2002/07/12〜13

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各地に猛威を振るった台風が関東を通過して天候は一時快方に向かった。
関東は猛暑となって絶好のクワ日和になるはずだった。
早速連絡が入って、灯火の用意をする。tubasaさんと今年実績を作った場所で埼玉のIさん、栃木のTさんと
灯火設営の運びとなった。しかし・・・・。
設営が終わる頃にはメチャクチャ涼しい状態に入り、10時までで僅かにミヤマをゲットしただけで灯火を畳んだ。


その後、折角来たのでという事で近隣から外灯を回る事に・・・。
いない。ここも、あそこも・・・・。
今夜の気温では殆んどなにも飛んでこないかも知れない。ましてや、昨日は台風でとんでもなく雨が降っていて
オオクワガタがどんなに頑張ったところで飛んでこられるはずは無かった。
再び場所をかえて・・・・。
悲観的な私とは対照的にIさんが入念に探し回っていた。
明るい水銀灯がいくつか纏まっているこの場所では、かつてオオクワガタの沢山の採集報告がある。
視線の先を辿ると大きな黒い点が見えるた。蛾かな??別のポイントを見に行った。
壁に沿って無数の蛾が止まっている。コクワガタにミヤマクワガタが見つかった。
戻って見ると、Iさんが見上げていたその場所で(さっき私も見ていたところで)
「あれはなんですか?」
よく見てみると、さっきは蛾か何かと思って気にも止めなかった黒点が
オオクワガタの大きな♀である事に気づいた。
「Iさんオオクワガタゲットおめでとう」
「オオクワガタに間違いないですよ」と私。
採る前からそう声を掛けた。
私が照明を担当してIさんが持っていた道具で苦労しながら採ってみると・・・。
なんと45mmはありそうな♀だった。
「でかー。」とIさん。
「これ、私が持って帰って良いですか?」
勿論です。最初に私が見逃してしまっていたのですから・・・。
くやし〜。


翌日の電話でIさんが計測したところ、やはり45mmあったとの事でした。
私の見立てはぴったし!だったのでしたが
それにしても、このサイズはめったに出ないだけに後悔然り。
ここは素直におめでとうIさん。



20002/7/13
早朝よりtubasaさんから電話が入っていた。
昨日とは打って変わって天気は上々。とのお知らせを頂いた。

東京のTさんも先日灯火でケンケンパ開拓のポイントで1♀をゲットされている。
私は同じ場で初の♂ゲットで気を良くしていたのであったが、聞けばTさんもtubasaさんも
最近は、外灯は別として灯火で♂をゲット出来ていないとの事。
Tさんもtubasaさんも灯火を極めていらしゃるが灯火の♂ゲットの道はまだまだ深いようだ。


私としてはブリードの事を考えると♀。でも♂でも一向にかまわない。
沢山のオオクワガタをゲットできればそれだけで幸せなのだ。
だけ?もないか。


tubasaさんは早めに現地入りを果たして、追いかけるように私も現地に向かった。
約束していた千葉のSさんも仕事先の東京から夕方に掛けて大移動をする。
Sさんは仕事の都合で多少遅れそうだとの連絡。場所を告げて電話を切った。
前回その場所で灯火をはじめて張った時に近くに在住の方と知り合うチャンスがあった。
民家に沿ったショボイ外灯でもオオクワガタが採れているとの情報も頂いた。
♀は採れても♂はめったに採れないとも云っていた。
そこで、「今度来るときまでに♂を持ってきます」と約束をしてあり
私は先日深夜に外灯回りのついでに約束は果たしていたが
クワガタ採りに来てお土産がクワガタと云うのも・・・。という事で
先にtubasaさんがお土産を用意しておいて頂いたが、
まずは日が落ちてしまう前に灯火のセットを急ぐ事に。


