大人獄寺×中学雲雀 年の差パラレル
接戦
かぷりと、指先を口に入れられた。食べ物でもないのにどういうつもりか、僕の視線には疑問が混じっていただろう。彼はそれを見て、言葉はないままに唇の端を上げた。
「──ッ!?」
歯を立てられた。爪の付け根、少し柔らかい箇所だ。痛くはない。それほど力も入ってはいないし、あくまでも確かめるように歯を当てて、そこを舌がなぞる。
途端にぞわりと背筋を這う、奇妙な感覚。気のせいかと首を振ってみても、やはりそれはそこにあって。
「何が、おかしいの」
笑みを堪えるような顔と、目が合った。
「ん…?」
口にものを含んでいるせいで相手が喋ることが出来ないと気付く。一人じゃ問答にならない。
それはまるで相手の気が済むまでの、勝負だった。
食べ物です