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「みずほ流」点訳入門教室

16.小見出し符類・文中注記符・星印類




小見出し符類・文中注記符・星印類(『てびき』p72〜)

 小見出し符類

点訳では、見出し類の文字を大きくしたり、字体を変えて強調することはできませんから、そのかわり、書き出し位置を下げることによって、本文や別の見出しとの区別をつけます。
一番大きなタイトル(見出し)は、9マス目、次が7マス目、次が5マス目、というように、大きなタイトルほど奥から書き出します。
しかし、たくさんの副題や小見出しがついているものは、これだけでは間に合いません。
また、3マス目は、文章の段落の書き出し位置ですから、原則的にはタイトルには使えません。
そこで、3マス目から書き出しているけれど、これは本文ではなく、見出しですよ、ということを表すために、小見出し符を使います。
見出しと本文との間に行替えのない、いわゆる「書き流しの見出し」などによく使われます。

      福祉センターの催し物
   1.福祉・ボランティア関連
  点訳講座のご案内
日時  3月21日から8月31日までの毎週水曜日10時から
定員  20名
場所  福祉センター 第1教室

というような内容を点訳する場合、
「福祉センターの催し物」がいちばん大きなタイトルになりますから、9マス目からはじめるとします。
「1.福祉・ボランティア関連」が次に大きなタイトルなので、7マス目。
「点訳講座のご案内」が5マス目。
さて、そのあとの、日時・定員・場所をどうするかですが、「ニチジ」と書いて、そのあとを2マスあける方法もあります(1マスあけは良くないですね。どこからが日時の説明かわりづらくなります)。
しかし、これらは書き流しの見出しと考えていいと思いますので、ここで、小見出し符を使って、「日時」「定員」「場所」を、そのあとの文と区別したほうが、よりわかりやすくなると思います。
ニチジ小見出し符■3ガツ■21ニチカラ■8ガツ■・・・という具合です。

小見出し符はなかなか便利な記号です。
書き流しの見出しではなくても、
Aという語があって、そのことについての簡単な説明がなされているような場合、
A小見出し符■セツメイブン、というように、説明される語と、説明文とをくっきりさせることができます。
見出しに9、7、5マスを使い切ってしまったので、仕方ないから小見出し符を使おうか、なんて場合も多いんですけどね。
また、見出しというわけではないけれど、何かの例をあげたいときなど、「:」などのかわりに使うことができます。
  代表的な韓国料理:石焼ビピンバ、クッパ、キムチチゲ
  代表的な中華料理:麻婆豆腐、炒飯、餃子
なんていうときの「:」ですが、こういったときに原本が「:」になっているからといって、英文記号のコロンを使ったりしないように。
原本の記号がどういう状況で使われているか、見て取る必要があります。

小見出し符を使う見出しは、3マス目以外から書き始めてはいけません。
5マス目以上の見出しには使えませんし、また文の途中に挿入するのも間違いです。
また、小見出し符のあとの文章は、途中で行替えをしてはいけない、と私は習った記憶があるのですが、少なくとも現在ではかまわないようです。

小見出し符を使うのは、小説・随筆といった普通の本などより、広報・お知らせ・案内・説明書・実用書等々といったものの方が多いと思います。
章や項目がいろいろに分かれているようなものですね。
原本に小見出し符に相当する記号が使われているわけではありませんので、どこに使うのが適切かよく考えて、使い方を一貫させます。
上記の「日時」「定員」「場所」も、日時だけに使って定員・場所には使わなかった、とか、別の講座の説明のところでは違う書き方をした、というのはよくありません。


 文中注記符

本文中のある語について説明をしたいのだけれど、説明文を本文中に入れてしまうと煩雑になってしまうので、そこには「注」や「※」などといれておいて、その項目の後ろとか巻末などで一括して説明をする、などというときの「注」「※」にあたるのが、文中注記符です。

使い方は、以前出てきた説明のカッコ類のように、該当する語句や文の直後に続けて書きます。
原本で語頭・文頭に「注」や「※」がある場合、原本に忠実に書く必要のあるときは、注記符を語頭・文頭に持ってくることができます。

原本で「注1」「注2」などとなっているか、原本では数字は使われていないけれど、注のついた語や文章が複数あって、それらを区別したいときは、注記符の中に数字を入れます。
注記符は5・6の点のマスと、2・3の点のマスの2マスの記号ですから、その二つのマスの間に必要な数字を入れていけばいいわけですが、Tエディタは、5・6の点のあとマスあけがないとそれを外字符と認識しますので(マスあけがあれば読点と認識します)、次に数符があっても、数符のあとの語を数字とは表示してくれず、「数符1」と書いたつもりなのに画面では「数符a」、そのあとの2・3の点も英文記号のセミコロン(;)として表示されます。
以前にも書きましたように、点訳ソフトの墨字画面というのは、まったくの虚像で、晴眼者にとって多少便利だ、というものに過ぎません。だから、自分が打とうと思った通りに表示されない場合、あるいは記号類が重なって複雑になってしまった場合などは、必ず点字画面を見て確かめる必要があります。
墨字画面上でおかしな表示になっていても、点字で見て間違っていなければいいのです。
ゆめゆめ墨字画面を信用されませんように。

