世話焼き獄

 

 

 風邪なんて大したことない、そう言う声は痛々しく掠れていた。
「んなことは治してから言えよ」
 スーパーの袋から取り出すものを、雲雀が訝しげに見ているのはわかるが。こ
れは、10代目のお母様の直伝なのだから心配は無用だと言ってやると、また
嫌そうな顔をされた。文句があっても聞いてはやらないからいいけどな。
「すりおろししょうがと、レモンと、はちみつ。体に良さそうなもんばっかりだろうが。
おら、飲め」
 湯呑みに適量を入れて湯を注ぐだけなんだから、風邪を引いてる本人にも
できそうなもんだが、そこは俺の親切心だ。
「……熱い」
 まったく、世話が焼ける奴だぜ。

 

 

 


一生懸命ふーふーしてあげる獄寺