つなむく小ネタ アホ話注意

 

 赤い紐

 

 

 自宅に帰って部屋のドアを開ける、と…ベッドの上に転がる六道骸がいた。しかも、何故か上半身には紐が巻き付いていたりする。

 思わず見なかったことにしようとするけれど、いつもなら部屋にいる家庭教師がいないことと、状況の異常さから逆に不安になって骸に駆け寄ってしまう。

「おい、何やってんだよ…大丈夫か?」

「綱吉くん…」

 うつ伏せになっている骸をなんとか仰向けに返して様子を見る。どうやら外傷はないようだ。が、顔が赤い?それに息も荒い。この状態には見覚えがある。

「骸、お前……」

「暇だったので縛りの練習してたら、解けなくなっちゃいました」

 うっとりと目を細めて笑みを浮かべるこいつに、心配して損したなどとは言ってやらない。それよりも呆れたというのが一番で、その次にちょっと色っぽいなどと思ってしまった自分に対するツッコミが脳内を占拠していた。

「人のベッドの上で変なことしてんなよな!大体、リボーンはどうしたんだよ」

「アルコバレーノに留守を任されたんです。そうしたら綱吉くんがなかなか帰ってこなかったので暇になっちゃいまして」

「補習受けてたんだよ。悪かったな」

 とりあえず骸をこのままにしてはおけないと紐を解きに掛かるが、残念なことに不器用を多少なりとも自覚している自分では解決の糸口さえ見つからず、余計に絡ませてしまう。

「…っ…!」

 ぐい、と引いた紐が、どうなっているのか首に掛かっている部分に繋がっていたらしく、骸が苦しげに息を詰める。

「あ、ごめん」

「いえ…もっとやって下さい…」

 苦しいからというわけではなく、骸が眉を寄せて息を吐く。これはもう、どう見ても欲情しているのは明らかで、それを変態だと罵ろうものならさらに喜びそうだということは知っているのでここは無言を貫く。

「…………」

「おや、どうしました?僕はもっとやって下さいって言っているんですよ」

 平然とそんなことを言ってのける骸に呆れながらも、俺は大概だと思う。黒曜の制服の上から細い紐を食い込ませて喘ぐこいつに、ちょっとその気にさせられているんだから。

「ほんとに、お前はどうしようもない変態だよ」

 呟く口元が歪むのに気付かない振りをして、余った紐を引いて骸を再びうつ伏せにさせる。シーツにくぐもった笑い声が聞こえたけれど、気にしない。ベッドに膝から乗り上げて、骸の下半身の上に馬乗りになった。





 がちゃり。

 何の気配も無く唐突に開いたドアに視線が固定される。ああ、俺の家庭教師は文句のつけようもない凄腕のヒットマンだった。

「お楽しみのようだが、ちゃんと宿題は済ませたんだろうな、ツナ」

「う…」

 補習の最後にたんまりと渡されたプリントが鞄の中にある。読心術なんて卑怯だ、と思うが言えるわけもなく。どうせそんな考えも読まれている。

「宿題が終わるまで続きはなしだからな。骸はそのままほっとけ」

「放置プレイですか…さすがアルコバレーノ」

 いや、こいつにそれは逆効果だから!喜んでるじゃん!

 とりあえずベッドから降りて、そのままなのもいたたまれないのでせめて掛け布団を掛けてみる。ていうか、続きも何も今日中に宿題を終わらせる自信すらないんだけど。

「安心しろ、オレがしっかり面倒見てやる。さっさと宿題を終わらせて骸を可愛がってやれ」

「かわ…お、お前赤ん坊のくせにーっ!!」

 変な恋人と最強の赤ん坊に板ばさみにされてるような気もしないでもないけど、俺は今日も元気です。

 

 

 

 

 


どうしようもないえむくろと、ほだされかけてる綱吉。