文中注記符を使った「注」や「※」の説明は、原本の書き方に準じて章や段落のあと・巻末等に書き入れます。
本文との間は、原本の書き方・内容にもよりますが、1行あけるとか、ページ替えをするとか、線を引くなどして、本文とは区別したほうがいいと思います。
場合によっては、注記符を使った語や文章の点訳書でのページ数や、それに該当する原本のページ数を入れる必要もあると思います。
とくに、点訳書のページ数はなるべく入れるほうが親切です。


 星印類

原本で特に注意を引きたいときや、より強調したいときなどに「☆」や「※」などが文頭についていたりします。
こういった場合、点訳でも星印の記号を使います。
段落・箇条の書き出し位置に星印をつけ、そのあとは1マスあけます。
星印類は3種類ありますが、通常第1星印を使い、使い分けの必要があるときに、第2星印・第3星印を使い、さらに使い分けが必要な場合は、文中注記符を使ってもいいようです。
第3星印は文中注記符のように、該当する語の直後に使うこともできます。
文中注記符の後ろは分かち書きのルール通りですが、第3星印の後ろは1マスあけます。
使い分ける場合は、それぞれの記号が何を表しているか、事前に説明する必要があるだろうと思います。
点字で星印類が使えるのは、「強調」「注意の喚起」などに限られるので、その他の場合に使われる「※」や「☆」には使えません。
行の空きのところに書かれている場合や、箇条書きの文頭すべてに「☆」や「※」がついている場合は、点訳では記号類を何も使わないのが一般的です。

こういった記号類も、原本にあるからといって、いつもそれに対応させて使えばいいというものではなく、なくても充分意味が通じるとか、ないほうがわかりやすい、あってもさほど意味はない、という場合にはできるだけ使わないようにしたほうがいいと思います。
文中注記符はほぼ原本どおりの使い方をする場合が多いのですが、小見出し符は原本にそういうものがあるわけではありませんので、どこに使うか考える必要がありますし、星印類は、行替えするだけで、記号がなくても間に合ったり、短いものなら、該当語句・文章のあとに説明のカッコを入れて書いてしまう、ということも出来ると思います。
かなりの部分ケースバイケース、あるいは点訳者の判断にまかされる場合が多いと思います。

さて、練習問題ですが、
タイトルの書き出し位置やレイアウトについては、まだ詳しく説明しておりませんので、『てびき』を参考に、だいたいの感じでやってみてください。
点訳作業も、こういった内容になってくると、どういった解答が一番正しい、ということはなくて、点訳するひとによって、さまざまな書き表し方があると思います。
また、原本に使われている記号類をすべて点字の記号に置き換えなくてはならない、というわけではありませんので、省略できるところは適宜省略してください。

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  練習問題 27
  台湾・台北『中華グルメの旅』(2泊3日)のご案内
     A.出発時のスケジュール
   1.東京・羽田空港からご参加の方へ
出発便  3月21日(金)10時32分発 台湾インターナショナル航空123便
定員  23名(注1)
添乗員 2名(注2)
集合場所  羽田空港・台湾インターナショナル航空カウンター前
☆機内での昼食となりますので、和食・洋食・中華のご希望をお申し出ください。
   2.札幌・千歳空港からご参加の方へ
出発便 3月21日(金)11時45分発 東北海道航空456便
定員 15名(注1)
添乗員 2名(注2)
集合場所 千歳空港・東北海道航空カウンター前
☆機内で昼食となります(和食のみ)。

(注1)車椅子の必要な方も可。
(注2)当社の添乗員のほか、現地で通訳がひとりつきます。

     B.台北でのスケジュール
  第1日目(3月21日・金曜)
<宿泊先・台北満腹飯店にて夕食>
 ☆料理は各自お好みのコースをご注文ください。
 コース例:広東風点心コース、上海風魚介料理コース、満腹飯店オリジナルコース、その他
  第2日目(3月22日・土曜)
<台北満腹飯店にて朝食バイキング>
<市内観光と食べ歩き・お買い物>
 ☆「食べ歩きコース」と「お買い物コース」はオプションとなっています。
<昼食>
 ☆「食べ歩きコース」は、食通飯店で四川料理(注3)、「お買い物コース」は、中華大楼で広東料理(注4)
 (注3)辛いものがお好きな方向きのコースです。
 (注4)辛いのは苦手という方向きのコースです。
<夕食>
 ☆「食べ歩きコース」は快食大飯店にて満漢全席(※)、「お買い物コース」は、夜の屋台街散策と大笑飯店にて豪華飲茶。
 ※「西太后コース」と「孫悟空コース」が選べます。
  第3日目(3月23日・日曜)
<台北満腹飯店にて朝食バイキング>
 ☆朝粥定食ご希望の方は事前にお申し込みください。
<オプショナルツアー>
 以下のコースからお選びください。
 「中国茶買い放題コース」 ウーロン茶・プーアル茶・ジャスミン茶、その他薬効があるといわれる中国茶の店舗を巡る。
 「点心食べ放題コース」 四川風・広東風・北京風、そして台湾風の、見た目も鮮やかな点心の食べ歩き。
 「激辛中華コース」 辛い料理が大好きという方のために。
 ☆どのコースにもお土産がつきます。
<夕食>
  帰りの機内で、中華料理(和食・洋食はありません)。
<羽田着(7時55分)・解散>
 ☆千歳への乗り継ぎ便については別途ご連絡いたします。
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<練習問題27>について

