2002/11/10

11月に入って、予定の日が近づいていた。
毎日のように代わる代わるTEL連絡を取りながらtubasaさん、Tさん、Mさん、Kさんと
電話とメールでオフのイメージトレーニングが続いた。
時間とともに期待が膨らんでいく。


そして迎えた当日はシベリアからの強烈な寒波と共にやってきた。
某峠を越える頃から路面の雪が目立って増えてきた。
来る途中で千葉のIさんが雪の予報でリタイヤとの事だった。
賢明と云える判断だったことはここまで来て揺ぎ無いものとなった。

それでも国道は問題なく進める状態なのでKさんと、なじみのセブンイレブンで弁当やお茶など
かって空を見上げた。今日の目的地の方向はとりあえず晴れていそうだ。



食料の調達を終えてKさんと二台の車での移動は何かと面倒なので
決めていた場所に一台を乗り捨てる予定だったので、その場所に向けて先を急いだ。
どんどん雪が降り続く。このままでは材割りどころじゃなくなるかも・・・。

数日前に現地に電話で確認した時には30cm程度降ったが殆んど解けているとの話だったので
途中の雪はおそらく昨日の夜半からの物と思われる。
難所と思われた峠を登って下りに差し掛かかる前に道路が広い部分で少し思い切って
ブレーキテストをする。この時期の路面を舐めて掛かるとろくな事にならないので
シーズン終わりまで多めに走って磨り減ったスタットレスの制動力を確認して
おくのは、とても重要な事なのだ。
「お、意外と効くじゃん!!」と独り言。
下りもこの調子で・・・。「おっと」
ほんの少し横滑りしながらも比較的スムースなコーナリングだ。
以前にFRに乗っていた時の感覚に折からの勾配で強気のスピードで突っ込んで行く。

「あっ!・・・・・。オッツ!・・・オオクワガタだ」のはずはなく
「あっ!・・・」と云う間にフロントガラス越しに素晴らしい景観が・・・。

右コーナーなのに
左の路側とその先の木々が見えたかと思ったら

「オ、オッ!」と言っている間に
次には正面、さっきまでの目的方向が、

もう一つ「オオ!」と言っている間もなく
煥発空けずに右路側の方を向いたと思ったら
今度は後ろから走ってくるKさんの車の方を向いてやっと止まった。

流石にKさんは年の功もあって慎重に
スピンした私の車の近くで止まって窓を明けると
「帰るのか?」と聞いて来た。


予定の場所に車を置いてKさんを乗せて再出発。
初夏に、こけまるさんと訪れるはずだった場所に向かった。

某国道はそれでも雪は路面にシャーベット状に湿っぽく
積もるほどではなかったが、今回から持ってきたプロトレック(カシオ)を見ながら
さらに標高を上げて行くと200mほど上がった場所から風景が一変した。
もう200mあがると・・・・。
100mで1℃違うとは云うが、こうも積雪があるとは・・・。















今度ばかりは初夏の経験があったのでバンパーを超える深さの雪に挑戦する気持ちは無く
目前の坂道を途中まで登ったところですぐに諦めを付けた。
国道から400m程度標高が高い地点だ。
少し下った所で車を停めてドアを開けると、すぐ隣に雪の表面があった。
4輪駆動ならもう少し先までは行けたかも知れないが帰りまでには雪に埋もれて
動きが取れなくなる可能性もあった。
諦めが肝心だ。
早い昼飯?遅い朝食?を食べて下山する。
例年よりも1ヶ月も早い大雪なので紅葉が終わっていないまま
樹木に降り積もった雪の重みで木々があちこちで折れていた。



















降る最中にもKさんが見つけた立ち枯れを少し削ったが古くて何も見つからなかった。
辺りを歩いて見るが他に有望な立ち枯れを見つけることは出来なかった。
雪は益々酷くなる一方で時折先が見えなくなるほどで
この環境で下見無しに発見できる確率はそうとう低いと思われた。
途中のブナの紅葉が綺麗だった。




















 


場所を変えて前回のtubasaさんとの下見の場所に向かった。
幾分標高が低いので入り口付近は雪の心配は無かったが、やはりここも
それなりの標高らしく僅かに登ると雪が路面を覆い隠している。
新雪なので何とかタイヤのグリップで急な坂道を目的の場所に向けてゆっくりと上り詰めた。

