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past news 2006


まだ 夢の続き 2006/12/28

12月28日夜、渋谷BOXXで行われた小坂忠のデビュー40周年記念ライヴの2日目に、細野晴臣がゲスト出演した。今回、細野の出演に関する事前告知は一切なしのシークレット扱い。西海孝、ブレッド&バターと続いたライヴ中盤のゲスト・コーナーの最後に小坂が「もうひとり友達が来てくれているんです」と細野を紹介すると、客席からは一際高い拍手と歓声が上がった。「忠」「臣ちゃん」と呼び合い、子供のようにふざけあっていたという狭山での隣人生活の話なども挟んで演奏されたのは「ありがとう」と「ふうらい坊」。Inter FM『Daisy Holiday !』の編集作業が朝までかかり、わずか1時間の睡眠で会場入りした細野はほとんどリハーサルなしでステージに臨んだと思われるが、「ありがとう」では小坂から手渡されたギターを弾きながらデュエットをこなし、「ふうらい坊」では「これは弾けない。難しくて弾いたことない」と逆に小坂にギターを任せ、旧友のヴォーカルに寄り添うように声を揃えて歌った。


JB死す 2006/12/25

"Godfather of Soul"と呼ばれたソウル・ミュージックの重鎮、ジェームス・ブラウン(以下JB)が、12月25日未明(アトランタ現地時間)に亡くなった。73歳。
細野晴臣は、F.O.E(Friends of Earth)を立ち上げた1985年暮れにJBと取材で初対面。翌1986年に行われたJBの来日公演(東京、大阪)ではF.O.Eとしてオープニング・アクトを務めた。またF.O.Eは同じく1986年、JBの代表曲「Sex Machine」を、本人の参加を得てカヴァーしている。


聴きたいですとも 2006/12/05

先ごろ坂本龍一らがエイベックスグループと立ち上げたプロジェクト「commmons」と細野晴臣が、「緩やかな形で連携」していくことになる模様。『ソトコト』2007年1月号(木楽舎)に掲載の坂本のインタビュー中、commmonsについての注釈で示唆されたもの。commmonsから2007年春リリース予定の細野のトリビュート・アルバムは、その一環であるらしい。commmonsでは今後、セレクト・ショップのように音楽をコンパイルして紹介していく活動も行う方針で、記事には「細野さんの選んだ50年代アメリカンポップス集とか聴きたいでしょ?」との坂本の談話も添えられている。


アンビエント・ドライヴァーを語る 2006/11/19

11月19日夕刻、神宮前/青山ブックセンター本店にて細野晴臣の書籍『アンビエント・ドライヴァー』刊行記念トークショーが催され、細野と、同書の構成を担当した山本淑子が対談を行った。
「音楽をやり尽くした気になって真っ白に近かった」というエスクァイア誌での連載開始当時の細野の心境、お互いに見事に食い違う初対面の記憶、何度演奏しても間違える「風をあつめて」の話、ライヴでうまく演奏できない曲がだんだんできていく過程の面白さ、ほぼ日刊イトイ新聞で連載中の夢日記の話、理想的なリスニング・ルームとしての車、初めてのステレオ体験のインパクト、煙草の話、旅の記憶、どこへ行っても悩まされる過剰な「音」への不快感...。気心の知れた二人の対話は多方向に広がり、ほぼ月例で行われたという連載時の取材もこのような雰囲気であったかと想像させるものだった。
対話の中で細野は、ソロ・アルバムについて「(来年の)3月に出さなくちゃいけない。全曲歌うつもり」と発言。来年2月にリリース予定のボックス・セット『Harry Hosono Crown Years 1974-77』にも触れ、「特典の音がいろいろ入っている」と、ボーナス・トラックの収録をほのめかした。


