小耳症について オペなど

私の知っている事を 書いてみました。
また何か 思い出したら その都度 時々書き加えていこうと思います。
間違い等ございましたら お手数ですが 連絡ください。 
失礼な記述がございましたら おわび申しあげます。

聴力について

小耳症の多くは穴が無く 通常では鼓膜がある部分(内耳)までが骨で塞がっています
中には 耳の穴らしいくぼみのあるものもありますが 
大部分は その先は細くなって いきずまりになっています。
そのため 小耳症側では 音がよく聞こえません。

音を聞くための伝達路は2つあります

一つは 空気伝導路。 音は耳の入り口から外耳道 そして鼓膜 
さらに その奥にある3つの小さな骨(つち骨 きぬた骨 あぶみ骨)を経て
内耳から脳の聴覚中枢に伝えられます

2つめは 骨伝導路。 外部からきた音が 頭の骨にぶつかって骨に振動を生じます。
その振動が内耳を経て脳の聴覚中枢に達します。

小耳症は内耳は正常の事が ほとんどなので この骨伝導路による
骨導聴力は健常の人と同じです。

片側小耳症の場合 正面からならば 不都合なく聞こえますが
小耳症側からは少し 大きな音でないと聞き取れないことがあります。

両側小耳症の場合 骨導補聴器により 聴力を得られます。

 

耳介形成手術

2回 大きな手術を受け その後 調整を何度か受けます。
調整は人によって 回数が違います。 満足するまで・・・といったところでしょうか。

1回目のオペで 肋軟骨を 胸の下の方の6番目から7番目 8番目の3本を
肋骨とのつなぎ目のところからとります。
 その軟骨で 耳の土台(フレーム)を造ります。
(Y先生は胸の傷をなるべく小さく また 取り出す軟骨も最小限にしてくださいます)

人間の耳は表側がへこんでいて 裏側がふくらんでいます。

肋軟骨は外側が膨らみ 内側がへこんでいます。 
そこで 肋軟骨の内側面を造る耳の内側に 外側面を裏側になるようにすれば形のいい耳が出来ます。
そのため 右の耳は右の肋軟骨 左は左の肋軟骨を使うのが一般的です。
患者のこの軟骨が堅くなっていると 細工がしにくいそうです。
このフレーム作りは医師の腕の見せ所といったところでしょうか
医師によって 形が違います。 また耳珠を作るかどうかも医師によって違います。
これを 頭の耳の部分に埋め込みます。これが6〜8時間かかるそうです。
この時 まだ 耳は頭に張り付いた状態です。
2〜3週間入院するので 夏休みを利用して受ける事が多いようです。

2回目のオペで 耳を起こします。皮弁や軟骨で 耳を支える様にして起こします。
この軟骨ですが 知人の場合は 肋軟骨を取った時に 
耳起こし用の軟骨を 医師が 頭に埋めておいたそうです。
足の付け根の側腹部から皮膚を取り 耳の後ろになる部分に移植します。
(N先生は 頭に皮膚を移植します。 こうすると皮膚の色が同じになるからです。
またN先生はフレーム作りも独自の方法です。)
こちらは 冬休みを利用する事が多いようです。入院期間は1回目より短くて済みます。

エキスパンダー法(バルーン)の場合は1回目のオペの前に 
バルーンを入れる時と 出すときの2回のオペが必要です。
これは バルーンを入れて 毎日5ccの食塩水を注入し 少しずつ皮膚を伸ばし
ソフトボールほどの大きさにします。 その伸びた皮膚の部分に
フレームを入れます。
でも だからといって皮膚移植が必要ないわけではなく
私の知っている この方法でオペを受けた方は すべて 皮膚も移植しているので
結局 オペの回数は減らない様です (逆に2回増える事になります)
また バルーンを入れている間 これが割れてしまわないように 十分な注意が必要です。


オペの年齢

オペを受ける年齢は 医師の方針やその家族に希望によって異なってきます。
一般に多いのは 就学前と10歳前後でしょうか。
就学前にというのは 親の立場では やはり 入院が長期になるので(2〜3週間)学業への不安と
辛い思いをしたり いじめられるのでは? という心配があるからでしょう。
医師の方は まだ軟骨が柔らかく 柔軟性があるから良い ということの様です。

10歳前後というのは O先生の話によると
その頃になると 体が強くなってきて 病気になりにくい事
丈夫で十分な肋軟骨をとる事が出来る事。
耳が ほぼ大人と同じ大きさになる年齢のため 大人になった時に 左右不対称になりにくい。
髪の生え際が 耳を造る部分にかかりにくくなり 脱毛が少なくて済む。
オペ後の快復も早く ある程度オペに対しての心構えが本人に出来る事
同じ年頃ののオペ仲間達と同室にすると すぐ友達になり 
オペの時だけでなく その後も お互い励まし合える事 です。

これは それぞれの考え方によるので この方がいいとはいいきれません。

 

オペの費用

オペは育成医療が使えるので 負担はあまりないと思います。
(病院によっては出来ないところもありますが 大抵使えます。)
知り合いは2〜3万だったそうです。所得や県によって違うそうです。 

でも 親の交通費や宿泊費 
入院中 子供はやること無くてたいくつするので 
ゲームや本 おこずかい(ジュース買って飲んだりしていたみたい)
などなど こちらの方にお金がかかるそうです

 

その他

オペの後 数ヶ月でスポーツも出来るようになります。
でも 鉄棒など 胸を圧迫する事や 
耳にひっかかってしまうような事はさけた方がいいかと思います
個人差や 体質もあり オペ後 移植した骨が吸収されてしまったり
起こした耳が倒れてしまったり
皮膚が 厚ぼったくなったままだったり
反対に薄くて 皮膚が破れて 骨が露出してしまったり
思うような耳にならない事もある様です。
また あまり低年齢で肋軟骨をとったり 沢山とると 
そちら側の骨が変形してしまう事もあるようです。

体質などは 仕方がないかもしれません。
でも 少しでも満足出来るような耳が出来るよう
みなさまが それぞれの希望にそう医師に出会える事を祈っています
もちろん 家のコウキにも。

そして 医療の発展を 期待しながら 見守っています。

 

                                           参考文献 
                              「耳のない子(小耳症の子供達)と耳を作る手術」 著:荻野洋一先生