共産党は現在でも、党綱領において日米安保条約の廃棄を訴えている。すでに安保条約支持が圧倒的多数の現在で、そのかたくなさはむしろ奇異に見える。
こうした共産党のかたくなな姿勢を、共産党を支持する人たちはどう見ているのだろうか?
共産党には、だいたい全有権者の1割程度の堅固な支持層がいる。若い世代ほど少なくなるのがその特徴で、おそらくその原因は世襲にあると私は思っている。現在の若い支持者はだいたい世襲なのだ。
現在の高齢者の支持者は、基本的には若い時に自発的に共産党に入党したり支持するようになった。彼らが若かった昭和30~40年代には、社会の諸制度がまだまだ未整備であり、また愁眉の問題として公害があり、野党が与党を追及するテーマが多かった。年配の方なら、不和哲三が舌鋒するどく、首相などをたじたじにしていた記憶をお持ちの方も多いだろう。また、社会党党首の石橋正嗣は、四日市ぜんそく問題で、国会で佐藤栄作総理らを追及し、まさに自民党は悪者、正義は野党にあり、といった印象は強かった。
こうした世間全体の雰囲気もあってか、55年体制発足当初は自民党と社会党のほぼ二大政党体制となっていたのが、特に昭和40年代以降、政界は多党体制となり、自民というのシェアも徐々に低下し、昭和50年代になると、単独過半数確保が困難になっていった。こうした実情から、小選挙区制の発足とも相俟って、21世紀の自公連立政権へとつながっていく。



話がそれたが、ともかく、現在の高齢者は共産党にかなりの正義があった時代に支持者となっているので、共産党の方針そのものに異を感じる人は少ないと思う。
問題は次世代で、上記のように、この世代は親があるいは家庭が共産党だから何となく共産党支持になった、という人が多い。確固たる信念で共産党信者になったわけではないので、たとえば「共産党って安保廃棄でしょ?あり得ないじゃん」などとふつーの人から言われると動揺する。
おそらくはそうした信者の動揺を抑えるためか、共産党は選挙活動ではあえて安保廃棄には直接は触れていない。
その代わりに共産党が持ち出しているのが、ASEANを中心に作られた「東アジアサミット」である。ただ共産党の名誉のために言っておくが、共産党はかなり以前からこのサミットにはコミットしていたようだ(赤旗主張 ASEAN共同体 東アジア平和体制を築く力に2015年12月28日)。
ただこのサミット自体、どこまで必要性があるのかはよくわからない。1990年にマハティールが主唱してできたらしいが、そのメンバーに今は互いに犬猿の仲になっている米中ロが入っているので、国際関係をごまかす隠れ蓑に過ぎないような気もする。少なくとも、現在の国際関係において、この三国+日本が同じ方向に向くことはあり得ないわけで、結局は共産党は、安保廃棄だけでなく、東アジアサミットもまた、時代遅れのシロモノにこだわっているだけのような気もする。
そもそも古今東西、世界各国すべてが友好となったことはない。平和な時代であっても必ず国際紛争はあったわけで、だからこそ世界には常に複数の軍事同盟があった。全員仲良くの平和友好条約など、まったく無意味なのである。(先生がいじめっ子といじめられっ子を無理やり仲良くさせて握手させるようなもの)。
たとえば、1921年には日英同盟が破棄され、その後立て続けに四カ国条約、九カ国条約が締結されたが、世界平和には何ら役には立たなかった。役に立つのは2カ国条約か、NATOのような(核の存在を前提とした)集団安全保障体制なのである。(日独伊三国軍事同盟も、事実上は日独同盟だった)。
ただ一般の共産党支持者は、こうした冷酷な国際社会の現実は知らない(かほおっかむりする)だろうし、さらに、このサミットの詳細もよく知らないだろう。ただ、少なくとも安保廃棄よりは聞こえはいいから、安保廃棄隠しにはちょうどよい。
共産党とは要するに、サヨクであるだけでなく、反米組織なのである。だからこそ、過去にはソ連の核と米国の核を差別化し、前者の存在を認めていた。
反米なのに米国が入ったサミットを認めるところに、共産党の狡猾さがある。
日米安保条約と東アジアサミットは両立し得ない。そして共産党は後者を推進するわけであるが、こうした中途半端な国際的枠組みが何の効果がないことは、すでに歴史が証明している。
今回の参院選、ロシアがウクライナを侵略した現在の国際情勢において、共産党票が増えることはあり得ない。いまさら共産党の右隣の層が共産党に投票することはない。重要なことは、支持者増やすことではなくその引き締めである。「共産党って、不安」といって逃げていってしまう層をいかに引き止めるかが、今回の参院選の共産党の使命なのである。こうした背景において、共産党は安保廃棄隠しをおこなっているのだ。
共産党は現在でも、党綱領において日米安保条約の廃棄を訴えている。すでに安保条約支持が圧倒的多数の現在で、そのかたくなさはむしろ奇異に見える。
現在、日米安保体制は国民の大多数からの支持を受けているが、無論、最初からそうだったわけではない。むしろそれは、講和のための方便であった。つまり、米国のご機嫌を取って米軍の駐留を認めてやり、その代わりに早期講和をもぎ取ろうとしたわけである。
したがってもともと安保条約支持が現在のようであったわけでは当然なかったが、かといって反対が圧倒的に多い、というわけでもなかったようだ。たとえば、'60年安保闘争の前の1959年の世論調査では、必要という人は半分もいなかったが、ほぼ同数はわからない、と回答し、不要とした人は1割程度しかいなかった。