ラテン音楽とは? 2006/10/15

10月15日午後、東上野/徳雲会館で、東京自由大学の公開講座『ラテン音楽とは?』が開かれ、細野晴臣と浜口茂外也が講師として出演した。
NHK土曜ドラマ『ウォーカーズ』の音楽の締めきりが重なって「寝ていない」細野のひとり語りから講座はスタート。「ラテン音楽はリズムの基本中の基本だが、謎の音楽でもあり、詳しくは知らずになんとなくやってきた」という細野が「人生のよろこびにあふれているのが僕にとっての音楽。ラテンにはそのいちばん大事なものがある。音楽が一色になっているいま、みんなでラテン音楽を知るのはいいこと」と指南役の浜口を招き入れる。二人の対話は、細野が大学生、浜口が高校生だった約40年前の出会い、クラウン・スタジオでの『トロピカル・ダンディ』セッション、細野のベース奏法の確立に至る変遷といった回想を経て、奥深いリズムとラテン音楽の話へ。浜口は、父・庫之助より伝わる「振り子リズム理論」をひもに結んだ5円玉を用いて実演、リズムのキープにもパワーにも「いかに力を抜くか」が重要であると説き、これには細野も「何事にも通ずる」と共感を示した。さらに浜口は、持参のCDやパーカッションの演奏を交えながら多彩なラテン音楽のバリエーションの一例を紹介。細野や聴講者が演奏に参加する場面もあった。
休憩を挟み3時間を超えたこの日の講座では、楽曲のライヴ演奏も完全ノンPAで聴けた。浜口は聴講者との質疑応答が中心となった第二部とあわせて、「Besame Mucho」(浜口:vo, conga/細野:claves)、「黄色いさくらんぼ」「愛しちゃったのよ」(いずれも、浜口:vo, g/細野:conga)を歌い、細野も1曲、「Chattanooga Choo Choo」(細野:vo, g/浜口:conga, tambourine, malakas)をラフなヴォーカルで披露した。


YANAGIBASHI 2006/10/10

今年5月に第59回カンヌ国際映画祭のショートフィルム・コーナーで上映された日仏合作の短編映画『YANAGIBASHI』(佐藤陽一郎・Margot Van Huijkelon 監督)のサウンド・パートに、細野晴臣が関与していることが明らかになった。奥村靫正のアート・ディレクションによる同作品の映画祭用ポスターに記載されたクレジットは"SOUND OBJECT presented by Haruomi Hosono"となっており、いわゆる映画音楽にカテゴライズされない実験的な仕事を想像させる。このポスターは去る10月4日に主婦の友社から発売になったWORKSHOP MU!!の作品集に「最新作」として掲載。作品集出版を記念して原宿/ドゥファミリィ美術館で開催中の展覧会(10月28日まで)にも展示されている。
映画は、短編映画に特化してネット配信・DVD販売・製作・配給を行うレーベル・openArtを手掛けるゴーギャンズ・インターナショナルが製作。「浮世絵」をめぐる約27分のミステリー作品とのことだが、日本国内での今後の上映予定などは不明である。


sonarsound tokyo 2006 2006/10/09

10月9日未明、恵比寿ガーデンプレイスで開催された『sonarsound tokyo 2006』に、YMOのラテン・カヴァー『Yellow Fever』のリリースも記憶に新しいSenor Coconut and his orchestraが出演。細野晴臣がスペシャル・ゲストとしてステージに登場した。
ラップトップのAtom HeartことUwe Schmidtを中心に、perc、b、marimba、vibraphone、sax、tp、tbの大所帯でゴージャスに演奏された「Rydeen」「Tong Poo」に続き、ヴォーカルのArgenis Britoに「ホソノサン!」と呼び込まれた細野は、開口一番「いやー、すばらしい」と感慨深げにひと言。『Yellow Fever』でもヴォーカル参加した「The Madmen」を、エッグシェーカーを振りながら歌い上げた。
特にmarimbaとvibraphoneが超絶的なテクニックを見せつけるオーケストラのパフォーマンスは目にも楽しく、単なるCDの再現を超えた魅力で聴衆にアピール。「Behind The Mask」「Ongaku」「Music Plans」「Limbo」(高橋幸宏がヴォーカルでゲスト参加)「Simoon」などのYMOナンバーだけでなく、「Tour de France」「Showroom Dummies」「Autobahn」といったクラフトワーク・ナンバーや、「Smooth Operator」「Beat It」「Smoke on The Water」という有名曲のカヴァーも織りまぜ、喝采を浴びていた。
なお、この日のライヴ映像は音楽配信サイトListen Japanで11月から有料配信される予定(Mac非対応)だが、曲目などの詳細は明らかになっていない。


津軽よいとこ 2006/10/02

10月2日未明放送のInter FM『Daisy Holiday !』で細野晴臣は、9月下旬に青森県笹館村で行われたつるとかめのレコーディングを「面白かった」と振り返り、彼の地で「モンゴロイド・ユニットをレコーディングしたいと思った」とのアイディアを漏らした。環太平洋モンゴロイド・ユニットの演奏は崔在銀監督の映画『On The Way』(2000年/日本公開は2002年)のサウンドトラックに使用された実績があるが、この音源は未発売。レコーディングが実現して音源が商品化されるとすれば、同ユニットの活動で初ということになる。
また、この日番組ではTin Pan「Flowers」の仮ミックス・バージョンが突如放送されたが、細野は「かけてから気づいた」とのことで他意はなかった模様。


