50万ヒット記念テキスト〜俺のあまくせつない記憶・・
憧れだった姉さん
02/5/14


  皆さんは恋に恋焦がれ恋に泣いてしまった事はあるだろうか?そもそも恋に恋するって一体どういう状態の事なのか俺には良くわからない。しかし、「もしかしてこれが恋に恋してる状態なの?」 と思った事はある。俺が学生の時の話だ。

  その人は俺が入ったゼミの先輩だった。初めて一目見た瞬間に電撃が走った。あまりにも美しかったのだ。俺は一目惚れと言うもの、特に男の一目惚れと言うものは信じられない。 ぶっちゃげた話、男の一目惚れと言うものは、どんな綺麗事を言っても結局は、「カワイイから、美人だから、だからやりたい!」と言う気持ちが心の奥底に意識的であれ無意識的であれ 潜んでいるものだと思っている。ひとめ見た瞬間に純粋に愛情を感じる事などありえないと。

  当時の俺も恐らくはそうだったのだろう。ものすごく美しい人だったから俺は目を引かれたのだ。そこに邪な気持ちが無かったなんてとても言い切れない。いや、正直言ってバリバリあった。 仲良くなりたいと思った。そしてできることなら最後までいきたいと思った。俺はその後の学生生活でなるべくその人に絡むようにした。積極的にアプローチしたのだ。

  積極的にアプローチしたおかげで数ヶ月後には、俺とその人はかなり仲良くなっていた。いつの頃からか、俺はその人を「姉さん」と呼ぶようになっていた。姉さんも俺の事を良く かまってくれた。末っ子だった姉さんにとっては、俺は弟のように思えたのだろう。その頃から俺の頭の中は姉さんで一杯になっていた。長くふれあい、姉さんの外見だけでなく、その性格も 良くわかってくるにつれて、俺はどんどん姉さんに引かれていったのだ。この頃になるともう、一目惚れだとか、やりたいだとか、そんな気持ちでは説明がつかないくらい俺の気持ちは深いもの になっていた。恐らくこれが恋に恋している状態だったのか。。いや、むしろそれすらも超えていたかもしれない。むしろ高嶺の花。俺の憧れの人になっていたのだ。しかし、それはかなわぬ想い だった。姉さんには彼氏がいたのだ。

  俺は想いを打ち明けられないまま月日は流れた。相変わらず姉さんは俺にとって憧れの人であり、俺は姉さんにとって弟みたいなものに過ぎなかった。仲良くしてくれる事は純粋に嬉しかったが、 仲良くすればするほど俺の心の中で姉さんの存在は大きくなっていき苦しかった。姉さんが彼氏と一緒に歩いている時に遭遇したこともある。その時のせつなさと言ったらもう。。俺と姉さんの距離は 縮まらないが、月日の流れは止まらない。ついに姉さんの卒業の日を迎えた。

  ゼミの卒業生の追い出しコンパの日。俺は姉さんの隣に座る事ができた。ゼミの連中は俺が姉さんにお熱だと言う事を知っていたから気を使ってくれたのだ。本当に楽しいひとときであったが、楽しい 時間は驚くほど早い。帰りの時間には雨が降っていた。そして傘を持っていない姉さんは俺の傘に入ってくれたのだ。こんななんでも無い事であったが、俺の心臓はバクバクした。あの感動は今でも忘れることは できない。まるで俺の精神年齢は中学生に戻ってしまったようだった。この時間が永遠に続け!と何度願った事だろう。しかし明日から姉さんを学校で見る事はもうできないのだ。

  姉さんが卒業して数ヶ月。どうしても俺は姉さんを忘れる事ができなかった。何度も電話をかけようと思ったが、そのたびに、「彼氏と一緒だったらどうしよう?」だとか、「仕事中かもしれないし」だとか、 理由をつけて、電話をかける事ができなかった。すっかり臆病になっていたのだ。しかし、自分を奮い立たせ、金曜日のある日。ついに電話をしてみた。姉さんは卒業後、銀行に勤めていたから、土日は休みのはず。 もしかしたら明日とか暇かもしれないし。と思いつつ、震える手で電話をかけた。
俺:「(トゥルルル〜・・ガチャ)・・・あ、、、もすもす、、」
緊張し過ぎて、「もしもし」が「もすもす」になってしまった。なんて格好悪いんだ、俺。そもそも、本当に電話をかけて良かったのだろうか?もしかしたら物凄く迷惑なんじゃ。。電話がかかってしまって から一瞬にして急に不安になった。しかし、姉さんからの返答は意外なものだった。
姉さん:「こらー!そっちから携帯番号聞いておいて何ヶ月も電話しないなんて失礼だゾ!」
いきなり怒られてしまった。しかし、、もしかして姉さんは俺の電話を待っていてくれたのか?嬉しくなってしまった俺は調子にのってしまった。
俺:「あ、あのさ、明日って姉さん暇?暇だったら遊びに行かない?」
姉さん:「うーん。良いよ。明日は大丈夫。どこに行く?」