日米安保条約をめぐる日本の世論の影響 : 岸政権と鳩山政権の比較からp33
おそらく当時としては、ある程度政治を勉強している人だけが日米安保条約の重要性を理解していたということだったのだろう。積極的に反対するためには、それはそれで、かなりの勉強が必要なわけだから。政治を勉強すれば、自然と安保条約の重要性を理解するようになったのだろう。反対者はおそらく、勉強もせずに、単に、A級戦犯が首相だから、といった的外れの理由での反対であったのだ。
こうした世相を反映してか、50年前ほどでは、政党でも、安保条約廃棄を訴える勢力が多かった。共産党は言うまでもなく、社会党もまた安保廃棄だった。現在は与党の公明党でさえ、安保体制の段階的解消、実質的形骸化、1970年代での主動的な解消、を提唱していたのだ(各党の安全保障政策p323より)。なお民社党は、その後鳩山由紀夫が唱えた”駐留なき安保”だった。
だがその後の国際情勢の変化により、国民の8割以上は安保条約が役に立っている、と
回答するようになり、共産党を除く各政党は次々と安保条約廃棄の看板を下ろすこととなった。
エポックメイキングはやはり社会党の変化で、すでに1985年に"新宣言”においてマルクス=レーニン主義を放棄し、1994年の村山富市首相はついに、安保容認に転じた。
しかしこれはむしろ遅すぎる転換だった。なぜなら当時すでに、国民の7割は安保条約を「役立っている」と評価していたからである(下図)。

日米安保条約をめぐる日本の世論の影響 : 岸政権と鳩山政権の比較からp35
興味深いのは、安保条約容認は一貫して増え続けてきたのに対して、廃棄を指示するような人たちは、'60年安保の頃からだいたい1割強でほぼ変化がなかった、ということ。ここが社会党と共産党が安保容認か廃棄かでわかれたポイントだと私は思う。
社会党は、'94年の村山内閣で、それまでの万年野党から脱却しようとした。社会党党首がなまじ自社さ政権のトップに立ったことで、それまでの党是を一気に変えることによって、国民多数の支持を得ようと色気を出したのだ。
これに対して共産党は、いわゆる"確かな野党”に徹した。1割の支持があればいい。安保廃棄は'60年安保闘争以来ずっと、国民の1割の支持を受けてきたではないか。その層をしっかりとつかんでいればいい、と共産党は考えてきたのだ。
つまり共産党は、まさにシーラカンスのように、その形態を昔から変えずに生きてきたのである。
しかし、地球環境の変化により、もともとは広範囲に生息していたシーラカンスは、深海の一部で細々と生きるしかなくなっていた。種の生存ぎりぎりで生きてきた。
まさに共産党そっくりではないか。
ああでもしかし、シーラカンスは言うだろう。あんな連中とオレたちとを一緒にしないでくれ。オレたちは少なくとも、共産党のように、世の中を壊すようなことはしていないよ。静かに深海で生活しているよ。ってね。シーラカンスさん、失礼しました!
この7年、何やってたの? |
政府 きょうから7年ぶりに全国で節電要請 電力需給厳しい状況
NHKニュース2022年7月1日 4時55分
政府は東京電力の管内に出していた「電力需給ひっ迫注意報」を先月30日で解除しましたが、電力の需給は今月も厳しい状況が続くとしています。このため、1日から7年ぶりに全国で節電要請を行います。
政府は、先月26日、東京電力の管内に「電力需給ひっ迫注意報」を発令し、4日間、家庭や企業に節電を求めてきましたが、運転を停止していた火力発電所の再稼働などで需給のひっ迫回避にめどがたったとして、先月30日、午後6時で注意報を解除しました。
1日も各地で猛烈な暑さが続く見込みですが、政府は電力供給の余力を示す「予備率」が最も厳しい夕方の時間帯でも6.6%と、安定供給を確保できる見通しだとしています。
今月中旬にかけては補修作業を終えた火力発電所や揚水発電所が順次、運転を再開し、東京電力の管内では合わせて500万キロワット以上供給が増えることになります。
ただ、10年に1度の厳しい暑さを想定した場合、今月の予備率は東京だけでなく、東北、中部、北陸、関西、中国、四国、九州の電力管内でも3.7%となる見通しです。
安定供給に最低限必要な3%を上回っているものの、厳しい状況となっています。
このため、政府は1日からことし9月末まで、7年ぶりに全国で節電要請を行い、冷房などを適切に使用しながら、不要な照明を消すなど、無理のない範囲で節電への協力を呼びかけています。
政府、今夏は節電要請せず 東日本大震災後初
日経新聞2016年5月13日 10:37
政府は13日、今夏の電力需要の最盛期に全国どの地域でも節電要請をしないことを決めた。2011年の東日本大震災以降、夏と冬の需要期には節電を要請してきたが初めて見送る。企業や消費者のあいだで節電が定着したうえ、太陽光発電の普及や九州電力川内原子力発電所の再稼働で供給が増えたためだ。
13日の関係閣僚会議で決めた。需要が最も多い8月でも、供給力がピーク時の需要をどれだけ上回っているかを示す「予備率」は大手電力9社の合計で安定水準の9.1%を確保し、安定供給に必要な3%を大きく上回ると見込んだ。
政府は東日本大震災後、計画停電や数値目標付きの節電要請で電力需給の逼迫を防いできた。13年夏からは数値目標を設けないかたちの節電要請に切り替えていたが、今回は節電要請自体を見送る。ただ、発電所の停止などで需給が急に不安定になる場合は警報を出して節電を求める。