来週からスイッチ・オン 2006/09/20

DVD『東京シャイネス』の発売前日の9月20日夜、記念のトーク&上映イベント『細野晴臣 オフ・OFF・トーク〜今日からスイッチ・オン〜』が、アップルストア銀座にて催された。
DVDからの抜粋で「恋は桃色」「Lotus Love」「しんしんしん」「Pom Pom 蒸気」「はらいそ」が上映された後に進行役のいとうせいこうと細野が登場。昨年9月のHMF2005で、ある意味外圧的に歌い出した細野が次第にライヴに目覚めていった過程をめぐる40分ほどのトークでは、いとうからふたつの印象的な指摘があった。ひとつは、狭山(アメリカ村)〜九段(元軍人会館)〜京大(学生運動のひとつの象徴)〜福岡(教会)という細野ライヴの移動の軌跡には、アメリカと日本の関係についての今日的な葛藤が期せずして表れているのではないか、というもの。細野は「オファーを受けていくと見えてくることがある」とこれを認め、「僕はアメリカの音楽と文化で育ったが、今のアメリカは嫌い。汲み取るものはなく、何ももらえない。この葛藤はまだ解決できない」と述べた。もうひとつは、日本に音楽フェスの文化が根付いたことで、ただ盛り上がるだけではない音楽の自由な楽しみ方がオーディエンスに生まれ、細野の静かな音楽がノスタルジーとは別の意味で自然に受け入れられているのではないか、というもの。これについて細野は「コンサートに出る側と観る側が対峙するのでなく、ミュージシャン同士が楽しみ、笑顔が生まれるような場を望んでいた。小さな会場で、と思っていたが、2000〜3000人規模でもそれができるということを教えてもらった」と答えた。またこれに関連して、「日本のライヴの音はうるさい。今の僕のテーマは『アンプリファイ(マイクやスピーカーで音を増幅すること)はいいことなのか?』」との発言もあった。
トーク終盤には、7月のフジロックでのHarry Hosono Quintetの未公開ライヴ映像から「Mr. Sandman」(細野とコシミハルの登場シーン以後)〜「Pennies from Heaven」(こちらは音声なしで映像のみ)が特別に上映され、話題は制作中であるはずのソロ・アルバムへ。決してはかばかしくなさそうな進捗状況を裏付けるスタッフの暴露コメントが笑いを誘う中、細野は「他の仕事のスケジュールが決まってて、今週はそれをやらなきゃいけない。それが終わったら自由ですから、(作業は)来週からですね。ソロを出したらライヴをやります」と宣言。客席は期待を込めた拍手に包まれた。
また細野は最後に今後の展望を問われ、「デイジーワールドのレーベルを来年再開できそう。いろんなものを出したい」として、来年のリリースに向けて2008年に生誕100周年を迎えるレイモンド・スコットのトリビュート・アルバムを構想していることを明かした。


Songs for 吉野金次 2006/08/28

8月28日夜、病に倒れた吉野金次の復帰を願う緊急コンサートが、呼びかけ人である矢野顕子の他、細野晴臣、ゆず、友部正人、井上陽水、大貫妙子、佐野元春の出演により開催された。
矢野のあとを受け2番手として登場した細野のセットには、浜口茂外也(perc, cho)、徳武弘文(g)、コシミハル(accordion)、伊賀航(b)、鈴木惣一朗(mandolin)、高田漣(dobro)、高野寛(cho, perc)といった、東京シャイネス〜Harry Hosono Quintetのメンバーのほとんどが集結。細野はアコースティックギターを手に、吉野に縁りのあるレパートリーを含め、「このメンバーでできる曲」として選んだ4曲を歌い上げた。
コンサートの最後、細野は再び矢野とステージへ。7月のフジロック以来二人で共演を重ねてきた「相合傘」「終りの季節」で、約2時間の公演のトリを飾った。
なお、同日夕方にはこのコンサートの「公開リハーサル」が行われた。細野はセットリストにない「第三の男」の途中のパートを演奏しかけて「忘れちゃった」と途中でやめたり、矢野との2曲は2テイクずつトライするなど、本番とは異なる試みも見せていた。
公開リハーサル及びコンサートの売り上げから必要経費を除いた全額は、吉野金次の治療費に充てられる。経費等の明細は後日、矢野顕子オフィシャルサイトなどで発表される予定。
この日の細野の演奏曲は以下のとおり。

