2004/07/16、17
一緒に採集された方、ドクターK、名古屋のブルジョアSさん。
現地で出会った方、kent109さんとそのご子息。ライターさん。
新潟に始まって、山形、福島、福井と停滞した前線の爪跡は想像を絶する物があった。
地盤に関係なく切り倒されスギに植え替えられた場所では土地の保水量が低下している。
落葉広葉樹林では時間を掛けて堆積した腐葉土に苔が付着してまるでスポンジのように
なって、森林全体で満々と水を湛えている。
不自然な森では
鉄砲水が起きて土砂が道路に流れ出していた。
街道を走っていて目立つのは植林された杉林の周辺や
伐採で低木のみの場所で起きている崩落だった。
朝・・・。
「何処からでしたっけ?」
「名古屋だよ」
「え、名古屋??」
「そうだよ、名古屋から飛行機乗ってモノレール乗って、宇都宮で合流だよ」
「ブルジョアですね」
「そうだよ、なんでもいいけど何処で集合する」
「いつもの鄙びた温泉あたりで」
電話を切った。
いきなり夕方・・・。
「ヒコーキに烏か何かが突っ込んでグルグル回ってたんだとさ
俺も・・・中略・・・チョット遅れるよ」
「了解」
てな訳で、某所に集結。
現地でお世話になっている方の家にお邪魔して
万一に備え、行き先を告げた。
主に勧められドブロクらしき物をゴチなった。
やばい。とてもやばい味だ。
このままだと「じゃぱほれ」モードで採集にならなくなる???
「コップが気に入らなけりゃ、丼にするかい??」
さらに奥さんが追い討ちを掛けてくる。
酔っ払ってしまわないうちにソソクサと逃げ出した。
某温泉に着いてドクターKから改めて
Sさんを紹介して頂いた。
愛車は渦潮だかシューマンだかで、
車高短にワイドタイヤと洒落たアルミホィールを装備して900円くらいの車らしい。
草木が生い茂る林道にも入って行けない車の価値が
私にはイマイチ良く解らない。
趣味は磯釣りで3日も岩場に寝泊りする兵らしい。
かなり怪しい人物である。そんな人が採集にハマッテしまったらどうなる事か・・・。
車を止めるとそこに見たことの無い外車。
これまた怪しげな風貌のお兄さんが登場。続いて(蛇をも恐れぬ勇敢な)少年が一人。
すぐにピーンと来て、怪しい兄さんに近づいて45度くらいの目線でGANをたれた。
向こうも、こっちを牽制しながら怪訝そうに視線を放り込んでくる。
そうは云ってもこちらは大人が3人。
しかもブルジョワSさんはかなりの体格。
(とりあえず自分が拍車のかかったデブであることは棚に上げておく)
敵は子連れだ。
イザとなれば奴も勝ち目はあるまい。
車の中の荷物を取り出している。
やばい・・・・。さっきから
殺気を感じながらも距離を詰めていく。
「ケ!・・・・。」
敵もお返しに・・・
「ケ!・・・・。」
「ケ、け・・・」
「おー!!」
互いに口火を切った。
「kentさんですか」&「ケンケンパさん?」
「やっぱし」コワモテのお兄さんこそkent109さんだった。
メールなどで連絡を取らせて頂いてはいたが
初めてのご対面。早速挨拶も早々に採集情報の交換をさせて頂く。
途中、tubasaさんから電話が入る。
話が途中で途切れたまま、一向はその辺にうろうろ・・・。
tubasaさんにはシチュエーションが飲み込めていないので
まだまだ電話が続く。
ようやく電話を切って話の続きだ。
「かくかくしかじか・・・。」
今夜の対応に余念がない。
kentさんとご子息にお別れして
手始めに温泉を満喫して満面の笑みを口元に見せるブルジョワSさん。
しかし、外は豪雨に次ぐ豪雨、そして豪雨ゴーウ
てな感じで豪雨の谷間に大雨が降るような調子だった。
しばらくひっくり返って談話。
もう日が落ちてだいぶ経過している。
ブルジョワSさんが
「雨止んでますね・・・。」
突如出陣モードへ
「さっきの様子ではいつ雨になるか分かりませんね」
「ジャ、今夜は外灯でも」
早速外灯周りに出かけた。
最近では有名になってしまった界隈を走り回る。
「おっと先行者だ」
しばらく走って、酒屋でSさんが焼酎を購入している間に
ドクターKが懐中電灯をもって外灯探査。
自動販売機の前でアカアシ1をゲット。先行者もあってか結構渋い。
ここまで来て再度tubasaさんから電話が入った。
「どうやら○○○は雨が止みます。」直近の情報を入手した。
ドクターが車に戻ってくるのを待って今度は方向転換する事を告げる。
「今ならまだ間に合う。灯火に切り替えましょう」
時間が限られている。
単純なセットだけを車から取り出す。
ブルジョワSさんがドクターKと協力して暗闇で発電機にGASを注入する。
スタンドを立てる。水銀灯を取付け、ブラックライトSYSを出し発電機スタート。
〜 ザ、ザー 〜
雨が・・・・。
「止んだ」
〜 ザ、ザ〜 〜|==))’’’(%
「森の奥に何か光った」
ドクターKがつぶやく。こんな時間にこんな所に・・・ まさか宇宙人か??
