3月16日

県内、北部地域へ
あーくんさんとの電話で目的地はすぐに決まった。
朝、町内の廃品回収に新聞やらダンボールなどを出して
重役出勤であーくんさん宅へと急ぐ。


しばらく採集から遠ざかっていたが久々の出勤だ。
オオだけ狙ったところでオオも採れず、たまには小型種を狙って
みたいと思い県内の有名産地へ向かう。

あーくんさんはヒメオオに挑戦と鼻息が荒い。
私はと云えば、花粉との戦いで息が上がってしまっている。
それでも今日は助手席に乗っけてもらい優雅な気分で
鼻をぬぐっているうちにあーくんさんのニューカーで
目的地へと、どんどん進んでゆく。

途中で鮎の塩焼きが目に飛び込んでくる。
そろそろお腹がすく時間帯だったが、とりあえずコンビニ目指して先を急ぐ。
ところが店が少なくなってきた。
ようやく見つけたお店で巻寿司やメンチカツなどを買い込んで
助手席で思い切りほおばる。ハンドルを握るあーくんさんは
ハンドルと寿司を握っている。


暫しクワ話をしているうちに目的地に到着した。
そそくさとあーくんさんの後をついていくと間もなくブナの立ち枯れが現れた。
すぐにサクサク、バキバキとやった。
いきなりアカアシ♂成虫が飛び出した。少し凍りついている。

根元付近を攻めていたあーくんさんも幼虫を掘り出した。
アカアシか?ヒメ?
ヒメの幼虫など屋外では見たことが無いので同定できない。
「本命ならいいね」と、希望を絶やさずサクサク、バキッ!
今度は立ち枯れの上部が倒木と化した部分を削る。


出てきた幼虫の尻は見覚えのあるアカアシだった。
それなりに太い食痕からは♂も出てきた。


そう云えば・・・。
ルリ!
今日はルリを出したかったのだった。
中でも太目の食痕を追うプログラムが自動起動してしまって
肝心なことを忘れるところだった。

軌道修正にかかる。
ところが重役出勤の代償でもう時間があまり多くない。
あーくんさんと相談もつかの間、身近な立ち枯れを再度削る事にした。

ま〜るい、ツブツブの食痕が幾筋か見える。
芯まで凍っていてなかなか硬い。
力いっぱい削ると、見つかるまえに何処かに吹っ飛んでしまいそうだし
軽く叩けば掘り進まない。
丁寧に掘り進んで行くと、やがて今回の主役が登場した。
「やっと出ました!!」
おもわず感動の初対面を果たした。
「たぶんルリです」
あーくんさんに声を掛けた。
ちなみに、ルリとコルリの判別も出来ないまま
苔むしたブナの上に主役を乗せてカメラを取り出した。

突然たたき起こされた彼は逃げ惑ってひっくり返った。
標本や写真で見るのとは一味も二味も違ってとても美しい光沢がある。
今日はここまで出掛けて来て良かった。

その後も小さい食痕を追って1匹を追加したが
これ以上欲を書かずに??
赤枯れに狙いを替える事にした。(それって欲・・・・。)
これまた経験の無いツヤハダをと残された時間で闊歩する。

思うより多くの赤枯れが見つかるが
採集者も多い場所だけあって、あちこちで削り跡が印されている。
材との相性も不明なので、おもむろにあっちでゴリゴリ
こっちでザクザクとやってみるが
らしい食痕もツヤハダの本体も見つからない。

いつの間にか元来た場所に近づいて来ると
30cmくらいの大きな茸が枝に生えていた。

帰る土壇場で、オキナワマルバネ用にと
赤枯れの土状の部分を取り出すあーくんさん。
上手く育ったら後で分けてくださいな。

風向きが変わって日が翳り始まった。
下手に頑張っていると、またまた雪男呼ばわりされそうな状態になってきた。
てな訳でここで大人しく下山することに・・・。
利き腕負傷中のあーくんさんにそのまま運転させて
すっかり助手席君になりきったケンケンパでした。


下山中、少し雪が舞って来たようだ。
「おれは雪男じゃない」とつぶやく私。

花粉に打ち勝ってルリと遭遇出来たことに感謝。謝謝。

やがて通り過ぎてきた鮎の前に来て
運転手さんが車を止めて鮎をご馳走してくれた。
冷えた身体に焼きたての鮎が嬉しかった。

あーくんさん宅で奥様に熱いコーヒーをご馳走になり
しばしクワ話をして家路についた。


あーくんさん、お疲れ様でした。
奥さん、コーヒーご馳走様でした。
鮎も美味しかったです。


至れり尽くせりの一日を過ごさせて頂きました。
そのうちにまた出掛けましょう!
すっかり、味を占めてしまった私。