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節電要請がなされていた2011~15年の5年間は、原発事故の影響で原発電力が急に期待できなくなり、太陽光発電はまだまだ普及しておらず、ほぼ火力発電のみが日本の電力を支えていた。
この間は原発電力はほぼゼロで、火力発電量がピークであったが、2016年以降は原発も少しは動き始め、また太陽光発電量が火力発電量をある程度代替するようになり、一定の発電量が確保されて、2016年以降は節電要請はされなかった。
この2011~15年の5年間では、原発がほぼゼロになった2012年以降、火力発電量は70TWh(全消費電力の約1/14)減少したのに対して、太陽光発電量は30TWh増加し、再エネ全体では40TWhほど増加している(下図)。

この間は節電要請が効いていて、2012年起算で電力消費量自体が50TWhほど減少しているので、つまりは、火力発電量が太陽光発電量増加分まるまる減少したと考えられる。この期間は原発事故後の過渡期で、原発がほとんど期待できず、VREと火力発電のバランスが難しく、そのために節電が必要であったと思われる。
2016-20年は、原発が50TWhほど再稼動し、再エネもほぼ同量増加(そのうち過半数を太陽光発電が占める)して合わせて100TWhほどの発電量となり、ほぼ同量、火力発電量が減少している。つまり2016-20年は、原発の再稼動、VRE,火力発電が何とかバランスを保てたために、節電要請は不要になっていたのである。
しかしこのあやうい3電源のバランスは、”予定通りの”火力発電設備の減少により、崩れ始めた。これが今年節電要請が出現した理由である。
ここで重要なのが、発電量ではなく発電設備である。
火力発電は政府のエネルギー政策に乗り少しづつその設備が減りつつあるが、それでも2016~20年では2GW弱(火力全発電能力の1%程度)しか減っていない。
ところが2021年以降になると、以後5年間で4.4GWの減少が見込まれ、その後5年間では12GWの減少、つまり2030年までの今後約10年間で、16GW以上の減少となる。これは、日本全体の火力発電能力の約1/10にも及ぶのだ(下図)。

池田信夫のブログより
政府のエネルギー計画では、2030年までに現在の火力発電量比率を76%から56%へと2割削減する予定なので、こうした火発減少の流れは、それに沿ったものなのだろう。
ただ今後10年間、実はVREはほとんど増える見込みがないことに注意されたい。風力は1%の伸び、太陽光にいたっては、0.3%の伸びしか想定されていない(下図)。

池田信夫のブログより。なお、火力政策をめぐる議論の動向について2021年11月18日資源エネルギー庁によれば、"野心的目標として”火力減少は46%と修正されている。なお、この新目標においては、太陽光発電は7%から14-6%(100GW+程度)へと増やされている。風力もまた0.9%→5%(23.6GW)へと増やされている、
となると、火発の減少を補うのは主として原発(+バイオマス)ということになる。したがって、原発が今後順調に再稼動していく、ないしは新増設されるかどうかが、日本のエネルギー政策の重要な鍵となることがわかる。
●今後するべきこと
以上の議論を踏まえれば、今後政府が取るべきエネルギー政策は明らかである。とにかく、VREに攪乱されながらも原発の再稼働と火力発電所の漸減のバランスを取ること、である。これがくずれると、今後の日本は、毎夏、毎冬、電力不足になり、毎年節電要請を出さなければならなくなる。
次に大事なのが、可能な限り、電力の攪乱要因である再エネを増やさないこと。2040年までに洋上風力発電を45GWまで拡大する計画があるようだが、そうなるとそれだけでだいたい100TWhの発電量となるとすると、日本全体の必要発電量の10%程度にまでなってしまい、かなりの攪乱要因となる。
これはおそらくブラフだと私は思っている。菅政権時に2050年までにカーボンニュートラルを、などと大見えを切ってしまったので、仕方なくそれに合わせているだけだろう。
現実的な2030年までのエネルギー政策を見ると、前述のとおり、太陽光発電はほぼ増やしていないし、風力発電も1%(10TWh)増加にとどまっている。ここから洋上風力のみがその後10年間で10倍になるのは、あり得ないのである。
太陽光発電は、私の予想に反して、現在もかなり増え続けてはいるが、その内実は、FIT制度初期の頃の条件のいい案件が最近になって稼働しているためであり、いずれは伸び率はゼロ(あるいはマイナス)になるだろう。(だから政府の計画でも2030年も増えていない)。

池田信夫のブログより
さて次の参院選、候補者の政策を見ると、エネルギー政策について一番まともなことを言っている候補者が多いのは実は、N党である。自民党でさえ、頑固に一部にはやはり、原発再稼働反対派が根づいている。
それでも自民党もやっと、「原発の最大限の活用」を公約とし、原発を恒久的に使用するように、文言を変えた。岸田政権も、今回の参院選を乗り切り、黄金の3年間を手に入れれば、安倍政権さえできなかった原発新増設に着手するだろう。やるなら電力不足で世が嘆いている今、だ。
左に日和気味の保坂正康 |
「満州事変はプーチンのやり方と一緒だ」 保阪正康が説く「歴史を知ること」の重要性〈AERA〉
7/6(水) 8:00配信
AERA dot.
