玩具

 

 

「いい加減にしろッ!!」

 間近で吠えられ、耳にキィンと響く。本当に、良く噛みついてくる犬だ。喉仏の感触が、右手のトンファーに伝わってくる。あと少し力を入れるだけで喉を潰してしまえるというのに、まだ負けた目をしない。

「ぐちゃぐちゃにしてあげる」

 柄にもなく高揚しているのが自分でも分かる。楽しいものをみつけてしまった、そんな気分だ。
 草食動物の群れに紛れ込んだ仔犬を一匹、気紛れに引き摺ってきただけだった。

 片腕は押さえ、もう片腕は馬乗りになった体の下に。革張りのソファの上で体重を掛けて動けなくしても、薄い緑の瞳は鋭い光を消さない。

「…誰が、てめぇなんかに…ッ」

「ワオ、まだ逆らう気?」

 弱いものには興味のないはずの僕が目を付けた獲物。一撃で倒されるくらいに弱いのに、何度でも歯向かってきて生意気だよ。

「動けないくせに」

「ぅぐ…ッ」

 あぁ、もう少し痛めつければ良かった。白銀の髪に赤が染み入るのは良い眺めなのに。
 喉を押さえる力を増し息を塞ぐと、強い抵抗が引き攣るように力を失ってゆく。

「ほら、もっと良い哭き声聞かせてよ」

 気を失い掛けた唇を奪い、歯を立てた。口の中に広がる血の味は、僕の意識を覚醒させていく。まだ、遊び足りない。首を絞めていた力を緩め、呼吸させる。

「…ッ…はぁ…っ!」

 急激に吸い込んだ空気に肺が痛むのか、寄せられた眉。落ち着きを取り戻す頃に向けられた視線は、切るように鋭く、けれど生理的な涙に滲んでいた。

「良い目だね。壊したくなるよ」

 自由にした途端掴み掛かってくる手をトンファーで打ち払う。

「くそッ!」

 煙草はすでに取り上げ、ダイナマイトを出す隙すら与えない。それでも歯向かう気はなくしていないようで。

「ほら、もうおしまい?」

 死んでも良いって思えるくらいに痛めつけてあげるから、僕のものになりなよ。

 でも君が頷くことはない。君の命は他の誰かのものなんだってことを僕は知っている。人のものを欲しがる趣味はないけれど、それが君の自尊心を支えているのなら仕方ない。



 せめて壊れるまで遊んであげよう。君は僕の大切な玩具だから。

 

 

 

 


そーゆーことになる以前から
雲雀さんに目をつけられていたので
何度か弄り倒されてる獄寺

DVついでに初ちゅーもさりげなく奪われてるといい
意識無いけど、ね

ワオ、積極的!