事前に作戦を練って、
今回は実績のあるポイントでtubasaさんが♂を狙ってセットしたいとの想いもあって
そこを起点に少し山奥にもう一つ灯火セットをする事にした。
共同戦線の開始だ。
早速、砂利道を伝って山奥に移動して行く。
途中は小さな川が道を遮ってしまわないようコンクリートで窪みを付けてある。
車高の低い私の2WDではなんども底を擦り付けて前に進む。
数日前の雨で普段より水も多いのだろう。
汚れの酷い車が少しは綺麗になるかも知れない。
10分くらい入った場所で早速灯火セットを張ることにした。
日暮が近いので急がなければ・・・。
私の発電機とtubasaさんの発電機の小型を使って

見やすいようにtubasaさんの持っているシートを借りて狙いの山に
スポットを当てた。セットを終えてその場を立ち去ろうとしたとき、1灯が消えてしまった。
手順の問題か?水銀灯の始動は思いのほか大きな電流が流れる為
過負荷に発電機が耐えられない場合もある。インバーターと過負荷防止が付いている
EU9であるがイッパイイッパイなのか???
過負荷なら一度に停止してしまうはず。原因が解らない。
tubasaさんに先に帰ってセットしていただき再度順番を換えて始動した。
暫く様子を見て大丈夫なのでtubasaさんのあとを追って下山した。
下りながら、夜中に独りで来るにはあまりにも寂しいところだな〜と思った。



下山するとtubasaさんが早々セットを展開中。
tubasaさんのセットの手際良さには毎回感服してしまう。
だいたいあんなに凄い量の道具がどうやって車に詰め込まれているのか?
展開後にはどうやって詰め込むのか?はtubasaさんのみぞ知る??
写真は展開中のため、部分的に撮影しています。

やがて全て点灯した頃、周辺にお住まいの方にtubasaさんが用意していたお土産を持って
二人で挨拶にお邪魔した。あとで夕涼みにお茶でもとお誘いして快く了解を頂いた。
距離がかなり離れているとはいえ、音や光は以外に遠くまで届いている事があるので
灯火セットで採集を行う場合には十分な配慮をしたいものだ。
やがてセットをに虫が集まりだした。大変な数の蜻蛉や羽蟻がリフレクターの回りに乱舞した。
ミヤマ、アカアシ、コクワなどが次々と飛来する。
暫くして、先程お邪魔した家の方が遊びにきていただいた。
先般、同じ場所で私が初めて灯火採集をしたときに話をさせて頂いた息子さんとそっくりなお父さんだ。
その後東京のTさん、そして今回のtubasaさんの灯火とだんだん強力な大御所の登場に
お父さんも、「はじめて見るな〜。」とかなり驚かれていた。
虫の話、特にオオクワガタの話では「未だに何十万円もするのか?」との質問に、
「そんな話は何時までだったのかな??」あくまで趣味の世界ので集めているだけとお話したが
お父さんも訝しげな表情だった。夏には豊かな自然を満喫して福島のいい所だけ見ているが
お話の中で、「冬には街道沿いから家に戻れない事もしばしば・・」と伺い
冬の厳しさもとても印象的な側面であった。そこに住んで見なけりゃなかなか解らない話だ。


お父さんとお話中にもクワガタが出勤してくる。
ふと近くの桜の木に目をやると、地面から50cm程度のところに小さいが艶のある♀の影が・・・。
近づいて行とスジが・・・。
さらに近づいて、確信を持って摘み上げた。
「オオクワだ」と一言。
可愛らしいサイズだが貴賓がある。やっぱりオオクワはいいな。
tubasaさんとお父さんの元に持っていった。
お父さんも「これだ」「やっぱりこれだけ凄いと、明るいとくるなー」
と言ってtubasaさんと一緒に喜んでくれている。


少し落ち着いたところで、携帯を見ると留守電が入っていた。
千葉のSさんからの電話で私たちのいる場所が解らずにいる様子だった。
電話を入れて見るが通じない。おまけに時折、二本がやっとで圏外ギリギリだ。
時間は9時を少し回っている。連絡は取れないし、そろそろ山奥のセットも確認したい。
お父さんに事情をお話してすぐにtubasaさんの車に乗り込んで山中へ。



