Touring Data | |||
(日時) | 2002年9月19日(木) | ||
(天気) | 晴れ | ||
(コース) | 三重県鈴鹿市−(R1・R23・長良川右岸堤防道路)→各務原I.C.−(東海北陸自動車道)→長良川S.A.−ひるがの高原S.A.→飛騨清見I.C.−(R158・県道73・R41・県道89・R158)→乗鞍スカイライン→乗鞍エコーライン→上高地乗鞍林道−(県道26・R19)→川上屋−中津川I.C.−(中央自動車道・名神高速)→一宮I.C.−(西尾張中央道・R23・R1)→三重県鈴鹿市 | ||
(走行距離) | 487.1km (ZZ-R600) | ||
(所要時間) | 14時間 | ||
標高2,702mを目指して延びる日本最高所を走る有料道路、乗鞍スカイライン。
環境保護のため、2003年からマイカー規制が始まるため、愛車で走れるのもあと1ヵ月余り。
日帰り圏内に住んでいながら、このラストチャンスを逃すのはもったいない、というわけで行ってきました乗鞍ラストラン。
仕事にも比較的余裕のあるこの時期。
しばらくグズグズした天気が続いていたが、天気予報によれば、今日は見事な秋晴れになるとのこと。
夏休みの間は大渋滞が続いていた乗鞍スカイラインだが、3連休の前々日となる今日は渋滞も控えめだろうと、大慌てで仕事を片付け、昨日の午後に急に休暇届を提出し、ラストランに備えた。
そして、軽く朝食を済ませた後、朝6時に出発。
天気予報は晴れのままだったが、空一面に雲が広がっている。一瞬、「どうして…。」と落ち込みかけたが、きっと日が昇ると雲は消えていくだろうと気を取り直す。しかも、北のほうの空は若干明るくなっている。
通勤渋滞に巻き込まれたため、予定よりも少し遅れたものの、8時に各務原I.C.に到着。
普段は、あまり高速は使わないのだが、乗鞍がどれぐらい込んでいるのか想像がつかない。
今回はあくまでも乗鞍スカイラインを走るのが目的。
郡上八幡からせせらぎ街道を走るルートも考えたが、時間短縮のため飛騨清見I.C.まで高速を走ることにする。
街中の混雑をよそに、東海北陸自動車道を快走する。
美濃からは片側1車線となるのだが、平日の今日は交通量も少なく、かなりいいペースで距離が伸びていく。
途中、長良川S.A.で休憩。
隣には神戸ナンバーのBMW R1100Rが停まっている。
出発前に軽く言葉を交わしたのだが、やはり彼も日帰りで乗鞍へ向かうと言う。
互いの安全と再会を祈りつつ、一旦別れ、僕が先に出発。
乗鞍での寒さに備え、長袖のTシャツに3シーズンジャケットを着込んで出かけたのだが、郡上八幡を過ぎた頃から少し肌寒さを感じる。
念のため、シートバッグにはセーターとフリースのベストを忍ばせているので心配はないのだが、気温表示は15度前後を示している。
高速とはいえ、山間部を通るので、思ったよりも気温があがってこない。
あまりの涼しさに、ひるがのS.A.で再度ピットイン。
ここでも乗鞍を目指すライダーを発見、シルバーウィングとスティードの2人組と、神戸ナンバーのZZ-R400(懐かしい)を駆る女性ライダー。
ZZ-Rを駆る彼女は、今年は乗鞍には何度かいったので、今日は別の所に行くという。
乗鞍がどれくらい混んでいるのか心配だったので、彼女に尋ねたところ、ご来光を眺めに来る人が多いので、この時間ならそれほど心配しなくても良いと言う。その言葉に安心して、お互いの安全を祈りつつ、再び僕は乗鞍を目指して走り出す。
10時過ぎに飛騨清見I.C.に到着。R158を高山方面に向かう。
R158(白川街道)は傍らをせせらぎが流れるいい感じの道。今回、初めて走るのだが、雰囲気的にはせせらぎ街道に良く似ている。
せせらぎの側には広葉樹が繁り、新緑や紅葉の季節には一段と輝きを増すことだろう。沿道には、“おもちゃ博物館”や“森の水族館”など興味深い施設も立っているが、今日はただひたすら乗鞍を目指す。
途中、“道の駅ななもり清見”で休憩。
ここまで来ると、目の前には乗鞍の姿がはっきりと見えてくる。愛機ZZ-R600の隣には岐阜ナンバーのXJR1300が停まっている。
乗っていたのは、50代の男性。彼もまた乗鞍を目指しているとのこと。今まで一度も行ったことがないので、なんとか最後に走りたいと思い、今日はここまでやって来たのだそうだ。
でも、50代になってXJRとは渋い選択、なんか格好いいなぁ。僕が50代になった時にはどんなバイクに乗っているんだろう。
道の駅を出発した後、高山中心部を迂回し、ひたすら乗鞍を目指す。
朴の木平のコスモス公園が、今ちょうど咲き誇っていて綺麗だったらしい(帰ってきてから、ぴろちゃんに教えてもらった。)のだが、脇目もふらず、ひたすら乗鞍を目指す。時折、穂高の山並みも目に入ってくる。
