循環ですか、源泉ですか  2001/12/20 北海道新聞 卓上四季

雪の季節になると温泉が特に恋しい。日本人の温泉好きは古代から。<湯治>から<ストレス発散>時代を経て、今は多くの人が<癒(いや)し>を求める▼何を基準に温泉地を選ぶか。日本温泉協会がアンケートしたところ上位は「温泉情緒」「自然環境」「温泉の湯質・湯量」の順だった。ホンモノ志向が年々強まっている。なのに、マガイモノ温泉が多すぎる。日本で唯一の<温泉教授>札幌国際大の松田忠徳さんが近著「温泉教授の温泉ゼミナール」(光文社新書)で怒っている▼たとえば、浴槽湯口から惜しみなくお湯が出ている。さすが温泉、と喜ぶのは早い。よくみると、注がれているお湯は少しも浴槽外に流れてない▼<循環風呂(ぶろ)>。お湯がろ過、塩素殺菌され、沸かし直されて、浴槽に戻っている。源泉の使い回し。本来の効能はほぼ失われている。この方式、近年の公共温泉ブームで一気に全国に広がった。理由は明快。湯量不足を補うためだ▼循環風呂で構わない。そういう人もいるだろう。が、施設側はせめてそうした情報を開示すべきではないのか。温泉教授の指摘である▼で、こんな提案もしている。宿選びのとき「循環か、源泉か」を尋ねよう、というのだ。その受け答えで、宿の接客姿勢も分かる。大げさにいえば、温泉地のレベルアップのためでもある。ちょっと勇気を出して、まずは、これから始めてみますか。