2002/04/27
今日は茨城のこけまるさんと同行で南会津へ材割りに出かけました。こけまるさんは茨城県内のオオクワガタに拘りをもって採集されており、最近実績をあげられていらしゃいます。年末の材採集からずいぶんと時間が経過していた。急激に暖かい気候となっており、気持ちは既に南会津に連日トリップしていたが4/20にお会いした山菜取りに行った知り合いの話では「一般の道路は雪などなくなっているが、林道や日陰は雪が多いので4WDでも入れない」との事だった。暖かい日は一日あたり3cmのペースで雪が解けると聞き少し早いかと思いながらも、連休前の4/27に話を聞いた時点で決めていた。夢の中ではザクザクとオオクワガタを掘り出す光景と、灯火に沢山のオオクワガタの姿が交錯していた。待ちに待った週末である。
こけまるさんとの約束の駐車場に7:00に集合。さすがに気合十分でこけまるさんは早々そこに到着していたようだ。前日に栃木入りしていた私は余裕をかましてほぼ時間ぴったりでお待たせしてしまったようだった。早朝に途中の川沿いのクリークなど目を配りながら集合場所にいらしたとの事。「時間があればそこで割って来たんだけど・・・。」と流石に採集への情熱は凄いものが感じられた。今回が初対面だったが、挨拶もそこそこに、荷物を車に積み込んで近くのセブンイレブンに向かった。夏場の外灯採集では毎回ここで夕飯など買い込んでいたが一年なんてアッと云う間だ、あと2ヶ月もすると外灯や灯火の本番だ。
南会津の目的地に到着するまでの間、様々情報交換をさせて頂いた。オオクワガタ中心に採集、飼育をされているこけまるさんだが、材での飼育にもかなりの力を注いでおられ、拘りは半端ではない。榎のヒラタケ材などで型の良いオオクワガタを出されているとの事だ。ケンケンパとしては手間を省いて菌糸飼育をしており結果的にミニ大歯のオオクワガタを沢山だしてしまっているので全く歯がたたない。一部ご自身で手間をかけて集めた材をボランティア的に販売もされているので一度皆さんにもご覧頂きたい。雑菌のない部分を切り出していい部分だけを提供されているので労力と値段がバランスが取れない状態だと思われます。ケンケンパとしては、自己採集のオオクワガタの中で数を生まない或いは全く産まない個体がいるので早速こけまるさんの材を一部頂いて只今実験中なので結果は何処かで公表してみたいと思っています。
いろいろとクワ話で盛り上がっているうちに、目的地の傍に到達していた。暫くこの地のイメージを頭の中で膨らませていた私は、去年から気になっていた場所があったので目的の山の反対側から林道に入っていった。
このあたりは村の住民の皆さんの共有財産になっているらしく、ワゴンに乗った男性が車を停めて、「山菜や樹木を切らないように」と注意を受けた。クワガタの採集である旨を説明して枯れ木だけと言うことで了解を頂いた。
天気も上々だし、とりあえずシロカワラの材を割ってみたが何も出ない。全体に細い木が多く標高的にも低いのでこけまるさんと数本手をつけたが食痕が確認出来ないので早々に引越しすることにした。戻る途中に何かの動物の糞が・・・・。なんだろう?うさぎにしては大きいし・・・。ずいぶんと沢山落ちていた。
先ほどの場所をあとにしてすぐに、こけまるさんのリクエストで林道沿いの切り株を少し叩いてみるが、やはり雪のシーズンが長いので湿気がしみ込んでしまうのでクワガタの食痕は出てこない。替わりに蟻が出てきた。
回りの様子を確認しながらゆっくりと車を進める。関東ではもう夏日が訪れていると言うのにこの辺ではやっと春が来た状態なのだ。小川には沢山の雪解け水が懇々と流れている。時おり道路わきの水路いっぱいに溢れそうな雪解け水が「ゴゴ・・・。」と大きな音を立てる。
新緑が降り注ぐ太陽に勢いづいて日に日に緑を濃くしていく。とても清々しい光景が続く。どうも予想していた以上に順調なスピードで雪が解け林道の雪もすっかり溶かしてしまったようだ。安心して車を進めた。去年年末の材割りで何も採らづに帰った時に硬いので諦めたブナの立ち枯れのところまで来て、せっかくなので低いところを少し削ってみた。はじめは、こけまるさんにお任せしていたがアカアシか何かの初令が出てきたところで私も脚立も持ち出してこけまるさんに削りカスを頭から浴びせ掛ける。今度はコクワらしい幼虫が出てきた。他にも、上に伸びた食痕があったが表面が固く切り進まない上、どこかに見失ってしまい断念した。諦めて再び引越しする事に。
多少日陰に残っているが本当に雪などなくなっている。このままなら引き返す事無く峠を越えて本命の目的地に一気に進めそうである。一番高いところまで来て道路わきに多少の雪が残っていたが車幅は十分にあるのでそのまま峠を下り始めた。順調だ。あまりに順調だったので途中の様子を写真に撮ることもなかったことが後悔される。5分と進まないうちに車の前にはこんもりと溜まった雪があったが、急な下り坂でもあり片側は路面が出ているのでタイヤが埋まってしまう事無く通過していく。4輪駆動ではないが問題なさそうだ。助手席でこけまるさんが多少ビビル状態だったのも崖に面した2ヶ所程度だったと思う。