ロシア軍が攻撃し、煙が上がるウクライナ東部ルハンスク州の要衝セベロドネツク。6月25日に陥落した
ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、日本の防衛のあり方が注目を集めている。この先どこへ向かうのか。『歴史の予兆を読む』(朝日新書)の共著者・保阪正康さんに聞いた。AERA 2022年7月11日号の記事を紹介する。
日本は今後、どうなるのか。今回の侵攻を機に台湾有事など中国の脅威が喧伝(けんでん)され、「核共有」や「憲法9条改正」を訴える政治家もいる。
「ある集まりで『もし日本がウクライナのように侵攻されたら、政府はどう対応すると思うか』と聞かれ、私は三つの選択肢を示しました。一つはアメリカ依存。一つは憲法の、専守防衛の範囲内での抵抗。三つ目は、政府が意図的に八百長でクーデターを起こして現憲法が作る政治的空間を全部止めてしまい、そのうえで『軍』をどうするかなど緊急対応を考えていくという道です」
(中略)
「日本は江戸時代の270年間、一度も対外戦争をしませんでした。それが鎖国を解いて近代国家になったら、今度は明治27(1894)年の日清戦争を皮切りに10年おきに戦争をやる国になった。しかも極めて帝国主義的な侵略戦争です。ヨーロッパ諸国が帝国主義的な戦争の段階から脱皮していく中、日本はいわば『最後の帝国主義国』として東南アジアや中国に対応した」
■軍人は営業マンだった
「そんな戦争の歴史を見ていくと、『この国は戦争を営業品目に使っていた』ことに気づきます。何のために戦うのかを考えることなく、とにかく勝って賠償金と領土を取り、帝国主義国のトップに上り詰め『一等国』になるのだと。軍人はそのための営業マンだったのです」
現状を自国の歴史と重ね合わせる視点が大事だと、保阪さんは言う。例えば、ロシアがウクライナ東部にある親ロシア派支配地域の独立を一方的に認め、「東部の住民保護」を名目に侵攻したことは、満州国を作り、中国と全面戦争に突入した日本と重なりはしないか。
「今、プーチンを批判したときに『お前たちだって同じようなことをやっていたじゃないか』と言われたら、私たちは決してそれを否定できません。歴史を学び、『満州事変は本当にプーチンのやり方と一緒だな』とまず知ること。歴史をかみしめ、咀嚼(そしゃく)してみること。21世紀の歴史の予兆をつかむためにも大事なことだと思います」
(構成/編集部・小長光哲郎)※AERA 2022年7月11日号より抜粋 |
保坂氏は以前は評価していたが、最近は左寄りの発言が目立つ。この記事は、左翼のAERAに迎合したのか? 知名度の高い歴史家の誤った発現は、日本を悪い方向に導くので、ここで訂正したい。
そもそも満州国建国とプーチンのウクライナ侵略はまったく異なる歴史的事象だ。なぜなら、満州は中華民国の主権が及んでいなかったが、プーチンの侵略した地域は、ウクライナ国家そのものだったからだ。
問題にするのであればあるいは比較するのであれば、むしろ、満州国ではなく、関東軍がその後、満州を越えて、直接中華民国の主権の及ぶ範囲内にまで活動したことであろう。それによって、欧米の利権ともろにぶつかり、結局は日米戦へとつながってしまった(だからこそ石原莞爾は、絶対に満州より外に出てはいけない、と厳に主張していたのだ)。
さらには、日本は満州国建国のために最小限の武力は用いたが、建国後は決して傀儡国家にはせず(少なくとも建国者の1人の石原莞爾はそうだった)、五族共栄の国を作る予定だった(運営に問題があったことは間違いないが)。当然のことながら、満州国民を攻撃などしていない。
その結果、満州は中国大陸でもっとも治安のよい国となり、人口も増え、さまざまな産業も発達した。
事ほどさように満州国建国とプーチンのウクライナ侵略はまったく別の事象なのに、なぜ保坂氏ほどの歴史家がこのような初歩的なミスを犯すのだろうか?
私は保坂氏が少し認知症になってきたか、左に読者層を増やそうとして、いずれにしても本意ではなく、このようなことを言っているのだと解釈する。それほどに両者の比較は幼稚なことなのだ。
あえて両事象の共通点を探せば、国家の防波堤としての役割を期待して、のことだろう。満州は日本にとっては、対ソ連防衛緩衝地域として重要だった。現在のロシアにとってウクライナが対西側との防衛緩衝地域として重要であるように。
共通点としては、これくらいしか考えにくいし、これこそまさに、幼稚なサヨクの考え方だ。保坂氏もここまで落ちたか・・・
Rikken Women's Action
我が高校世界史教科書における歴史認識の問題
立憲・枝野氏、「原発ゼロ」で苦慮 合流で党内に変化?