細野晴臣 with 浜口茂外也・徳武弘文・コシミハル・伊賀航・鈴木惣一朗・高田漣・高野寛
01. Morgan Boogie
02. Pom Pom 蒸気
03. 暗闇坂むささび変化
04. ろっかばいまいべいびい

矢野顕子・細野晴臣
01. 相合傘  細野(b, vo)、矢野(pf, vo)
02. 終りの季節  細野(g, vo)、矢野(pf, vo)


矢野顕子×細野晴臣 2006/08/04

8月4日夜、晴海/第一生命ホールで催された『矢野顕子リサイタル2006』に細野晴臣がゲスト出演、4曲で矢野との共演を果たした。
コンサートの中盤、矢野に呼び込まれて満場の拍手の中を現れた細野は、照れくさそうにピアノの後ろを回って「おじゃまします」と着席。矢野でさえカヴァーした経験がなく、細野自身もステージで演奏するのはおよそ30年ぶりという「冬越え」の貴重なセッションにはじまり、「Hong Kong Blues」「終りの季節」と、矢野との軽妙なMCを交えつつ息の合った演奏を聴かせた。一旦退場した細野は、アンコールでも再び登場。ベースを弾きながら歌う「相合傘」での矢野とのコンビネーションは、フジロックからわずか一週間にしてさらに向上していた。
また、MCでは、脳出血のため病床にある吉野金次の復帰を願う緊急コンサートが、矢野とHarry Hosono Quintetの出演により、8月28日に開催されることが発表された。矢野の呼びかけでこのコンサートへの参加が決まった細野は、「『風街ろまん』は吉野さんがいなければできなかった」と、しみじみ語った。
この夜の細野の演奏曲は次のとおり。

01. 冬越え  細野(b, vo)、矢野(pf, cho)
02. Hong Kong Blues  細野(g, vo)、矢野(pf)
03. 終りの季節  細野(g, vo)、矢野(pf, vo)
E1. 相合傘  細野(b, vo)、矢野(pf, vo)


せっかくですから 2006/07/28

7月28日夜、新潟県苗場スキー場で初日を迎えた『FUJI ROCK FESTIVAL '06』に、細野晴臣がHarry Hosono Quintet名義で出演した。
予定の20時20分に徳武弘文(g)、浜口茂外也(perc)、伊賀航(b)がステージに現れて奏ではじめた曲は、かつてのJ-Wave『Daisyworld』サウンド・クロニクルのジングルでもおなじみの「Mr. Sandman」。その途中から細野とコシミハルが軽快なステップを踏みながら登場する(振り付けはコシミハルか)。細野自らが「カントリー・スタイル」と称した本編は、1曲めにジャズ・ヴォーカルのスタンダード「Pennies from Heaven」を据え、特に前半を細野のオールタイム・フェイヴァリットといった趣きのカヴァー曲中心に構成。「Caravan」で徳武のギターが、「Save The Last Dance for Me」で浜口のヴォーカルがフィーチャーされたのに加え、コシミハルのオリジナル「Bonne nuit minouche」もとり上げられ、「細野+サポートメンバー」という位置付け以上の、ひとつのグループとしてのパフォーマンスを印象づけた。
「Morgan Boogie」以後、細野の楽曲が並んだ後半の最大のハイライトは、細野が「せっかくですから」と、出番を終えて待機していた矢野顕子(pf, vo)を呼び込んで実現した2曲の貴重なデュエット。「世界でいちばん細野晴臣の曲を歌っている歌手」を名乗る矢野と、「アッコちゃんに歌ってもらって、曲が喜んでる気がする」という細野。フェスならではのサプライズに、ステージを見つめる観衆は興奮を隠さない。手近に矢野バージョンの「相合傘」がなかったという細野が、やむなく清水ミチコによる超絶モノマネ・バージョンを聴いて臨んだと明かし、矢野が「(完コピなので)まったく問題ありません」と応えたやりとりも会場を和ませた。
朝から心配された降雨は少量で、野外ライヴで幾度となく豪雨に見舞われてきた細野も安堵の表情。演奏は40分ほどで終了したが、自身が好きな曲・気に入っている曲・演りたい曲を揃えたように思えるレパートリーからは、歌うことも含め、音楽をさらに愉しもうとする細野の現在のモチベーションが伝わってくるようだった。
セットリストは下記のとおり。

