公務員試験お役立ちメモ
ここはあくまで管理人マサの個人的なメモであり、その内容の正確さは保障できません。


2002年06月07日(金) 行政法メモ1

侵害留保説に対しては、国民主権を採用している現行憲法と一致しないとの批判が全部留保説から向けられている。
侵害留保説とは私人の「自由と財産を侵害」するような行政活動のみ法律での根拠が必要とされるという考え方である。しかし、この理論は立憲君主制の下では妥当しえても、国民主権(憲法前文、憲法1条)を採用する現行憲法とは合致しないとの批判が全部留保説から侵害留保説に投げかけられている。


租税滞納処分として国が土地を差し押さえた場合には、国は民法177条の「第三者」に該当する。
判例は、租税滞納処分において、「租税債権がたまたま公法上のものであることは、・・・国が一般私法上の債権者より不利益の取扱を受ける理由となるものではない。それ故、滞納処分による差押の関係においても、民法177条の適用があると判事している(最判昭31・4・24)。


会計法30条が民法と異なり、短期消滅時効を規定したのは行政上の便宜を考慮したことに基づく。
自衛隊員が自衛隊での作業中に死亡した事案につき、判例は会計法30条が民法167条と異なり金銭債権につき5年の消滅時効期間を規定したのは、国の権利義務を早期に決済するなど行政上の便宜を考慮したことに基づくとする(最判昭50・2・25)。


国家公務員法にほうては、政治的行為の制限に違反した場合の制裁として罰則が定められているが、地方公務員法においては、政治的行為の制限に違反した場合の罰則の定めがない。
地方公務員法36条参照


公務員は一般市民とは異なる行政上特殊な地位にあるため、国は、私企業の使用者と同様に、公務員の公務遂行に際して公務員の生命および健康を危険から保護するように配慮すべき信義則上の義務を負うとするのが判例である。
信義則上安全配慮義務を負い、この義務に違反したことに基づく損害賠償義務を負うとしている(最判昭50・2・25)。


法規命令は、行政主体と国民との権利義務関係に関して行政期間が定める一般的規律であるので、行政行為には含まれない。
行政行為は、国民の権利義務を個別・具体的に決定する行為である。法規命令は、国民の権利義務を一般的・抽象的に定めるものである以上、行政行為には含まれない。


職務に専念しない公務員を、本人の意思に反して降職させる行為は、講学上の行政行為に含まれる。
公務員には譲氏の命令に従う義務がある(国家公務員法98条1項等)。そしてこれにより命じられた義務に関して争いが起きてもそれは内部関係の問題であって行政行為ではない。しかし上記で問題にしているのは公務員の勤務関係である。すなわち、その任命や分限・懲戒処分については、国民の権利が権力的に侵害されている場合にあたり、そのような処分は行政行為にあたる。公務員=内部と言うわけではない。職務命令は内部行為だが、勤務関係は外部行為というように、公務員の地位には二面性があるのである。


行政事件訴訟法に規定された出訴期間を経過し、不可争力が生じても行政庁は職権で行政行為を取り消すことができる。
法定の不服申立期間(行政不服審査法14条)、出訴期間(行政事件訴訟法14条)を経過することによって行政行為の違法を主張できなくなるのは、私人であって行政庁ではない。行政庁まで職権取消ができなくなるわけではない。


訴願裁決庁たる県農地委員会が自らの訴願裁決を取り消して異なる裁決を下すことは違法であるが、この裁決には公定力があるから、裁決取消の訴え等で適法に取り消されない限り効力を失わない。
本件の訴願裁決は、行政行為でありかつ不可変更力が働く。したがって、これを取り消して異なる裁決をする等の変更すると違法になる。ではこの違法は重大かつ明白な瑕疵として無効といえるか。そう考える学説もあるが、判例は取り消しうる瑕疵に過ぎないとする。したがって、変更した裁決にも公定力が働き、裁決取消の訴えなどで取り消されない限りその裁決は一応有効と扱われる。


免除とは、法令・行政行為によって課されている作為義務を解除する行為をいい、これには、租税の免除、予防接種の免除などがある。
その他の例として、児童の就学義務の免除など。


公務員について、国家公務員法に定められた懲戒事由がある場合に、懲戒処分を行なうかどうか、懲戒処分を行なうときにいかなる処分を選択するかは、懲戒権者の裁量に任されている。
判例(最判昭52・12・20)はこのように述べて、国家公務員法82条が裁量を認める趣旨であることを明らかにしている。


温泉法に基づく温泉掘削の許可は、都道府県知事の裁量によって決定される事項に属する。
判例は温泉法による許可を「専門技術的な判断を基礎とする行政庁の裁量により決定されるべきことがら」としている(最判昭33・7・1)。


行政行為に課せられた負担に処分の相手方が従わなくても、そのことにより当該行政行為の効果が直ちに否定されるわけではない。
負担は条件と異なり、行政行為の効力発生を不確定の状態におくものではない。ただし、負担の不履行を理由として当該行政行為を撤回することは可能である。


附款によって課す義務は、必要最小限度のものでなければならず、過大な義務を課すことは許されない。
附款を付するには行政庁に裁量が必要だから、附款を付する際にも裁量行為に対する規制である比例原則や平等原則が適用され、このような限界が存在する。


公務員の欠格事由に該当する者の行なった行為は原則として無効であるが、場合によっては有効な行政行為とされることがある。
判例は公務員らしい外観を信じた私人の信頼を保護するために「事実上の公務員の理論」を採用している。すなわち、公務員でない者の行政行為を真実の公務員が行なったものと信じるだけの十分な理由が相手方私人にあるときには、その信頼を保護するために、有効な行政行為があったものとする(最判昭35・12・7)。


行政処分をした行政庁がその処分につき無権限である場合には、その処分は原則として無効である。
重大明白説の趣旨からすれば、上記のような主体に関する瑕疵は重大かつ明白な瑕疵なので無効とされている。


死者に対して農地買収処分令書を発したが、それをその相続人が受け取った場合には、この令書は相続人に発せられたものと読み替えられるから有効である。
これは違法行為の転換の例である。死者に対する令書は無効であるが、その相続人に対する令書としては適法であるために、相続人に対するものとして有効と扱うのである。


行政処分が違法である場合に、行政庁は、その処分を取り消すことが著しく公共の利益を害すると認めるときは、職権で取り消すことはできない。
行政行為に瑕疵がある場合には、行政庁による職権での取消ができるが、秩序を維持し尊重する見地から、取消権の制限が認められる(最判昭33・9・9)。判例は、上記のような場合に取り消せるためには、公益上の特段の理由を必要とする。


行政行為の撤回は、将来に向かってのみその効力を生じるのであって、撤回がなされるとはじめから行政行為がなかったものとして扱われるものではない。
撤回は、行政行為の取消の場合と異なり、適法に成立した行政行為を後から生じた事情により消滅させる手法であるため、その性質から将来に向かってのみ効力を生じるとされる。