
子どもたちに伝えてほしい

![]() |
| 安積野の花のように、<春姫>は土地の長者の娘として育つ。 |
![]() |
| その昔、安積の郷をとりまく風景は、山々を背に葦しげる 水辺にかこまれていた。 |

![]() |
| 春姫には太郎という笛を吹いては名人の恋人がいて 二人の仲は誰の目にも羨むほどであった。 |

![]() |
| あるとき、葛城王(かつらぎのおおうみ)と名のる徴税役人が都から 訪れ、年貢米を軽くする代わりに「春姫を帝(みかど)のうねめに 差し出すよう」と命令する。 |

![]() |
| 春姫は悲しみにくれるが「必ず帰郷する」と心に誓い、父と村人 のため都への出立を決意する。 |

![]() |
| それまでを村人に閉じ込められていた太郎は、失意の内に 春姫の名を呼びながら、村はずれの<山の井の清水>に 投身する。 |

![]() |
| 春姫は都での歳月を経たある日、月見の宴を抜け出すと 池の畔に衣と履物を残し、一路太郎の待つ安積の郷へと 足を向ける。 |

![]() |
| 一途に帰り着いたふるさとに、太郎の姿はなかった。春姫は余りの 悲しさに一人<山の井の清水>を訪ね、水底に沈む太郎のもとへ この世を去っていった。 |

![]() |
| それからは清水の周りに薄紫の小さな花が、二人の純愛を物語 るかのように咲き始めた。後日、芭蕉がみちのくの旅の途中、 捜しあぐねた「はなかつみ」とは、この花のことであった。 |
![]()