つなむく10年後小ネタ
いろいろあって
気付くのはお互い遅くて。でも、何となくじゃなくて最近ちゃんと、好き合ってるって自覚したんだ。
仕事に追われてても、修行で体を追い込んでみても、心の片隅にはお前がいた。目を閉じればすぐに深淵に沈むお前のところに手が届くほどに近づけるのに、現実に戻れば腕の中にすら残らない、霞よりも不確かな偽物のお前がいるだけだった。
どうしてここにいないのか、聞いてもいつもの困った笑顔が浮かぶだけ。総て切っ掛けは俺なんだから、なじってくれればいいのに。そう言えば、お前はきっと困ったように、それでも笑顔で首を振るんだろう。
お前の嫌っていたマフィアになった俺に皮肉ばかり言うけれど、理由なんて一度も訊きはしなかった。俺の性格とか周りの誰かの影響だって勝手に納得してるんだろうけど、それは違うよ。
だって俺は、こんなにもお前が欲しい。
マフィアに、ボンゴレのボスになって得られた力は大きい。炎の強さが覚悟によるのなら、これ以上なんてきっとない。
幸い俺には忠実な右腕をはじめとした守護者達がいる。力を溜めて、根回しして、全て真実のお前に触れたいからだ。
「綱吉、最近機嫌が良いですね」
ことりと首を倒す骸に、綱吉は柔らかい笑みで返す。
「骸といるからじゃない?」
「そうですか?前はもっと、こう…」
「いいから」
訝しげな視線を綱吉に捉えられれば、骸は従うように瞼を降ろし、頼りなかった昔とは大違いですね、と心中で呟きながらも、悪い気はせずに体を預けた。
もう少し。
復讐者の牢獄の位置は把握した。内部の探索はもう一人の霧の守護者と、その仲間に託している。今夜くらいに連絡があるはずだ。
お前の全てを手に入れるために、俺は手段を選ばない。
ボンゴレボスの綱吉もかっこいいと思うんだ