小学生55%が接種希望 保護者側は7割超す―コロナワクチン・成育医療研 2021年11月20日
岡田晴恵さんに聞く「政府の新型コロナ対策はどこから間違えたのか」
太平洋戦争の2つのターニングポイント
世論に乗るしかできない菅(すが)内閣
資本主義の理由
明智光秀像の変化
今一番の問題は、風評被害
苦しみから芸術は生まれた
大戦争を招いたのは、平和主義者W.ウィルソン
二種類の多浪生
慣れの効用・おそろしさについ
民主主義の敗北―Covid-19対策
重症化を望む人々ー放射線障害との類似
民主主義が起こした第一次・二次世界大戦
中満泉
小林りん
平時と非常時―医療と電力と
RWE
二種類の地球への負荷
8割世論が正しいとは限らない-いつか来た民主主義の陥
長崎新幹線は高速バスに勝てるのか?費用と時短で分かった勝算
風況の違いによる日本と欧州の洋上風力発電経済性の比較
電力中央研究所資料
脱炭素に足踏みするドイツの苦悩 part2
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6月なのに40℃って。やはり地球は温暖化しているのか?
気圧配置からして、この高温の原因はフェーン現象が主だと思う。しかし、やはりある程度は温暖化はしているとは思う。
但しその原因はやはりCO2ではなく、単純にヒートアイランド現象だと私は思う。たとえば以下の図をごらんいただきたい。

暑いねえ~。前橋は6月なのに40℃だ。しかし、島嶼部である大島は28℃にしかなっていない。その他でも、海洋地域はさほど高温になはっていない。海洋の温暖化(≒地球温暖化)が高温の原因だというCO2原因派もいるが、それならば、海に面した島嶼のこの気温を説明できない。
内陸部になるにつれて暑いのはやはりフェーン現象なのだろうが、温暖化もそれに関与しているとすれば、それはやはり冷房による熱放出などが、その原因としては重要であろう。
この場合重要なのは、地球全体が温暖化しているというよりは、局所がまず温暖化し、徐々にその周囲にそれが広がっている、ということ。むろん、究極的には地球温暖化にはなるのだろうが、今のところはまだそこまでには至っていない。
要するに、温暖化の原因はCO2ではなく、人類が化石燃料を燃やしたりした結果としての熱、なのだ。無論、人類の活動でCO2排出は増えたが、それが温暖化の主因なのではない。CO2が温暖化の主因であれば、CO2は大気循環ですぐに大気に溶け込むから、温暖化の地位差はほぼないはずであるが、局所の熱が主因であれば、地域差が相当出る。
もしも温暖化の原因がCO2なのでなければ、しゃかりきになってCO2を増やさないようにしても、つまり脱炭素しても、あまり意味はないことになる。むしろ熱を出さないことが大事になり、これはしかし、脱炭素よりもきわめて困難だろう。たとえば、原発だってCO2は出さないとしても、熱は出すわけだから。
結局、地球の温暖化(地球温暖化ではない)は、これだけの人類が活動している以上は、不可避だと私は思う。直接局所を暖めるだけでなく、冷やすためにもまた排熱は出るわけだから。
熱という観点から見た場合、再生可能エネルギーがもっとも理にかなうことになる。CO2も熱も出さないわけだから。しかし装置の生産・廃棄にはやはり膨大な熱を出す。それでも、あくまでも排熱という観点のみでみれば、こうした再エネは地球にやさしい、ということにはなろう。
結語:地球温暖化ではなく地球の温暖化が正しい。その原因はCO2ではなく排熱である。CO2対策は無意味であり、排熱対策はないので、人類は地球の温暖化は是認していかなければならない。
26歳で医療従事者の私の娘に、4回目のワクチン接種の接種券来た。しかし、娘は別に基礎疾患を持っているわけでもないのになぜ? と思ったら、小学生のときに気管支喘息があったからだそうな。
笑った笑った。娘は確かに小学生のときには何回か喘息発作を起こし、入院したこともある。しかし、高学年以降は完治し、一度も発作を起こしていない。それなのに何と、”基礎疾患”保持者と認定されてしまったのだ。
わが娘のようなケースでさえ、基礎疾患を持った人、になってしまうのであれば、このような、”なんちゃって基礎疾患”はおそらく全国に数多くあるだろう。医師側からすれば、「私は基礎疾患があるのでワクチンを打ってください」と言われれば、本人の希望通りにせざるを得ない。たとえ”なんちゃって”であっても。
こうした希望者に対して、「あんた、どうあったって基礎疾患持ちには該当しないでしょ、だからワクチン接種は認めない」などと突き放したら、大変なことになろう。だから全国の医師はおそらく、希望者はほぼ全員認めていることだろう。
Covid-19も、依然として1日当たり万単位の患者数が出ている。発端者はだいたい子どもで、親や同居のじじばばにうつるというパターンとなっている。死亡者はほとんど年寄りであり、SARS
Cov-2による直接死亡というよりは、高齢によってウィルスに毒力に耐えられなくて、というケースが多い。つまり風邪と同じなのだ。
病気への恐怖心・理解度には個人差が大きいので、気にする人は4回目のワクチン接種を強く希望するだろう。接種対象者となっている限り、医師はそれを否定できない。無駄だとわかっていても。
幸い、さすがに4回目の接種者は、60歳以上の人を含めても、それまでと比較してダントツに少ない。制度の隙をぬってでもワクチン接種をしたいという人は、さすがに少数派なのだろう。むしろ行政がそうした人たちに余計な後押しをしている感じを受ける。(だからわが娘にも、4回目を受けろと勧めてきた)。