00. Mr. Sandman  徳武(g)、浜口(perc)、伊賀(b)
01. Pennies from Heaven  細野(vo, g)、コシ(accordion)、徳武(g)、浜口(perc)、伊賀(b)
02. Hong Kong Blues  細野(vo, g)、コシ(pf)、徳武(g)、浜口(perc)、伊賀(b)
03. Caravan  徳武(g)、細野(perc, vo)、コシ(accordion)、浜口(perc)、伊賀(b)
04. Save The Last Dance for Me  浜口(vo, perc)、細野(g, cho)、 コシ(accordion, cho)、徳武(g)、伊賀(b)
05. Bonne nuit minouche  コシ(vo, accordion)、細野(g)、徳武(g)、浜口(perc)、伊賀(b)
06. Good Morning Mr. Echo  細野(vo, g)、コシ(vo, accordion)、徳武(g)、浜口(perc)、伊賀(b)
07. Morgan Boogie  細野(vo, g)、コシ(accordion)、徳武(g)、浜口(perc)、伊賀(b)
08. Pom Pom 蒸気  細野(vo, g)、コシ(accordion)、徳武(g)、浜口(perc, cho)、伊賀(b)
09. 終りの季節  細野(vo, g)、矢野(vo, pf)、コシ(accordion)、徳武(g)、浜口(perc)、伊賀(b)
10. 相合傘  矢野(vo, pf)、細野(vo, b)、浜口(perc)
E1. ろっかばいまいべいびい  細野(vo, g)、コシ(accordion)、徳武(g)、浜口(perc)、伊賀(b)


ウォーカーズ 2006/07/03

細野晴臣が音楽を担当し、カメオ出演が予定されているNHK総合・土曜ドラマ『ウォーカーズ』の制作が開始された。主演は江口洋介で11月11日スタート。四国ロケは7〜8月にかけて行われるとのことだが、細野と雲龍の参加時期は不明。


理想の映画音楽 2006/06/30

6月30日夜、渋谷/ユーロスペースで開催されていた細野晴臣関連映画の特集上映『HOSONO THEATER』が最終日を迎え、「理想の映画音楽作品」として細野がセレクトしたアニメーション映画『ベルヴィル・ランデブー』(音楽:ブノワ・シャレスト/監督:シルヴァン・ショメ)上映後のトークショーに、細野とコシミハルが出演した。『ベルヴィル・ランデブー』を選んだ理由を細野は「音楽がまず大好き。ああいう音作りは自分には考えられない。すごい人がいるなと思った」と語り、ジャンゴ・ラインハルトやジョセフィン・ベイカー、フレッド・アステアらを模したキャラクターが登場する映画冒頭の演奏シーン(音楽は映画のためのオリジナル)の魅力をコシミハルとともに賞賛。特に映画の中盤、音楽を介して登場人物が重要な出会いを果たす場面について「あのシーンがTVで紹介されているのを見て、今世紀最高の映画だと思った。ぶったまげました」と絶賛した。
聞き役の川村恭子が投げかける問いは、細野の映画音楽観や、関わってきた作品群にまつわるエピソードにも及ぶ。細野からは、「映画音楽は制約があるようで自由。創作意欲がわく。3分半のポップスを作るのがいちばん難しくて、楽しくない」、「日本の映画音楽は"お仕事"というモードが強くて、アーティスティックな音楽を知ろうとしない」「『銀河鉄道の夜』は、30曲以上の別々の音楽を求められてちょっとつらかった」「『源氏物語』は、僕がヤだとわがままを言って今回は外した。代わりに『ほしをつぐもの』を入れてもらった。あれは気に入っていたので」「音楽の少ない映画が好き。『人間の約束』のとき吉田喜重さんに、なるべく減らしましょうと言っちゃった。『銀河鉄道の夜』のトラウマです」「『メゾン・ド・ヒミコ』は監督の感覚と共鳴できたからできた。"お仕事"という感じでは、僕の場合はできない」「自分は映画音楽作家とは言えない」「映画の中ではSEも音楽。音楽だけじゃがまんできない。音効さんになりたい。それか、編集」といった発言があった。
また、好きな映画音楽作家として、細野はニノ・ロータ、モーリス・ジャールを、コシミハルはジョルジュ・オリック、ジャン・ヴィエネル(ヴィーネ、と表記されることが多い)の名前をそれぞれ挙げた。
なお、トークの中で、年内に細野が音楽を担当する映像作品の予定が2つ明かされた。ひとつは、具体的な内容は伏せられたが「映画なのかな。今どきのアニメ」。もうひとつは、お遍路をテーマにした4話完結のNHK・土曜ドラマで、細野は7月に行われるロケーション撮影に参加、雲龍(音楽制作にも参加か?)とともにカメオ出演も予定されているという。


