物契約であるが、質物を第三者に保管させたままで、有効に設定することができる。
要物契約の成立には、相手方に目的物の占有を移転することが必要である。質権においては、質権設定者による代理占有を禁じているから(民法345条)、占有改定(設定者がそのまま保管)による設定は禁止されるが、指図による占有移転は禁止されない(大判昭9・6・2)。


債務者のために自己の所有物に抵当権を設定した者が抵当権の実行によりこれを失った場合には、その者は債務者に対し求償することができるが、質権を設定した場合であっても抵当権の場合と同等に求償権を行使できる。
債務者のために自己の所有物に抵当権ないし質権を設定した者を物上保証人といい、保証人の場合に準じて債務者に対する求償権が認められている(民法351条)。抵当権については、質権に関する規定が準用されている(372条)。


AがBに対して有する債権を担保するために、B所有の建物に抵当権を設定したが、その後にこの建物が火災によって焼失した場合はAはBが取得した火災保険金請求権に対して抵当権を行使することができる。
抵当権は目的物の交換価値を把握する権利だから、何らかの事由で目的物の交換価値が現実化した場合には、それにも抵当権の効力を及ぼすことができる(物上代位、民法372条・304条)。火災保険金は、抵当権の目的物の交換価値が現実化したものと解されるので、Aは物上代位によりこの火災保険量請求権についても抵当権を行使することができる(大連判大12・4・7)。


BがAから賃借した土地に建物を建築し、これに抵当権を設定したが、この抵当権が実行されてCが買い受けた場合は、CはBが有していたAの土地の借地権を取得することができる。
敷地賃借権は従たる権利として建物所有権に付随するので、従物の場合と同様にこれにも抵当権の効力が及ぶ(最判昭40・5・4)。


AがBに対して有する債権を担保するためにB所有の山林に抵当権を設定したところ、Bが第三者Cが無断でこの山林を立木を伐採し、それにより山林の交換価値が減少しAが損害を被ったときは、Cに対して損害賠償請求をすることができる。
抵当権者は第三者の行為によって抵当不動産の交換価値が減少し損害を被ったときは、抵当権侵害としてその賠償を請求することができる(民法709条)。この場合、競売の結果を待つ必要はない(大判昭11・4・13)。
抵当権者は、債務者は第三者の行為によって被担保債権が担保されなくなるおそれが生じた場合、物件である抵当権に基づく侵害行為差止の請求や抵当権に対する不法行為に基づく損害賠償の請求をすることができる。ただし、抵当権は目的物の交換価値を把握する権利にすぎないから、目的物が通常の経済的用途に従って利用されるかぎりは抵当権が侵害されたとは言えないことになる。また、抵当権の及ぶ範囲から逸脱した場合にも(抵当地から搬出されてしまった木材など)、もはや返還・差止の請求はできなくなる。



土地に抵当権を設定した当時、土地とその上の建物が同一の所有者に属していた場合は、その後、この建物が取り壊されて新築されても、法定地上権が成立する。
抵当地上の建物が再築された場合、抵当権者は旧建物につき法定地上権(民法388条)の成立を予期しているから、旧建物のために法定地上権が成立する場合におけると同一の範囲内において法定地上権が成立する(大判昭10・8・10)。
法定地上権に関しては判例法理が多数形成されているが、抵当権が成立するには、1・約定による敷地利用権が存在しないこと、2・抵当権者が法定地上権の成立を予期していること、という二つの視点が要求される。



抵当権者が債権の利息を請求する場合、抵当権によって担保されるのは満期となった最後の2年分に制限されるが、これは他の債権者との間で優先弁済権を制限したものにすぎないから、他の債権者がいない場合には債務者は債務全額を弁済しないかぎり抵当権を消滅させることはできない。
抵当権者が利息その他の定期金を請求する場合には、実行による優先弁済がなされるまでの、最後の2年分のものにかぎられる(民法374条)。しかし、これは他の債権者との関係で優先弁済の範囲を制限したものにすぎないから、他の債権者がいなければ制限の必要はない。


元本確定日は、根抵当権設定と同時に定める必要はなく、定めた場合であっても後からこれを変更することができる。
(民法398条の6)の通り。ただし、この場合には、根抵当権負担者は3年経過後に確定請求権をもつことになる(398条の19)。


債務者が被担保債権に対して弁済をした後に譲渡担保権者が目的たる不動産を第三者に譲渡してしまった場合、債務者は原則として登記なくして第三者に所有権を対抗することができない。
債務者が被担保債権に対して弁済をおこなった場合には、譲渡担保の目的たる不動産の所有権は債務者の下に復帰する。この場合に、それにもかかわらず譲渡担保権者が当該不動産を第三者に譲渡した場合、一種の二重譲渡の関係を生じる。したがって、第三者がいわゆる背信的悪意者に当たらないかぎり、債務者は登記なくして自己の所有権を当該第三者に対抗することができない(最判昭62・11・12)。