したがって、接種券が贈られてきても「なぜ私が?」と思って受けない人の方が多いだろう。逆に、接種券を要求するような人の方がはるかに少ないと思う。
さて、こうしたワクチン接種状況ではあるが、今後第7波が来たとしても、医療体制が逼迫することはないだろう。はやく5類落としを図り、有症状者のみを診断して治療すればよい。インフルエンザのように。但し、薬はタミフルと比べて高価なので、ここは税金での補助が必要だ。それでも保健所が関与して空病床に無駄に補助金を垂れ流している現状よりははるかにましになるだろう。
もはやCovid-19のワクチンの時代は終わったのだ(ウィルスの状態によってはインフルエンザのように定期接種が必要になる可能性はあるが)。これからは治療の時代。年寄りへの4回目や5~11歳の子どもへのワクチン接種など不要。
昨年11月のCOP26において、日本はNGOのネットーワーク「CANインターナショナル」から化石賞をいただいた。それ以前も何度もちょうだいしている。
日本のエネルギー政策の基本は、化石燃料特に石炭の有効活用である。脱炭素ではなく減炭素ということ。石炭を捨てるのではなく、設備の改良でCO2排出量を減らしていこう、というわけだ。
これに対して欧州は、化石燃料切捨てに出た。少なくとも石炭は完全に捨てる。ドイツでは緑の党が政権に入ってから、石炭発電廃止を'38年から'30年に前倒しにした。また、欧州全域でEV推進を進め、2035年までにHVを含むガソリン車など内燃機関車の新車販売を事実上禁止とした。
欧州はこうした措置を、エコのためであると説明している。しかし、CO2排出量は中国、米国、インドでその大半を占め、欧州や日本の割合はごくわずかだ。欧州、日本だけのレベルでいくらCO2がどーの、EVがどーの言ったところで、世界全体のエコにはつながらない。
さらに不思議なことには、実はここ10年ほどは世界のCO2排出量は、中国の経済成長率低下に伴い、ほとんど増加していないのだが、それにもかかわらず、この10年間こそ、カーボンニュートラルが喧しく言われていたこと。

こうした事象は何を意味するのか? つまり欧州はエコで脱炭素を主張しているのではなく、エゴでそれを言っているのだ、ということだ。
EVオンリー政策については、ホリエモンがかねがね主張している通り、日本の車メーカーの追い落としである。これについては、欧州は中国と共同戦線を組める。
カーボンニュートラルについては、あるいは本気でそれが正しい道だと思っているのかもしれないが、そうであればこちらは欧州の自己満足の世界にしか過ぎない。それは子どもの考えで、つまりやっぱりエゴなのだ。
つまり欧州においては、EVについては自覚したエゴ、脱炭素については無自覚のエゴがまかり通っているのである。
エゴやわがままはいつまでも通るものではない。必ず誰かからやられる。だから私たちは子どもの頃から、エゴ、わがままを押し通してはいけない、としつけられる。
欧州もやられた。それがロシアからのウクライナ侵略だ。NATOは団結してロシアに経済制裁を課したが、そのダメージも大きかった。欧州ことにドイツは、化石燃料ことに天然ガスをロシアに大幅に頼っていたために、返り討ちにあって石炭回帰に走らざるを得なくなった。
ドイツのハーベック経済・気候保護相は6月19日、ロシアからの天然ガス輸送量の大幅な減少を巡り、、ガス消費量を減らすため、石炭火力発電の利用を増やすなどの緊急措置を講じるとの声明を発した。
ハーベックは気候保護の責任者であり、石炭発電廃止を'38年から'30年に前倒しにした緑の党所属だから、この行動は支持者にとっては裏切りである。
「CANインターナショナル」は、もはやドイツにも化石賞を与えなくてはならないのではないのか? いただくドイツは、もっともそれを批判していたではないか。ことに政権の一角を占める緑の党は。
基地撤去の近道は日米安保廃棄 |
日米安保60年、沖縄・玉城知事が「安保が大事なら基地負担も分かち合って」
毎日新聞 2020/1/16 18:39(最終更新 1/16 18:39) 有料記事 472文字
沖縄県の玉城(たまき)デニー知事は16日の定例記者会見で、日米安全保障条約の改定調印から19日で60年を迎えることについて「日本の安全保障が大事ならば、基地負担のあり方も日本全体で考え、その負担を分かち合うべきではないか」と述べ、全国の約7割の米軍専用施設が沖縄に集中する状況の解消を改めて訴えた。
日米安保条約と日米地位協定は1960年1月19日にワシントンで署名・調印さ… |
玉城知事のこの言い分は逆だ。つまり、「安保が大事なら、基地負担は必然的に沖縄が担わざるを得ない」のだ。
幸か不幸か、沖縄は東アジアの戦略上、重要な位置にある。まず米軍が、おそらくは沖縄戦を通して、それを痛感したと思われる。日本本土を攻めていくには、まずは沖縄本島を橋頭堡として確保することが重要だったから。(そのためにしかし、沖縄戦の悲劇が生まれた)。
第二次大戦後になり、自由主義社会と共産主義社会の対立が明確になってくると、沖縄の地理はさらに、米国から共産圏国家への橋頭堡として位置づけられることとなった。ベトナム戦争では多くの米国軍隊が沖縄を出航地としていた。
つまり、日本が共産圏国家と対峙するにあたり、そのためのバックボーンとして日米安保がある限り、沖縄の地理的位置がきわめて重要なものとなり、基地はどうしても沖縄に集中せざるを得ない構造となっているのである。