事無く車は川に沿った分岐点に到達すると山菜を採りに来ている人を見かけた。向こうも訝しげな表情でこちらをちょっとだけ見て林道の先に歩いて行く。その表情の理由はすぐに解った。もう数分で目的地に向かう道路に出られる。と、ところがだ。見ると先ほどまでの道のりとは道路の様子がひどく違っている事に気づいた。すぐ先で雪は道路をすっかり埋めてしまっている。
写真ではたいした雪には見えないかもしれないが、状況はかなり形勢不利だ。一度車を降りて、歩いて深さを確かめると続く先は大嫌いな杉の植林の為に日が射すことがなく落ちている枝で雪に突き刺して深さを測ってみたが場所によってタイヤの2/3以上の深さがある。深い場所を避けて通る事は出来ない。かなりの圧雪になってはいるが、このところの暖かさで路面近くは柔らかくどうしてもタイヤが埋まってしまいそうだ。
思わずこけまるさんと顔を見合わせてしまった。後悔先に立たずと云うがその通りだ。後戻りするにも下ってきた道路を戻るには勾配がきついので滑ってしまって登れないだろう。
タバコに火をつけながら思わずため息が出た。体重を減らしたいわけではないが、とりあえず放水してさらに考え込んだところで名案など浮んでこようはずもなく、後は覚悟を決めて突進するしかなかった。
不安いっぱいの再出発をよそに、雪解け水が谷合をさらさらと流れて行く。そろそろあきらめてスタートするか。まずは勢いを付けて第一関門を突破。左右に車体を振られながらも割りと簡単にクリアした。続いて小さな山も突破した。さてここからが気遠くなるほど遠かった。距離にしたらおよそ200m程度ではなかったか?その区間は雪に隠れていない場所がむしろ少ない。
暫く躊躇いながらも再び勢いをつけて突っ込んでみた。先の方ではさっきの山菜採りの人たちがこちらを注目している。どう考えても一度に通過できる状況でないことは十分承知のうえだ。雪に突っ込んで10mくらい進んだところで一気にスピードダウン。アクセルを踏み込んでも無残にタイヤが空回りしている。一度止まってしまえばそのままでは二度と動き出すことはなかった。
また、こけまるさんと顔を見合わせる。
結果から先に云ってしまうと、2時間余り雪との格闘となってしまった。左の写真は通り抜けた最大の難所の記念写真なのでした。
山菜採りの親切なおじさんが手助けをして頂いて、半分ぐらいまで達したのだが、重たい圧雪を退かす作業は過酷でいつまでも手伝っていただくのも忍びないので、おじさんを待っている家族の皆さんと、お知りあいの方?にお願いしてスコップを譲っていただいた。おまけにおばさんにグレープフルーツをご馳走になった。
まさに、地獄に仏の存在でした。(お名前も伺いませんでしたがその節はお世話になりました。)
親切なおじさんたちとお別れしてこけまるさんと再び除雪作業を開始。タイヤの下にブナや杉やらの枝を敷き、車体の腹を擦っている雪を退かす。そんなことを何度か繰り返しやっと目鼻がついた。同時にかなりの減量が出来た気がしたが帰ってビールを飲んだら1gと違っていなかったのは何故だろう???かくして最後の小さい橋を突破して何とか採集に・・・。今日はこけまるさんと一緒でよかった。一人で来ていればきっと死んでた。今度はスコップも積んでおこう!
フラフラになりながらも、目的地へ移動した。標高の高い場所へ行きたかったが大量に残った雪が車を受け付けてはくれない。少量の雪でも今度は入りたくなかった。途中で水芭蕉やフキノトウなど見ながら山の春を満喫しながら一服して近くのミズナラを割ってみた。やっぱり何も出ては来ない。カミキリの幼虫だけが目立つ。
いい材が見つからない。殆んほとんどが細い木ばかりだ。諦めて帰ろうとするとこけまるさんがブナの立ち枯れを見つけた。早速少し削ってみるが、まだかなり硬い。そのうち食痕を見つけて幼虫を数匹割り出した。
頭の色はまあまあだが、割り出した幼虫はアカアシに間違いないようだ。出してしまったので取り敢えずはケースへ。
その後も材の白い部分とグレーの部分を食痕を追って削って見るがオオらしいものは見つけることができなかった。
合計8匹を割り出したところで、徐々に夕暮れも近づいてきたので下山することにする。
下山を前に、こけまるさん特製の榎フレークをプリンカップに詰め込んでいただき4匹ずつ分けて其々持ち帰る事に。
疲労困憊の中で初めてのアカアシと喜んで頂けてよかった。私が判断を間違えていなかったら、雪掻きのボランティアなどして頂く事もなかったのでしたが、ごめんなさい。
でも、後を通る人の為にはなったかな?
その後も駐車場までいろいろとクワ談義をさせていただき運転する私を気遣ってお疲れのところ、ずっと起きていて頂いて助かりました。こけこさん(こけまるさんの奥さん)も優しい旦那さんできっとお幸せなのではないでしょうか。
こけまるさん今日は一日楽しくお付き合いを頂き本当に有難うございました。
結果にめげずにまた行きましょう!てな事で波乱の南会津編の終わりでした。