ほろにがいコーヒー豆に替えました舌でころがすあなたのにおい

あめとはれこれがあなたとの距離なのねせめてくもりにしてほしかった

先取りの天気しか伝えてあげれへんこれからそっち雨になるでぇ

おはようの携帯メールで伝えるよこれはやさしい沈黙なんだ

落ちた罠差し出された手をじっと見てあなたの手ならひとひねりする

落ちた罠差し出された手を払いのけあなたでなければぜったいヤだもん!

言葉って距離を縮める魔法かと信じすぎたのギクシャクパタリ

面倒と吐き捨てて買ってくれないキャラメルコーンもとから嫌い

足止まる並んだ踏絵前にしてあなたが踏めない自分の顔

「許せない不愉快だ」から進まない行き止まりからシュワッチする

壁紙を替える気にはなれないの青く凪いでる海だけ見てる

私が好きな感性であなたにNOと言われれば消えるきゃない

おっとっとここから先はマゾになるボーダー警告自己セラピー

大好きな「E.R」を待っている普段の暮らしに戻る練習

ほむほむの爆発しない爆弾にうれしくもありかなしくもある
               ・・・・・ほむほむ : 歌人 穂村 弘 氏

短歌を詠むということが日常から消えたのはいつやなんでや

会いたいと書いたメールは行き場が無くて屋上の柵を越えた

切なさを伝える歌が送れないもうもうスデに  I lost you

しあわせを自分のためにキープするふとんが浴びたお日さまもうた

ぬけがけに過剰反応してたよねキョロキョロ見まわす十代の頃

ぬるま湯で来たこと悔やむキリギリス。アリさん見せて幸せの鍵

荷造りをしてると告げる友人の今度行く場所窓のそばです

この木何、あったか陽射し身に受けて私はさくらと主張せり

まわらない椅子にすわれば落ちついて何か出来ると勘違いする

身に付いた脂肪を全部脱ぎ捨ててボンキュボンで歩いてみたい

空色を観て雲を見て風を訊きセミの声聞き今朝も8月

あなたとのこの一瞬を移すべくカメラになるよ携帯電話

旧友の偲ぶ会で久しぶりに会ったあなたが突然逝った

あなた以外の人から来るメールは開封時間がやけに遅い

やわらかい日差しの中で眠りたいあなたの腕がないならせめて

会いたくて積もる言葉に火をつけて居場所を知らせるのろしにする

コンビニの初荷で届いた恋を買う2003年初夢話

寒風にもう咲く準備を始めてるあの春の日の誇りのために

会えなくて積もった言葉で焚き火して炎の色を見ながら暮らす

あの人につながるものを迂回する例えばさくら例えばCabin

いいひとでいる必要の無いさよならが携帯メールで届いた

キッチンの『火の用心』の横に見る『今年も元気に!』と母の字で

久々に追いかけっこをバーチャルで追い越したのも見えなくて汗  (2003/8/20)

雨上がる。戸締り前に外に出て「お月さん見えた〜」と母を呼ぶ  (2003/9/11)

ふと見上げ視線の先を追ってみる。これが出会うということなのね

ふと触れた手から体温沁み込んでこれが出会うということなのね

ハンカチの柄で覚える出会いして来なきゃいいよね涙拭う日

覗き込み目から信号受けとめる。青なら一歩、出してもいいの?

読みかけの本のページを開いてもホラまた、見てる!携帯電話

かたくなに視線は活字を追っているナゼ動かないのよページを繰る手

オンライン行き交う言葉もどかしく愛撫のようにマウスをはわす 

ドコモさん未読メールはありません変換してんか関西弁に

会いたいと書いたメールを朝夕に飛び降り自殺させている夏

空色を観て雲を見て風を訊きセミの声聞き今朝も8月

問合す未読メールはありません四角い画面に文字だけ大きぃ

出来ないよこんな気持ち言葉になんて誰か押してよスキャンボタン

切なさを伝えられないあの人に歌に託して昇華テスト

歌連ねかぁるくなってくあなた居て不器用な分重いやないの

歌連ねイメージ結んであの人を憎くなったり愛しくなったり

恋歌は宛先不明で救われてゆらゆらふわふわ手の鳴る方へ

もどかしい歌いたい歌音はずれ違った歌に聞こえたなんて