DWWWリニューアル 2006/06/12

Daisyworld Discsのオフィシャル・サイト『Daisy World Wide Web』のリニューアル作業が、岡田崇のWebデザインにより進行中。ブログ形式を採用し、細野晴臣自身の投稿も(毎週?)予定されている。6月第4週から徐々に公開される見込み。6月12日未明放送のInterFM『Daisy Holiday !』での岡田崇との対話より。


Brother 2006/06/12

6月12日未明放送のInterFM『Daisy Holiday !』で細野晴臣が明かしたところによると、5月下旬から6月上旬にかけて来日していたアラン・トゥーサンが細野のプライヴェート・スタジオを訪れ、TVカメラが入る物々しい雰囲気の中、二人の対面が実現していた模様。レコーディングに参加するつもりで現れたトゥーサンに対し細野の楽曲準備が整わず、セッションは惜しくも見送りとなったという。その翌日には二人の対談も行われたとのことだが、スタジオでの対面風景も含め、どのメディアで発表されるのかは今のところ不明。


命名"pop'po" 2006/06/05

ビデオアーツ・ミュージックとトーンが共同で設立した新レーベル「pop'po」のネーミングが細野晴臣によるものであることが明らかになった。6月5日未明放送のInterFM『Daisy Holiday !』で細野は「いろいろ書いた中から選んでもらった」と語った。レーベルの第一弾リリースは青柳拓次のソロ・プロジェクト、KAMA AINAの『CLUB KAMA AINA』(5月24日発売)で、細野も帯にコメントを寄せている。


Calling from Nashville 2006/06/05

スティーブ・クロッパーとアメリカ/ナッシュビルでレコーディング中の忌野清志郎の新作に、細野晴臣が楽曲提供している模様。さらに、細野のデモでの仮歌を聴いたクロッパーが「この歌を使いたい」と発案、日曜の朝(5月28日か)に忌野から国際電話を受けた細野がその日のうちにヴォーカル・トラックを録音し、mp3ファイルを送ったという。6月5日未明放送のInterFM『Daisy Holiday !』での東榮一との対話より。


Waiting for Allen Toussaint 2006/05/29

エルヴィス・コステロとの共演アルバム『The River in Reverse』の日本発売に合わせて来日するアラン・トゥーサンについて、細野晴臣は5月29日未明放送のInter FM『Daisy Holiday !』で、「一緒に何かやってくれないかという依頼がある」と発言した。細野は「はっきりしない」と具体的な共演内容の明言は避けたが、トゥーサンは6月1日、原宿/Blue Jay Wayにて来日公演を2ステージ行うことが決定しており、事の成り行きが注目される。

(6月2日追記)アラン・トゥーサン公演(原宿/Blue Jay Way)への細野晴臣の出演は、2ステージともなかった模様。


Harry Hosono Quintet 2006/05/25

7月28〜30日に新潟/苗場スキー場で行われる『FUJI ROCK FESTIVAL '06』に、細野晴臣が「Harry Hosono Quintet」なるグループ名義で出演する。メンバーは細野(vo, g)の他、徳武弘文(g)、コシミハル(accordion)、伊賀航(b)、浜口茂外也(perc)。細野によると、具体的な内容は未定だが、「東京シャイネスでやったレトロなものとは違う。クインテットと名付けたので、そういう響きの音になるだろう。ソロ・アルバムへのプロセスになると思う」とのこと。
5月25日、渋谷/アップリンクでのトーク・イベントで発表があった。出演日は近日中にアナウンスされるものと思われる。