気がつけば、空は見事に晴れわたり、青く輝いている。太陽の光を反射して、木々の葉も活き活きとしている。
平湯から旧道に入ると、乗鞍スカイラインの入り口はすぐそこ。
平日とはいえ、マイカーで走れる最期の年となる今年はさすがに交通量が多い。
気持ちがいいワインディングが続くが、ゆったりとしたペースで景色を眺めながら走っていく。
ぐんぐんと高度は上がり、北アルプスのダイナミックな姿が目に飛び込んでくる。
振り返れば、ついさっきまで自分が走っていた道が、はるか下のほうに見える。
日が高くなってきたからなのか、思ったほど寒くはない。この分だとセーターもフリースも出番はなさそうだ。
結局、荷物になっただけだが、「備えあれば憂いなし。」と言うので、まぁ良しとしましょう。
実際、寒かったら景色を楽しむこともできず、洒落にならないし…。
料金所まで来ると、営業終了までのカウントダウン看板が。
マイカー規制で走れなくなるのは、乗鞍スカイラインの平湯峠から乗鞍エコーラインの三本滝までの区間。
乗鞍スカイラインの営業期間は、10月末までなので、あと43日で走れなくなってしまうということらしい。
ただし、積雪した場合はそれよりも早く閉鎖するので、実際に走れる期間はもっと短いかもしれない。
ここまで来ると、今日の混み具合もはっきりしてくる。
料金所の放送によると、畳平の駐車場から約2km渋滞しており、時間にすると2時間くらいかかるらしい。
これぐらいの渋滞ならなんとかなりそうだ。
ここから先は畳平までトイレはないので、料金所手前の展望台で、乗鞍スカイラインを前にした最後の休憩を取る。
ここからの眺めもまた素晴らしい。天気の良い今日は、遠く白山までが綺麗に見渡せる。
ここまで来るとバイクや車の台数も増え、あちこちで山をバックに記念撮影をしている。
通行料金は1,100円。
高く感じる人もいるかもしれないが、豪快なワインディング、ダイナミックな景色は値段だけのことはある。だから、僕はけして高いとは思わないし、むしろお買い得に感じるくらいだ。
夫婦松を通り、標高2,002mの望岳台を過ぎると、ヘアピンがいくつもいくつも続く。
いつ来ても走り応えがある道。今日は登っていっただけだが、下って走ると、このヘアピンの終盤では目の前に穂高の雄大な眺めが目に飛び込んでくるはず。
いくつかヘアピンを過ぎていくと、やがて森林限界を超え、周りの雰囲気が一変する。
それまで視界を妨げていた木々も、もはや存在しない。ただ生えているのは、ハイマツと高原植物のみ。
また、どこからか硫黄の匂いも漂ってくる。
コーナーを一つ、また一つクリアしていく度に、山の形や周囲の風景がどんどん姿を変えていき、息をつく暇を与えてくれない。
こんなに気持ちのいい道を来年からは走れなくなってしまうなんて、すごく寂しい気がする。
だから、今年はしっかりとこの道の姿を目に焼き付けるために、大勢の人がここまで来ているのだ。
大丹生岳の展望台を過ぎると、畳平はすぐそこ。
ちょうどこの辺りが畳平から2km地点になるのだが、渋滞の列はまだ見えてこない。
車で来た人たちの中には、渋滞のため畳平まで行くのをあきらめ、ここでUターンをしていく人も多いようだ。ライダー達もこれから始まる渋滞に備え、ほとんどがここで休憩していく。
それに、ここから見る焼岳や穂高連峰の山並みはとても美しい。
特に今日は晴れわたっているので、これらの山々がとても近くに見える。
しばらくすると、前方から見覚えのあるBMWが…。
そう、来る途中、長良川サービスエリアで出会ったBMWライダーだ。
道の駅でも会ってているので、これで今日3回目の遭遇。
放送していたほどではないものの、やはりこの先で渋滞している様子。彼も畳平を目指していたのだが、渋滞を前に一度引き返してきたようだ。
頂上の畳平では、なかなか雄大な景色をバックに愛機とともに記念撮影とはいかないので、ここでお互いに記念撮影。
北アルプスの山並みを堪能し、記念撮影も終わったところで、覚悟を決めて再出発。
2つ、3つ、コーナーを抜けると、目の前に広がる車の列…。
畳平から約1.5kmの地点でした。
事前の情報によると、渋滞待ちの車からトイレを目指し、歩いている人が多いので、すり抜けは困難ということでしたが、これぐらいの渋滞の列なら、それほど歩いている人もいないようだ。
ここで、バイクの機動力発揮。渋滞の車を尻目にすり抜け走行。
10分ほどすり抜けしながら走り、正午過ぎに無事畳平に到着。
係員の誘導に従い、二輪車用の駐車スペースに向かう。
平日とはいえ、そこには50〜60台のバイクが…。やはり最期に駆り立てるものがあるのだろうか。
休日だともっと凄いんだろうなぁ。
