お約束
「あ…垂れちゃう」
勿体無い、と呟きながら紅い舌が滴を舐め取る。その上気した頬がまた色気を演出しているんだが、自覚はないんだろう。
「美味しい」
いちいち唇を舐めるな!とか、音がやらしすぎだろ!とか言えるはずもなく、俺はそれを眺めるしかない。
「……あげないよ」
その視線を勘違いしたのか雲雀が口を尖らせる。
「いらねぇよ。いいから溶ける前にさっさと食っちまえ」
「言われなくても」
少々下品な音を立てて啜り、最後の一滴を舌先で掬い取る。ソフトクリームごときにそんなに丁寧にしないでも、と思いながらも目を離せない俺も俺だ。
「あげる」
「……おう」
渡されたコーンをかじりながら、人目がないことに心底感謝している俺だった。
小ネタサルベージ
お約束すぎます?