今日もドクターと共に出かけた。
前日には仕事の徹夜明けでフラフラしながら移動して
ベースキャンプに到達していたのだが
なぜか5:30には目が覚めてしまった。
普段なら寝なおしするところだが
ドクターKに電話して早めに出かけたい旨を伝える。
携帯が繋がらないので自宅へ掛ける。
>奥様が出た<
起こしてしまったらしい。
丁重に謝っておいた。
奥様の寛容な話し振りからもドクターの趣味が幅広く
受け止められている様子が解る。


今日はただの下見だ。
最近の休日はすっかりドクターに管理されており
スケジュールがギッシリ組み込まれている。
予定のコースを進む。

イワガラミがこれでもかとブナの立ち枯れを締め付けている。


山道を進むとススキを集めるジッちゃんにであった。
手前で車を止めて様子を見る。
トラックが道を塞いで進めない。
ジッちゃんが先に進んで道を空けてくれた。
その先で山の様子を見ていると再びトラックが近づいて来た。
話を聞くと地元の農家の方で集めているススキの使用目的は企業秘密らしい。
この辺に熊は出るか?と尋ねると
「熊は見ねえが、マムシはイッペ・・・。」
マムシはこの時期かなり居るらしい。
「水がチョロチョロしてるあたりには・・・」
地元の人が教えてくれる事は良く聞いておくといい。
長靴は必須アイテムだ。


あまり聞かない地域ではあるがヒメオオを探してみる。
いたいた!でも何も道具がない。車の中から傘を取り出し
ドクターに蹴りを入れてもらう事に。
おっと・・・。ヒメオオはしっかり掴みなおしてしまい全く落ちてこない。
ついには木登りをして落ち枝で叩き落としの作戦だ。

ドクターが僅か直径20cm程度しかないヤナギを2mほど登って
左手で幹を握り股間で体重を支え右手で枝を振り回した。
樹上でのドクターの3分間の格闘は実って
私の構えた傘の中に見事にキヤッチした。
何故か若い私が登らなかったのは
ご想像の通り、ただのデブだからだ。
きっとヤナギは耐えられず折れてしまう。


50mmジャストのヒメオオ。
その後も林道を歩き回ったが次々に現れるのは沿道のマムシたちだけだった。
ジッちゃんの話の通りでここだけで10匹はいた。
灯火を出来そうな場所を見つけたしついでのヒメオオは
まずまずの成果か。


少し移動して先日の下見で道端に落ちていた太い枝を
割って見ることにした。
良く見ると今年の春に落ちた物らしく
可能性が少しはありそうだった。
暑さと睡眠不足で何もしないうちに疲れていた私を見て
ドクターが一喝!
「やる気がないなら俺がやるよ」と
サクサク削る。
硬いながらも菌糸が回ったいい感じの部分がある。
半分以上は生木の状態に近い。
食痕も片方だけ出てきた。
ところが、
削っても何も出てこない。
確かに太い食痕が走っているのに・・。

「あっつ!!」
ドクターが声をあげた。
アカアシでも出たのだろうか?
ようやく出てきた成虫は案の定、赤い奴だ。

あれってば!
ぴくぴくしているそれを良く見ると
なにやらスジらしい物が
あまり大きくないが♂の羽根の特徴が出ていた。
小歯から中歯に見られるスジはオオクワだった。
残念な事にヒクヒクする腹部残して先のほうが何処かに飛んでしまって
みつからなかった。初の成虫♂だったのに・・・。


気分を取り直して下見を敢行した。
昼食をドクターにご馳走になり再び未知の道を・・・。
とても良い環境があったが
灯火の出来る場所は無い。
時間も押してきたので、帰路に着くことに・・。


いつも以上に疲れが出て睡魔が襲ってきた。
途中で某観光地で再びマムシ大勢を見て
ドクターの運転する助手席でオオクワ♂ゲットの夢を見ながら
帰る作戦だったが、実際にはマムシに囲まれた恐ろしい夢を見た。

そうそう、ジッちゃんが集めていたススキの使い道だが
サトイモの畑に埋めて肥料にするらしい。
この時期のススキが良く、秋の穂が出てしまうと
ススキ畑になってしまうので
この時期に限るらしい。企業秘密もイロイロとあるものだ。
台場クヌギも炭焼きのほか、細枝は田んぼの中に埋めて肥料にもしたと云う。
この地にはブナの台場も存在している。