ころが、途中まで行って見ると・・・。
夕方には問題なく通ることが出来た途中のゲートがしっかりと鍵が掛かって閉まっているではないか!!
「ガビーン!?」と云った訳ではないが
声にならない間。
tubasaさんと思わず顔を見合わせた。
・・・・・。・・・・・(泣)。
ゲートの看板に目をやると、地域の漁協の名前でゲートは夜8:00から
翌朝3:00まで閉門と書いてあった。マイッタ。

しかし次の瞬間、二人が思いついたのは漁協の人が先程のお父さんの知り合いだったりしないか?
もしそうだとすると、ゲートを一時的にも明けてもらえる可能性があるのではと云うものだった。
すぐに戻って事情をお話したところ、ゲートを明けてもらうことは無理だとの事。
週末は釣り客が来るので、釣り券の販売のために夜間は閉門しているらしい。
話の途中で息子さんが登場。
話を聞いてスクーターを貸してくれると云う。実に有り難い事だ。
地球の危機にウルトラマンが現れた!
拝むようにお礼を云って早速スクーターに跨って出発した。
当然、圧倒的にtubasaさんよりウエイトで勝っている私が運転手で車からクッションを持ってきて
tubasaさんが荷台に乗った。少しクラッチがヘタッテいてアクセル通りに先へ進まないのとアクセルを戻すと
バッテリーが上がっていてヘッドライトが蝋燭ぐらいの明るさになるがそこは文明の利器だ。
ようやく加速するとすぐに先程のゲートに着いた。
このスクーターを貸して頂けなかったらとてもこの先へ辿り着く勇気はない。
力を合わせてゲートの下へスクーターを滑り込ませた。
その拍子にエンジンがスットップして真っ暗状態。夜の林道はとっても怖い。
独りではとても行けそうに無い。


ンジンを再び始動していざ!林道へいざ!!
登りに差し掛かるとクラッチが滑り調子なのか?私が重いので馬力不足なのか?
止まり加減になるとなかなか加速しない。
まるで漫画のように二人で地面を蹴ってバタバタしながら加速していく。
暫く走ると小川のコンクリートの窪みがあってtubasaさんが飛び降りて、夏でも冷たい
水の中をバシャバシャと駆け抜けて行く。
その間私が蝋燭の明かりにならないようアクセルを煽ってライトアップする。
続いて水深は無いが砂利で凸凹した小川をスクーターで無理やり渡る。
今度は水が無いが大きな玉石のセクション。
再びちょっと急な斜面で二人地面を蹴る。
暫く走ると砂防ダムのところで林道が水滴で濡れている。
車で来た時には気がつかなっかたが霧雨のように川の水が降り注いでいる。
下の灯火ポイントと比較すると温度がかなり下がっている気がした。
それでも期待で胸を膨らませてポイントへ近づいていく。
杉の生えている場所を通過する頃ようやく明かりが見えてきた。



ちゃー。」
「また消えてるよ」
何故か再点灯したはずの400Wが・・・。
そしてルイフレクター300Wも・・・。
少しガッカリしながらもセットに近づいた。
tubasaさんが素早くスクリーンの下その回りで次々クワガタを見つける。
ミヤマが、極小のカブチンが、アカアシが、ノコがコクワが・・・・。
オオがいない。何故?
10頭程度を確認するも本命のオオクワガタとは面会できなかった。
消えてしまった水銀灯を再度点灯し直してすぐに下山する事に。
あとでもう一度確認に行くためスクーターは暫くお借りしておくことにした。



下の灯火に戻ると今度は息子さんが現れた。
その後オオクワ♀も現れた。
ここでそれまで”お預け”だったビールで乾杯することに。
上のポイントでは遭えなかったオオクワガタだが2♀確保となれば十分な成果といえそうだ。
再びいろいろな話で盛り上がった。
しかし気になっていたSさんはいったい何処に・・・。
動き回ってしまうと会えなくなる可能性もあるので諦めて暫く待つことにした。
そうこうしているうちにtubasaさんが3頭目のオオクワガタ♀を・・。