Talk about Tom Dowd 2006/05/25

渋谷/アップリンクで公開中の映画で、アメリカのレコーディング・エンジニア/プロデューサー、トム・ダウド(故人)の足跡を辿ったドキュメンタリー『トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男』に関連したトーク・イベントが5月25日夜に開かれ、当初予定されていた吉野金次に代わって、細野晴臣が急遽出演した。
マーク・モーマン監督によるこの映画の話題で久保田麻琴と盛り上がっていた矢先にイベント出演のオファーを受け、前日に鑑賞したという細野は、「知らないことばかりで圧倒された」と感想を一言。少年期にラジオで聴いて好きだったレコードのほとんどがアトランティック・レコードでダウドの手がけたものであったことや、'70年代の産物と思っていたマルチトラック・レコーディングをダウドが'50年代末に既に行っていたことなど、映画を通して得られた発見に驚きを隠さず、間接的なものも含めて「かなりの影響がある」とした。今も大事にしている一枚としてドリス・トロイ「Just One Look」のシングル盤を挙げた細野にとって、豊かな低域を特徴とするダウドのアトランティック・サウンドは感性に深く刷り込まれた「基本」であるらしい。数多くのミュージシャンやスタッフに愛されながらジャンルを超えた音楽制作に携わり、レコーディング技術の発展に貢献してきたダウドの功績について、「音楽の神様の役割に近いものを感じる。僕たちが今やってる音楽は、トム・ダウドが広げた翼の端っこにいる」と、リスペクトを惜しまなかった。
また、「マルチの魅力は出尽くしていて、トム・ダウドの時代のような発見がない。今は一回リセットをして、もう一度音を見直す"音響"の時代」といった発言もあり、エイプリル・フール〜はっぴいえんどに至る時期に2トラック→4トラック→8トラック→16トラックというレコーディングの進化に立ち会ってきた経験を持つ細野ならではの、現在進行形のサウンド観が汲み取れた。
サウンド&レコーディング・マガジン編集長、國崎晋との対話は終盤、「一説には今年」(國崎)、「二説めは来年早々」(細野)とされるソロ・アルバムの話題に。細野は昨年9月の狭山に始まり今年4月の福岡公演まで続いた東京シャイネスのパフォーマンス、さらにフリッツ・リッチモンド・トリビュートでのジョン・セバスチャンとの再会を通じ「30年かかってひとつの輪っかが閉じて、昔やってたことが回り出した」と感じたと述べ、「眠っていたものが起きた。昔やってたことを思い出しながら新しいことをやりたい。今までやってきたことの上に何ができるのか、楽しみでもある」と抱負を語った。


教授と呼んでください 2006/05/13

5月13日午後、多摩美術大学 美術学部芸術学科の講座『21世紀文化論』の第一回「これからはじまる音楽のために」が一般参加者も受け入れて催され、同学科客員教授に就任した細野晴臣が、中沢新一(同大教授/芸術人類学研究所長)とともに講師を務めた。
前半は、はっぴいえんど時代からリアルタイムに細野の音楽を聴き続けてきた中沢に導かれながら細野が自らの活動を振り返る対談形式で進む。講座のタイトルを「楽しい音楽はこれからいくらでもできる」との思いを込めて考えたという中沢は、細野と計画している新レーベルについて「この世界にはもう充分な素材がある。それを組み換え直していくことで、新しいものが次々に生まれる可能性がある、というのが基本の考え方」と説明。「問われるのは"これから"」とする細野は、出逢うはずのない異質なもの(例えばシャンソン的なものとラテンのリズム)を1930年代初頭に既に融合させていたマルティニークの音楽の再発見により「それがひとつの衝動になって、自分の中に音楽が生まれてくる」と、ソロ・レコーディングへの高まる意欲を覗かせた。
後半は細野言うところの「ショウ・タイム」。DJスタイルでiTunesからOrchestre Madinina's Band「Ti Paule」、アッティラ・ザ・フン「Loosevelt in Trinidad」、自曲「Black Peanuts」など4曲をランダムにプレイしたのに続き、アコースティック・ギターを手にとり、コシミハル(accordion, vo)を呼び入れてのミニ・ライヴがはじまった。3曲のみではあったが、Swing Slowの復活とも言うべき貴重な演奏は、立ち見の聴講者で通路まで埋まった会場を幸福感で包んだ。
なお細野自身は新レーベルのビジョンを「Web 2.0と言われる時代に音楽をどうやって世の中に出していくか。僕たちはパッケージが好きでJ-POPのシングルみたいな音楽配信に用はないが、両方二本立てでやっていければ」と語り、第一弾として、コシミハルによるフランス近代音楽の発掘〜忠実なレコーディングが来年早々のリリースを目指して進められていることを明らかにした。
また、「教授」としての今後について細野は、講座の終わりに「今度は音楽を教えたい。でも30人ぐらいじゃないと伝えられないから、分散してゼミのように」と提案した。
ライヴの演奏曲は下記のとおり。