本当ならtubasaさんMさんも一緒にこの場所を攻略する予定だったが
今日の雪を予想して事前にアッタックを承諾して頂いていたので
前回発見した立ち枯れを叩く。


まずはブナの幼木を掻き分けて
落ち葉と雪、ブナの幼木で滑る足元に注意しながら
脚立を持って進む。
滑っているほうが多くてなんだかちっとも進まない。


到着と同時に早速割りに掛かる。


すると、いきなりのミミズの逆襲。
次いでキマワリ、カミキリ・・・・etc。
外道のオンパレードだがとてもカメラを取り出す気にもなれない。
Kさんも細い立ち枯れを叩いている。
何もクワガタが出ない。
樹種は不明だがブナに拘ってこれまで本命を得ていないので
今回はブナに拘らずにカワラとツリガネの生えた立ち枯れを狙ったが
なにやら湿気が多すぎてダメだ。

4mくらいの所から、下に向かって削ってみる。
やはり湿気っぽい。
下もいい部分はとても良い状態だが全く何も出ない。
現実は厳しい。

ため息をつきながら
プロトレックで確認すると、あまり方向の良い場所ではなかった。
その後も少し上ってみて辺りを見回すが雪の積もった帽子越しには十分な視界が得られない。
諦めるしかない。
尾根を越えて行くにもこれでは危険だ。

下りながらも探して歩く。
十分な視界も無い上、雪で覆われて本当に何も見えない。
Kさんに声を掛けてダメでも、もっと標高を下げましょうと提案した。
車の傍まで戻ったところで、持っていた脚立を放り投げた拍子に
滑りっぱなしの足元が不意にすくわれた。
スピンの次はステン!!
転んだ格好のままの滑降である。
5mほどの滑降で済んで良かった。
上から落ちたらひとたまりも無い。


林道に面した谷沿いの少し開けた場所でやはり前回の下見で気になっていた
キノコの生えた立ち枯れを叩いてみる。
どうやらヤナギのようだ。
表面が硬い状態だが中はフカフカだ。
これまたカミキリの幼虫などが出てくるだけでクワガタのクの字も無い。
呆れてキノコを落としてみた。
キノコは詳しくないがツキヨタケの乾燥したもののようだ。
毒キノコが生えているとクワガタも少ないのだろうか??















今日三本目の立ち枯れをやっつけたところで、雪にやっつけられてしまった。
これ以上の深入りは立ち往生になりそうだ。
雪は車高の185mmをとうに超えている。
除雪車よろしく、バンパーで雪を掻き、下り坂に助けられながら
林道を下った。


国道に出るとやはり雪は少ない。
気温も0℃とさほどの寒さではない。僅かな標高差が恐ろしく景観を変えてしまう。













時間もまだチェックインには早いので
雪と泥混じりの服を着替えて、下見がてら
本当は材割りで入りたかった場所の周辺を散策した。


降り止まない雪に後ろ髪を引かれながらも
早めに宿に着くと、先にチェックインしているはずの立川のTさんだが
部屋の鍵が開いていない。風呂にでも行っているのか?
ノックしても返事が無い。
仕方なくフロントの人にお願いして部屋の鍵を開けてもらった。
するとTさんが部屋に寝ていた!!
聞けば、もう先にビール350mmを7本も空けていると云う。

やがてtubasaさん、Mさんが揃ってこっそり食事の前に持ち込みの日本酒
tubasaさんとMさんはビールで乾杯した。
食事の最中も当然話題はクワガタ話。
部屋に戻ってクワ激論。灯下、灯火、で爆弾投下。
普段は出来ない分を一気に吐き出すように、大いに盛り上がった。
主にTさん、tubasaさんと私で劔菱(一升瓶)+ビール山ほどを空けた。
Mさん、Kさんはマイペースで飲んでいたが
tubasaさんと私が二日酔いモードに突入。
Tさんは灯火セット同様にお酒でもフルパワー振りを見せ付けて頂いた。


カーンと翌日、帰り道の風景はこんな具合。




















下界が近ずくと一変して晴天に紅葉が眩しかった。
収穫は雪と紅葉のみ、クワは無し。これだから西高東低って奴は恐ろしい。