そういえば。
そういえば、と。向かいの席に座る男が作ったカレーとライスを一緒に口の中に運び入れながら、獄寺は浮かんだ疑問に首を傾げた。
雲雀は見た目と性格のイメージによらず、料理を作ったりする。なしくずしにこうして雲雀の家で一緒に昼飯を食べたりするときなんかは、料理する姿を邪魔しない距離から見ることだってできる。どうやら、風紀副委員長が用意していたものをレンジでチン、というわけでもないらしい。
しかし、料理のできない獄寺にとってはその姿が不思議でならない。だって料理なんて科学実験のようなもので、正しい量と正しい処理、正しい過程を経てこそ出来上がるものではないのか。しかし、雲雀は料理の本などを一度も開くことなく、流れるように作業をこなしていく。そもそも、この部屋に料理本の類など一切見当たらない。
図書館とかで研究して、記憶してるのか?いや、学校の図書室で見かけたときは居眠りをしているだけだった。(静かだったので便乗して俺もサボってたら後で殴られた)
だったら、どうやって?
口の中のものを飲み込んで、水をひとくち。
聞いてみるしかない。
「──なあ、お前どうやって料理覚えたんだ?」
「適当」
あぁ、訊いた俺が馬鹿だった。要するに、雲雀の料理は野生の勘の産物だったというわけか。
小ネタサルベージ
料理できないはやはやはかわいいね!(盲目)