であれば、沖縄の基地負担を軽減させるためには、いっそのこと日米安保条約を破棄してしまうのが一番の近道、ということになる。これがなくなれば、米軍の駐留の法的根拠もなくなり、米軍は日本から出ていかざるを得なくなるから、沖縄の基地負担もなくなる、という理屈である。
高橋哲哉著「沖縄の米軍基地「県外移設」を考える」は、この論理を紹介している。ただ、高橋氏はサヨクではあるがバカではないので、安保廃棄が理想とは考えるが現実的ではない、としているが。
言い換えれば、現在の日米安保体制が続いている限り、”県外移設”は100%不可能なわけで、それが実現する確率は、日本共産党が政権を取って、日本が安保廃棄をする確率と同じくらいの低さだろう。
つまり、「安保が大事なら県外移設」は論理として破綻しているわけで、実際その破綻した論理に立ち向かったどこかの愚かな首相は、それで首相の座を降りざるを得なくなった。
県外移設はあくまでも論理ではなく、情緒の話なのだ。もともと玉城知事の前任の翁長氏は純粋なサヨクではなかった。サヨクは論理で辺野古移設反対・県外移設を唱えていたが、それではいっかな沖縄でも選挙には勝てない。だから翁長氏はオール沖縄という呉越同舟の危うい舟に乗り、論理ではなく、”翁長
雄志”という情緒で、論理の仲井眞 弘多知事を破った。
その情緒の危うい舟はすでに沈没して存在しない。それでも沖縄の革新はやはり手ごわい。今度の参院選で自民党は強豪伊波氏に勝てるか? 伊波が負ければ、今秋知事選を迎える玉城も負ける。今年になって自民党は沖縄の地方選挙においては連戦連勝ではあったが、この参院選が事実上の最大の剣が峰である。
>世論をミスリードする朝日新聞-相変わらず |
(朝日新聞社説)参院選 エネルギー政策 脱炭素・脱原発の道を着実に
2022年7月6日 5時00分
脱炭素化と安定供給をどう両立していくか。ロシアのウクライナ侵略をきっかけに世界のエネルギー情勢が一変し、この問いの重みが増している。日本も、化石燃料の供給不安や価格高騰に直面し始めた。
参院選では、与党と一部の野党が、原発再稼働の主張を強めている。選挙結果次第で政策が大きく動きかねない。投票にあたって熟慮が必要だ。
長い目で見れば、国産資源である再生可能エネルギーの役割は、エネルギー安全保障の点でも一段と増す。11年前の原発事故の教訓は、ゆるがせにはできない。当面の課題への対応は必要としても、めざすべき社会への道筋を見失ってはならない。
■主軸は再エネ拡大
地球温暖化の科学的裏付けが強まるにつれ、各国で脱炭素の流れが加速してきた。なかでも二酸化炭素排出が多い石炭は、利用の削減が急務とされた。ところが、ロシアの侵略以降、天然ガスや石油の供給体制が揺らぎ、各国が政策の見直しを強いられている。
エネルギー自給率が1割と低い日本も影響を免れていない。異例の猛暑もあって電力需給の逼迫(ひっぱく)も起きた。供給力の確保に向け、電力システムの改革も喫緊の課題になっている。
各党の公約も、当面の安定供給に重点を置くものが多い。ただ、原発の位置づけなど主要部分にあいまいさがあり、総じて場当たり的と言わざるを得ない。脱炭素の目標とする2050年の姿を描き、短期的な対処と、中長期の取り組みを整理した戦略を示すべきだ。
脱炭素と安定供給の両立で主軸になるのは再エネだ。増やす余地が大きく、化石燃料の高騰でコスト面の優位も強まる。各党の公約も、優先的に取り組む方向性はおおむね一致する。
歩みを加速するには、さらなるコスト低減、洋上風力や蓄電池の普及、送電網の強化、炭素税の導入といった課題もある。技術開発の促進や制度見直しなど具体策を競うべき局面だ。
■「出口」見通す必要
とはいえ、再エネ中心の体制に一気にはたどりつけない。拡大の進み具合に応じて、火力や原子力の設備を古いものから段階的に廃止し、着実に依存度を減らしていくのが基本になる。
供給が危機に陥ったときには、国民生活への打撃を和らげるため、既存のものに頼る局面が続くこともあるだろう。ただ、その場合も、限定的な「つなぎ」とはっきり位置づけ、本来の道に戻る「出口」もあわせて示す必要がある。
なかでも原発をどう考えるべきか。最近の情勢を受け、再稼働の加速を求める声が強まる。だが、まだ運転を再開していない原発は、この夏冬にはあてにできないのが現実だ。原子力規制委員会の審査や所要の工事などが終わっていない。そのルールまで無視するのなら論外だ。
中長期的にはどうか。
原発は二酸化炭素を出さず、既存設備を動かせば足元の発電コストは下がるだろう。ただ、新設の場合は、政府の試算でも2030年に事業用の太陽光発電が原発より安くつくようになる。「経済性」の面でも原発の利点は限られる。
何より忘れてはならないのは、東京電力福島第一原発の炉心溶融がまねいた惨禍である。原発は、ひとたび事故が起きれば、甚大で回復不能な被害をもたらす。地震や津波に加え、現実的な備えが見当たらない巨大噴火など、自然現象は未解明のことも多い。
高レベル放射性廃棄物の扱いも答えが出ていない。処分地の見通しが立たず、そもそも日本では地下の長期安定性の確認にも限界がある。ウクライナ侵略で現実になった武力攻撃のリスクも直視すべきだ。
■なし崩しは許されず
自民党は参院選の公約で、「安全が確認された原子力の最大限活用」とうたう。だが、国のエネルギー基本計画が掲げる「可能な限り依存度を低減」との整合性がはっきりしない。建て替えや新増設も認めるのか。国政選挙で基本的方向をあいまいにしたまま、なし崩しで「原発復権」を進めるような姿勢は、政権党として無責任だ。
