大人獄寺+中学生雲雀 パラレル 短文
雨はキライ。
「僕は雨がキライなんだ」
安普請の築何十年という古びたアパートの、薄汚れた部屋に転がり込んだ仔猫がそう呟いた。
「おめーは嫌いなもん多すぎなんだよ」
煙が流れないように意識しながら息を吐くと、それでも猫は不機嫌そうに眉間に皺を寄せた。
「だって、濡れた毛が耳にくっついて気持ち悪い」
首を振って水を飛ばすが、上質な毛並みは濡れたせいでより艶を増している。雨が続くせいで湿っぽい部屋をこれ以上酷くされてはたまるかとタオルを投げつけても、綺麗に無視されたそれは鳥の名を持つ黒猫の後ろへと力なく落ちた。
「風邪引くぜ」
「平気」
そのままベッドに潜り込もうとするのを遮り、タオルで強引に包み込む。思ったような抵抗がないのは弱っている証拠なのかと不安になるが、猫の浮かべた仔猫らしからぬ表情に合点がいく。濡れた頭がシャツを濡らしたが、まぁ胸元に擦り寄られて悪い気はしない。
「風呂、入らねぇか」
「いい」
この部屋の狭いから、なんて文句には二の句も接げない。
「温まることするから」
「っ…おい!」
気付いたら押し倒されて上に乗られて、シャツまでたくしあげられている。まぁ、濡れた服はどうせ脱ぐつもりだったからいいが。
明日、まともに起きられるだろうかと頭の隅で考えながら、性質の悪い人型の猫にされるがままになる前に主導権を握ろうと虚しい努力に勤しむことにした。
獄にはボロアパートが似合うと思うんだ…
会社員獄寺と、素性の知れない自称中学生の雲雀
とかって萌えるなぁと!