  ・・・飛びあがりそうだった。いや、飛びあがってしまった。ダメもとで電話したのに本当にOKだなんて!次の日、俺は車で姉さんを迎えに行き、一緒にドライブをした。そしてドライブインシアターで映画を 見た。しかし俺は隣に姉さんがいる事で緊張し過ぎてしまっていたため、どんな映画だったか内容はとことん覚えていない。が、この日も雨だったことだけは覚えている。ドライブインシアターは大きな駐車場で スクリーンに映画を映し出して、それぞれが車の中から見るので雨だとワイパーを動かさざるをえず、見にくくて大変なのだ。姉さんと俺との節目の日はことごとく雨だった。雨男なのか。。

  問題はその後だ。俺はすっかり困ってしまった。姉さんが卒業してから数ヶ月経っている。もしかしたら彼氏とはもう別れているのかもしれない。でもわかれていないのかもしれない。俺は自分の気持ちを伝えた かった。伝えたかったが恐かった。彼氏の存在が恐かった。姉さんにどんな反応をされるかが恐かった。そして何より結果を出すのが恐かったのだ。結局その日は何も伝える事ができぬままデートは終わった。我ながら 自分のへタレっぷりには頭にくる。

  でも、俺と姉さんの関係はここでは終わらなかった。その後も何度かデートを重ねた。時には姉さんの方から「遊びに行こう!」と電話がかかってくる事もあった。「姉さんも俺のことを気に入ってくれている?」 そう思える事が嬉しかった。そして何度かデートを重ねているうちに俺の頭の中からは姉さんの彼氏の存在は消滅した。いや、本当のところ消滅したわけではない。「これだけ2人で遊んでくれるって事はきっと彼氏とは 別れたんだよな。。」と自分の都合の良いように都合の良いようにと解釈したのだ。でも姉さんにその事を聞く事はどうしてもできなかった。俺は臆病だった。

  それからしばらく経ったある日。その時は来た。姉さんがいとおしいくて、、もうどうしょうもなくて、、、自分でももうどうしたら良いかわからなくて、、、俺は突然姉さんを抱きしめた。そしてKISS。。。その日、 俺は姉さんと一夜を共にした。。

  確信した。俺は頭の中で勝手に確信した。「姉さんは俺の事を好きでいてくれている!彼氏はもういない!」勝手な確信ではあったが、自分よがりの勘違いとは言えないと思う。こういう状況になったら、こう思ってしまう のもごく普通の流れなのではないだろうか?そして俺は姉さんに告白した。順序がまったくの逆になってしまった事は遺憾ではあるが、俺はついに姉さんに想いの全てを告げる事ができたのだ!全てを出し切れた!きっと大丈夫 なはずだ!!そして、姉さんの返事を待つ。

「あ、、、ごめんね。私、、彼氏いるんだ。。ごめんね。。」
・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・え?」


  ・・・なるほど・・・そっかそっか・・・そう言う事か。。。姉さんの彼氏もその年の春から社会人になっている。某証券会社に勤務しているらしい。配属先は、、、北海道。うん。北海道か。。遠いよね。。なるほど。。なるほど。。

  つらくて、、、つらくて悔しくて、、悲しくて。。 なのにわざと明るく振舞ってしまう自分が憎い。でも良かったじゃないか俺!気持ちを全て伝える事ができたじゃないか俺!これでふっきれるじゃないか俺!しかも憧れの姉さんと最後までできたんだぜ俺。ウシシシ!・・・だけど、 だけどだけどだけど、、、どうしても涙が止まらない。。それ以後、、俺と姉さんが会う事はなかった。。。

  先日、俺の耳に飛びこんできた一報。。姉さんが結婚したらしい。すでに北海道に引っ越して新しい土地での生活を始めているそうだ。自分の大好きだった人が幸せになったと言う報だ。これを喜ばなかったら、、祝福できなかった ら男じゃないべ?・・・でも現実は難しいぞ。。・・・うん・・・ごめん。俺は男じゃないらしい。。どうしても素直に祝福することが、、、できない。。


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