「原子力規制委の審査の効率化」「長期運転の方策を検討」との主張も危うさがある。独立性が高い規制委と「運転期間原則40年」ルールは、事故の教訓で設けられた。安全対策に妥協は許されない。
一方、立憲民主党などは、公約で脱原発を訴える。再エネ主力化の進め方や火力発電の使い方で、さらに具体性や説得力が問われるだろう。
石炭火力については、全廃の時期を示さない日本に厳しい視線が注がれてきた。与野党の多くが、二酸化炭素の排出を減らす新技術の導入を主張する。だが、実用化のハードルは高く、丁寧な議論が求められる。
エネルギー問題は、暮らしと社会のかたちに深くかかわる。変革の道のりも長い。信頼に足る政策を見極めたい。
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脱原発では日本はやっていけない。さまざまなコメントなどを見ると、この事実自体はかなり理解が深まっているようだ。一番アナクロニズムなのがやはり新聞だ。日本を代表する朝日新聞・毎日新聞は早速脱原発の論陣を張っている。
ただ、ほぼすべての新聞がそれを否定した核兵器禁止条約のオブザーバー参加と比較して、このイシューについては、客観的評価にとどめている新聞も多い。
左翼色の強い京都新聞でさえ、そのような社説となっている。
もっとも今回の選挙もまた与党の圧勝のようであり、公明党も原発再稼動容認に舵を切ったので、選挙結果は原発推進を後押しすることになるだろう。それがまた世論、ということだ。もともと輿論は原発の必要性を原発事故直後から理解していたが、世論がやっと輿論に追いついてきたといえる。
基本的に日本がやってはいけないエネルギー政策は脱原発と再エネ推進である。前者についてはかなり理解が深まってきているが、後者はなかなかむずかしい。 特にその主流の太陽光発電などは、FITの買い取り価格が安かった時期に認定された施設がいまだにぞくぞくと新規稼動してきており、その惰性でまだしばらくは伸び続けるだろう。
●"野心的目標”で電力不足はさらに常態化する
再エネについては、8年後の2030年の目標では、幸い、現在とあまり変化はない。たとえば、太陽光発電はいまだにその発電設備、発電量ともに増加しているが、8年後の2030年の発電量比率目標は現在と同じだ。今後はFITの買取価格が安い案件が増えるので、数年後には頭打ちになるであろうことを見越しているのだろう。
ただし日本では、2021年4月に、2030年度において、温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すこととなり、そのために、2021年10月22日に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、野心的目標としての新ミックスとして、再エネ比率が36~38%へと引き上げられ、太陽光発電設備は104~118GW、14~16%へとそれぞれ大幅に引き上げられている。風力発電もまた、もまた0.9%→5%(23.6GW 洋上は5.7GW)へと増やされている。(なお、総電力消費も1割弱ほど節電するようになっている)。
この計画では、原発比率は変わらないので、再エネが増えた分は火力発電が減少することとなり、従来の76%から46%へと減少する。
この計画が出された2021年10月には、すでに冬の電力不足は起こっていた(最初は2021年1月)。だから当然、この計画見直しの際には電力不足の懸念がなされたと思うのだが、報告書を見ると、そうした形跡はない。
しかしながら、火力発電量が今よりもさらに4割も減少すると、太陽光発電とのバランスは今よりもはるかに困難になるだろう。
まず、太陽光発電設備が120GWほどになると、何とそれだけで日本における発電設備のほぼ半数以上をまかなうこととなる。むろん、総火力発電設備よりも多い。
おそらく春秋の昼は、発電余剰が頻繁に出現することだろう。欧州ならそれは輸出してしまえばよいが、日本ではそれができないので、捨てる、つまり出力抑制することになり、もったいないことではある。(蓄電池や揚水発電で対処すればよいという脱原発派がいるが、前者は技術的に不可能であり、後者は容量的に足りない)。
次に、最大発電能力がピークになる夏では、たとえば東電管内では、そのうちの2/3を太陽光発電が担うことになる(現在は1/3~1/程度)だろうが、夕刻になればこれがほぼゼロとなるので、火力発電に対する負担は変わらない。
それでも夏季は時間帯のズレはあっても、基本的に電力需要と太陽光発電量は比例するから、日没後の短時間が問題になるだけであろうが、冬季は暖房需要と太陽光発電量はむしろ反比例するので、それなりの火力発電設備を準備しておかないと、すぐに電力不足が起こるだろう。つまり、再エネが増えれば増えるほど、むしろ冬季の方が電力不足が起こりやすい。
こうしてみるとウクライナ侵略があろうとなかろうと、、どうあってもこれ以上再エネを増やすことは電力不足の機会を増やすことになる。エネルギー計画には再考が必要であり、またその前提となったカーボンニュートラル計画も、白紙に戻すべきである。脱原発にいまだに固執する朝日新聞はなど、論外。早く共産党や立民とともに、日本のためにも、つぶれて欲しい。
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