翌日の写真。
最後に飛んできた♀が少しだけ
大きかった。











やがて一台の車が近づいて来た。やっとSさん登場か?
車からいきなり3人の男性が降り立った。どうも息子さんの知り合いの様子。
車も違っていた。
温度も下がってきたが、まだクワガタが飛ぶには十分な感じだ。
かなり時間が経過して酔いも醒めてたところでSさんを探しに街道沿いまで行ってみることにした。
少し走り回って見たがそれらしい車が見つからないまま結局tubasaさんが待つポイントへ。
戻ってみると、Sがいた。私たちを探しながらも外灯で沢山のクワガタを集めてきていた。
流石だ。
いよいよ深夜となってSさんに灯火の番をお願いして外灯と山の中へ。


深夜のドライブを何度繰り返していることだろう。
何日か経過すると記憶が交錯してしてしまって訳が解らなくなる事がある。
始終こんなことをしていれば当然か?
だいぶ走って外灯ポイントへ着いた。
見慣れない車が先にそこにいた。
暗がりから出てきたその人物は
「Iさんじゃないですか?」
「さっきそこで・・・。」
いきなりのショッキングなサイズは昨日とほぼ同じ・・・。絶句。
Iさん採集の
オオクワガタ♀45.5mm
二日連続とは参りました。














暫くポイントを確認して退散した。


さっきよりは大分なれて半分ぐらいの時間で山の中の灯火ポイントへ辿り着く。
今度も水銀灯が消えていた。
クワガタは・・・。
少ないながらも、今度もそれなりに・・・。
でも、狙いのオオはいない。
気がつくと、慌ててセットした時に、EU9のガソリンコック(空気取り入れ口)を締めたままにしてあった
事に気づく。tubasaさん申し訳ない。私のミスでした。
EU9はガソリンキャップにエアー取り入れ口があるのだが、始動の祭にONにしていなかった。
途中で息継ぎが出来ずにガソリンタンクの圧力が低下してインバターの要求量に追従できなかったのだ。
情けない。ガソリンの消費も少なくなっていたに違いない。
そこで再度ONにして翌朝まで運転してみることにした。
多少は飛来の可能性が残っているし、気温が下がって飛んできたクワガタが逃げ出す可能性が
下がるので朝でも残っているに違いない。
早朝に出直してセットを片付ける事にして再度下山だ。


戻って見るとSさんも疲れて寝てしまっていた。東京からの移動でSさんもお疲れだ。
説明不十分だったのでお話をする時間もあまりなくなってしまった事が悔やまれた。
万一の盗難に備えてtubasaさんのセットをある程度畳むお手伝いをしてから少し休んだ。
翌朝5:30に山中のセットを回収して戻るとSさんもお目覚め。
昨夜の成果を確認した。
時間帯ごとにtubasaさんがケースに」取り分けていたのでケースは外灯分を入れて4ケース
がグチャグチャに入っていた。
時期的にも本番に入ってアカアシの型も良くなって来ている。
ヒメオオも1♀飛来していた。



ろそろ解散しますか?というころ。
今回はいろいろとありましたね〜。
ネタには事欠かないくらい・・・。

もう何も起こらないかと思ったら・・・。
片付けの途中でtubasaさんの車がやけに傾いてしまっている。
パンクだ。

中央の白い物体が主犯格?
完全に貫通しているようだ。
さっきの林道で落石防止の金属ネットの一部か?
Sさんも車の中から次々と多様な道具を公開。
三人掛かりでタイヤ交換をしてホッとため息。
またまた話題が増えてしまった。


共同戦と云うことで、昨夜のオオ1♀をtubasaさんに頂き、スクーターのお礼を云って現地解散となった。
Sさんバタバタしていて申し訳ありませんでした。
tubasaさんお疲れ様でした。懲りずに新規開拓またやりましょう。