「きたークワガタだ」
ドクターの声を遮る様に、私は傘を持って走りだし
飛行中の甲虫を地面に落とす。
何が起きたかといった様子のブルジョワSさん。
落としたミヤマをお見せする。
何度かそんな事を繰り返していると
今度は暗闇から何者かがこっちを照らしている。
やばいほんとに宇宙人か??
しかも眼鏡を掛けている。
そして急速に近づいてくる。
「ライト・・ライターさんだ」
しばし歓談。水害地区の情報などを交換する。
なんでもライターさんはボランティア活動でその地に
早くから訪ねていたそうだ。なかなか感心な話だ。
そうこうしている内に刻々とシンデレラタイムが近づいて来た。
咽喉を潤すビールも恋しい。
ブルジョワSさんはともかくドクターKは疲労の色が・・・。
ついにドクター疲労の為、下を向いて動かなくなってしまった。
霧も出て真っ白な夜空の雨を見上げるSさん。
体中が蛾だらけになって動くスクリーンを演じている。
「おや?」
ドクターが何かを拾っている。
疲労の為に動かなくなった訳ではなく
拾う為に動かなかったらしい。
そうして拾い上げた甲虫をSさんに手渡した。
「uo−・・・線が入っとえますな」
「ほんまにいますねんな」
と言ったかも・・・。本物の名古屋の言葉は正確に聞き取れていない。
オオクワを手に取ってすっかりご満悦!!
「さー片付けるぞ」とドクター。
「時間がない」
「もう1♀ぐらい、でもビールが・・・」と私。
「焼酎が・・・」とSさん。
ライターさんもお別れをして何処かのセットに消えて云った。
きっと今夜も恐ろしく人寂しい山中に居たに違いない。
幸運を祈りつつ車に荷物を運び込んで退却。
ほぼ同時に再び豪雨に見舞われた。
小振りながらピッカピカのオオクワでした。Sさん持ち帰り。
ミヤマ、アカアシなどはその場にリリース。
翌朝
「あぶないから 掴むな!」
「なぬ??」
子供が○○を生け捕りにしようとしているらしい。
再び出くわしたkentさんとご子息が見つけた○○を見に・・・。
Sさんが苦手な○○。ヤマカガシとしては、かなりのbigサイズでした。
天候が回復したかの様子で
今夜の張り場所を探しに散策を開始。
目星を付けて昼飯とする。
時間調整に風呂に入るが午後になって降り出した雨は昨日にもまして
強くなってきた。再度の豪雨に屈服して下山する。
ベースキャンプに到着してビールに焼酎など飲みながらクワ談義。
ブルジョワSさんには昔取った熊のヌイグルミと一緒に寝ていただいた。
採りたてのオオクワを大事に抱えて新幹線、飛行機を乗り継いで
Sさんは普通の生活に戻って言った。
お疲れ様でした。
Sさん、ドクター!!そしてkentさん!!