少し先走って、タイトルなど、書式についても考えなくてはならない問題になってしまってすみません。
本のまとめ方・書式については、さまざまなやり方がありますし、また触れるおりもあるかと思いますので、そういったことについてはここではざっと説明し、主に注記符や星印等について書いてみます。

   台湾・台北『中華グルメの旅』(2泊3日)のご案内
これが、この案内書の中の一番大きなタイトル、つまり総括的なタイトルです。
それで、これを9マス目から書き始めます。
タイトルが長くて1行に入りきらない場合は、2行目以下を2マス下げます。
9マス目のタイトルが2行以上になるときは、2行目以下は11マス目からになります。
3行目からはもう下げないで、何行あっても11マス目です。

   A.出発時のスケジュール
これが次に大きなタイトルなので、7マス目から書き出します。
あとで、「B.台北でのスケジュール」が出てきますが、これも7マス目にします。
同格のタイトルは必ず同じマス目から始めます。

   1.東京・羽田空港からご参加のかたへ
これが5マス目のタイトル、ということになります。
あとの「2.札幌・千歳空港からご参加のかたへ」も、同様です。

となると、もうタイトルに使えるマスがなくなってしまいました。
そこで、「出発便」「定員」「添乗員」「集合場所」は書き流しのタイトルと考えて、小見出し符を使うことにしましょう。
シュッパツビン小見出し符■3ガツ■21ニチ(キン)・・・・という具合です。
「定員」と「添乗員」のところに注がありますので、23メイと2メイのあとに続けて注記符を書きます。
このとき、原本でカッコが使われていますが、点訳上はカッコがなくてもかまわないと思います。
注記符で数字を囲むので、さらにカッコに入れるほどのことはないでしょう。

(注1)と(注2)はそれぞれ2箇所ずつ使われていますので、あとでまとめて注の解説を載せているわけですね。点訳でも同様に仕切り線などを入れて本文とは分けて、注記符のついた語に関しての説明を載せていきます。

さて、「B.台北でのスケジュール」からはまた少し内容が違っています。
「B.台北でのスケジュール」を7マス目にしましたので、「第1日目」を5マス目にもってきます。 以下「第2日目」「第3日目」も5マス目にします。
すると、<宿泊先・台北満腹飯店にて夕食>以下の< >で囲まれた部分をどうしようか、ということになります。
タイトル扱いにしたいのですが、5マス目はもう使ってしまいました。
といって、書き流しのタイトル、というわけでもありません。
そこで、< >に囲まれているので、それをそのまま第2カギにして、3マス目から書き、< >で囲まれていない部分となんとか区別してもらうことにしましょう(苦肉の策です)。

いままで出てきた星印もこれ以降の星印も、とくに必要なものはないように思います。
読めばわかってもらえるところばかりで、☆のついた部分について、あとから何か説明や補足がある、というわけでもありませんので、すべて無しにしてしまってかまいません。
☆は、墨字ではかなり気分的につける場合もありますので、読んでいけばわかるようなところにもわざわざついていることが多いものです。できるだけつけないようにしたほうが読みやすいと思います。
もちろん、絶対必要な星印もありますので、そのへんはちゃんと読み取ってください。

「コース例」のあと:がついて、料理の例がならんでいます。
この:のかわりに小見出し符を使うといいですね。
また、「中国茶買い放題コース」「点心食べ放題コース」「激辛中華コース」も小見出しと考えて、小見出し符を使ってもいいと思いますし、「  」で囲まれていますから、閉じのあと2マスあけだけでもいいでしょう。

(注3)と(注4)および(※)は前述の注記符の書き方をしてもいいですが、短い内容ですので、注記符は使わず、注記符の入っている部分にカッコを入れてそこに説明を書いてしまってもいいと思います。
四川料理(辛いものがお好きな方向きのコースです)
広東料理(辛いのは苦手という方向きのコースです)
満漢全席(「西太后コース」と「孫悟空コース」が選べます)
といった風にするのはどうでしょうか?
内容がすぐにわかってもらえるし、前の(注1)や(注2)と違って、同じ内容の注記が複数あるわけではないので、説明も1箇所で済みます。
原本の内容・種類にもよりますが、多くの場合、記号類で省略できるところは省略して、シンプルに、そして、内容が的確に伝わるように工夫します。
わかりづらい語の解説がはるか離れたページに出てくる、というのはあまりよくないと思います。
注記符の解説を離れたページに載せざるをえないときには、何ページに解説が載っているか、書いておくといいと思います。






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