10年後獄ヒバ 捏造マフィア設定 甘口注意

 

 

 休みの日には

 

 

 マフィアの仕事は忙しい。それも幹部ならば尚更だ。特に獄寺は、ボスの右腕として忠実に任務をこなし、それ以上の働きを常としていた上に休日においても執務室で過ごすことすら珍しくはなかった。

 ただ、彼のボスは心配性で、自分が仕事に埋もれているにも関わらず丸一日の休みを言いつけてきたのだ。しかも食い下がろうとしたところ、運悪く(獄寺にとって)通りかかった男により連れ出されることになったのだった。

「はー…」

 天気は申し分ない。気温も程よく、ドライブ日和といったところか。しかし、獄寺は暗澹たる気持ちのままに煙を吐き出した。

「ねぇ、何止まってるの」

 獄寺のため息の原因が助手席で口を開く。そちらに振り返らぬまま二本めの煙草に手を伸ばすと、後頭部を容赦なく叩かれた。

「ってぇな!なんだよ!」

「ランチ、奢ってくれるんでしょ」

 約束はしていない。一方的にこの男、雲雀恭弥が言ってきただけだ。何が楽しくてスーツ姿の男二人で休日デートなどしなければならないのか、文句は口をついて出ることはなかったけれども。

「休憩だ休憩!今から急いでもランチタイムには早いだろうが」

「……ふぅん」

 どうでもよさげに視線をそらした先は、紛れもない絶景。ただ、雲雀はそんなものには興味はないとばかりに目を閉じてしまう。

「ったく…」

 展望帯に停めた車内。窓を開けているために潮騒が耳をつくが、それ以上に鋭い聴覚は深くなる吐息を捉えていた。

 煙草をくわえ直し、火を点ける。煙が流れないように慎重に。

 昨日まで、雲雀は国外を飛び回っていたらしい。今日はたまの休日のはずだ。それが何の気まぐれか獄寺の休日の監視を申し出たのだ。戸惑うボスに構わず、文字通り襟首をひっ掴まれて運転席に放り込まれ、おすすめのランチの店までの運転手を申し付けられた。

「わっかんねーやつ」

 もう少し寝姿を眺めたい気持ちはあるが、峠を越えるにはもう少し掛かる。苦笑を浮かべる自分に気付かないまま、獄寺は煙草を揉み消してエンジンキーに指をかけた。

 

 

 

 

 


 小ネタサルベージ

車ネタなのにほぼ停車中なわな。
休日デートは半ば無理矢理がいいと思うよ。