畳平到着後、とりあえず魔王岳を目指すことにする。
1時間半ほど歩けば乗鞍岳山頂に辿りつくのだが、さすがに往復3時間は、日帰りツーリングの今回は少し辛い。
ところが、魔王岳を目指していると、それまで青く澄み切っていた空がどんどん白くなってくる。
「山の天気は変わりやすい」とはいうものの、いつの間にか下の方に綺麗に見えていた鶴ヶ池も見えなくなり、すぐ近くにあるはずの乗鞍山頂も見えなくなってしまった。
しかも、空気が薄いせいか、ほんの少し歩いているだけで、息があがってくる。
しばらく、魔王岳山頂で霧が晴れるのを待っていたのだが、なかなか晴れてこないので痺れを切らして下山。
結局、売店で土産を選んでいる間に霧が晴れてきたので、畳平に自分のバイクでやって来たという証拠写真を納め、帰路につくことにする。
下山ルートは、もう一度スカイラインを下っていってもよいのだが、前も似たような時期に乗鞍にやって来て、その時にエコーラインの紅葉が素晴らしかったのを思い出したのと、同じルートで帰っても面白くない、というわけで、長野県側から下山する。
長野県側は岐阜県側に比べると、渋滞の列もいくらか短いようだ。
途中、いい景色にめぐり合うたびに止まりながら、ゆっくりとエコーラインを下っていく。
ハイマツばかりだった光景も、標高が下がっていくに伴い、背の高い木々が現れてくる。
紅葉にはまだ早いようだが、所々で木々はうっすらと色づき始め、ここ乗鞍では確実に秋が深まってきていることを物語っている。
きっと、あと2週間もすれば、上のほうでは綺麗な紅葉が見られるだろう。
日帰り圏内では、もっとも紅葉が早く見られるこの道をもう自分のバイクで走れなくなると思うと少し寂しくなってくる。
冷泉小屋を過ぎ、乗鞍高原スキー場のリフトが見えてくると、三本滝はすぐそこ。
来年から走れなくなるのは、平湯峠からこの三本滝までの区間。
「ここから先は、また来年も来れる。」と思うと、自然とペースも上がりだす。
途中、一之瀬園地で生乳(せいにゅう)ソフトを食べて軽くエネルギー補給。
生乳ソフトはあっさりとした感じ。もっと乳脂肪たっぷりのこってりしたソフトクリームを想像していたのだが、これはこれで美味しい。
こってりしたソフトクリームが好みの方は、生乳ソフトよりもバニラソフトがお勧め。
さて、ゆったりとした旅であれば、白骨温泉に寄って行きたいところだが、今日は日帰り。しかも明日は仕事がある。
さらに、来週は妻と一緒に車で白骨温泉に再びやってくる。というわけで、今日は白骨温泉は断念。
どんどん小さくなっていく乗鞍を振り返りながら、上高地乗鞍林道(A区間)を奈川村に向け、ひた走る。
上高地乗鞍林道は、有料道路とはいうものの、道幅は狭く路面も荒れており、けして走りやすい道とはいえない。
けれども、ところどころに待避所のようなものが設けられており、乗鞍や北アルプスを眺めることができるほか、下のほうには集落が広がっているのが見え、結構見どころは多い。
R19を越え、木曽福島までやってくると、あとは走りなれた道。
途中、道の駅で休憩をとりながら、夕方5時頃に中津川に到着。
秋の中津川といえば、やっぱり「栗きんとん」。
この時間なら、まだお店も空いている。
というわけで、急遽、R19沿いの川上屋に飛び込む。
栗きんとんは、ばら売りもしている(1個180円)ので、妻の分と合わせて2個だけ購入。
帰ってから、温かいお茶と一緒に二人で秋を味わうことにしよう。
中津川から、中央自動車道、名神高速と乗り継ぎ、一宮からは下道を走って、夜8時に無事に我が家に到着。
トリップメーターを見ると、535.9km。所要時間は14時間(休憩時間を含む)。
夏の間、思うようにバイクに乗れなかったので、これだけの距離を走ったのは、久しぶり。
まぁ、高速を結構使ったので、あまり疲れも残っていないのですが・・・。
というわけで、快晴のもと、乗鞍ラストランに成功!!
環境保全のためとはいえ、こんなすばらしい所を来年から愛車で走れなくなると思うと、本当に寂しくなります。
景色そのものは、バスやタクシーを使えば、これからも見ることが出来ますが、空に飛び出していきそうなあの感覚は、自分で運転しないと味わえないのではないだろうか。また、標高が高くなっていくたびにどんどん気温が下がっていくのを感じられるのもバイクだけ…。
この先、環境に優しい車やバイクが普及してくれば、再び走ることができるようになるのだろうか?
色々と考えるところはありますが、来年からマイカーで走れなくなるのは事実。
今日走ってきた時のことを、思い出としてしっかりと胸に刻み、いつの日か再び走れることを祈ります。
ひょっとすると、今日がラストランではなく、紅葉見たさに、営業終了前に再び行くかもしれませんが…。