橋本 貢

愛の肖像
 
その昔、策略と抗争に覆われていた乱世の時代
燦然と輝く二つの星が
それぞれ天から地上の隔たった場所に
花びらの姿となって降り立ちました
 
その名は
かたや「ジャンヌ・ダルク」
かたや「巴御前」です
 
どちらの心も愛と祈りの炎を燃やし
まったく別個の宿命と対しながら
ひたすら克復の闘いに
怯むことなどありませんでした
 
だが、何処も彼処も
所詮、現世の掟に居場所はなく
一人はこの世を去って後、聖女の名を付され
もうひとりも尼となって寂滅の余生を
静かに終えました
 
しかし、燦然とした二つの星の花びらは
無数のきらめきに変じてくまなく散乱し
今なお、女性の自立と自己解放の「あゆみ」に
魅惑の輝きを添えているのかも知れません

貢彩会(kousaikai)