01. Good Morning Mr. Echo
02. Bonne nuit minouche
03. Birthday Song ※ゲスト:三上敏視(medicine drum)


Petal Around The Moon 2006/04/30

4月30日夕刻から日比谷野外音楽堂で開催されたムーンライダーズ30周年記念公演『Vintage Moon Festival』の記念ブック(会場で販売)に各界関係者からのメッセージが掲載されており、大瀧詠一、大貫妙子、矢野顕子らとともに、細野晴臣が一文を寄せている。細野は自曲「Tokyo Shyness Boy」を鈴木慶一はじめムーンライダーズ・メンバーの印象から作ったことに触れつつ、「無邪気というほどピュアじゃないが、邪な心を持たないのがシャイネスの核」として「東京シャイネス」の名はムーンライダーズにこそふさわしいと述べ、稀有な長寿バンドへの敬愛を示した。


新レーベル続報 2006/04/27

多摩美術大学 芸術人類学研究所で始動する新レーベルが2007年からCDリリース開始予定であることが、4月27日付読売新聞朝刊に掲載された細野晴臣と中沢新一のインタビュー記事で明らかになった。記事によれば、レーベルはDaisyworld Discsを母体とするNPO=非営利組織として設立され、具体的なリリース内容は細野の監修により、年内に決定されるとのこと。


Daisyworld meets 芸術人類学研究所 2006/04/24

中沢新一が初代所長を務める多摩美術大学 芸術人類学研究所が音楽研究・発表の場としてレーベルを立ち上げ、同大美術学部芸術学科の客員教授でもある細野晴臣がこれに参画。細野は4月24日未明放送のInter FM『Daisy Holiday !』で、1996年以来自身のレーベルに冠してきた「Daisyworld」の名義を「そこに持っていこうかな」と語り、コシミハルにも参加を呼びかけた。この新レーベルではSP盤など埋もれた音楽遺産をリサーチしてCD化したり、新しい音楽を「今の人たちにクリエイトしてもらって」リリースしていく計画もあるという。細野は「これからずっと続きますから、音楽好きで今の時代に疲れたり希望をなくした人たちには朗報。わくわくします」と意欲をみせており、今後の展開が注目される。


さよなら東京シャイネス 2006/04/21

4月21日夜、福岡/西南学院大学ランキンチャペルにて、細野晴臣&東京シャイネス『東京シャイネス』の福岡公演が行われた。京都公演と同様に細野(g, vo)をぐるりと囲む東京シャイネスのメンバーは、向かって左から高田漣(pedal steel)、浜口茂外也(ds, perc)、伊賀航(b)、三上敏視(accordion, cho)、鈴木惣一朗(mandolin, perc, cho)、高野寛(g, perc, cho)。約3ヶ月のインターバルを経てセットリストには大きな改変が見られ、新たなレパートリーが4曲加えられた。1曲めに演奏された意表をつくインスト・ナンバー、「第三の男」(アントン・カラス)。「Black Peanuts」は一瞬マイティ・スパロウ「Jack Palance」のカヴァーかと錯覚を起こすようなアレンジで披露され、現在の細野のカリプソ熱の高さを窺わせる。「ハリケーン・ドロシー」は4月17日未明放送のInter FM『Daisy Holiday !』で鈴木惣一朗がリクエストしたナンバー。意外な選曲と言ってよいだろう「しんしんしん」は、鈴木や高田漣の熱の入った演奏と相まって一際ワイルドな印象を残した。これらの追加により、過去の公演でとり上げられていた「恋は桃色」が削られ、またメンバー紹介を兼ねていた「公開リハーサル」的な即興アレンジも今回は省かれた。
京都公演に輪をかけてリラックスした佇まいの細野は、途中に10分間の休憩を挟んだのが奏功したか、ほとんど鬼門と化していた「風をあつめて」をノーミスでクリア。「毎日弾いている」と言うだけにギターワーク全般も明らかに充実しており、力強いストローク、自在なフィンガリングには余裕さえ感じられた。
「幸せハッピー」の演奏後にスタンディング・オベーションが起こるほど熱烈に歓迎されたこの夜のパフォーマンスだが、「明日(22日)からはレコーディングに没頭する」という細野は「このメンバーでやるのはこれが本当に最後」と明言。しかし、終わりを惜しむことよりも充足感で聴衆を満たすような、質量ともに「さよならコンサート」(鈴木惣一朗の言)にふさわしいステージとなった。
東京、京都に続き、映像のカメラ・クルーが入っていたことも付記しておきたい。
セットリストは下記のとおり。

01. 第三の男
02. ろっかばいまいべいびい
03. 暗闇坂むささび変化
04. 僕は一寸
05. Lotus Love
06. モーガン・ブギ
07. Pom Pom 蒸気
08. Hi-Heel Sneakers
(10分休憩)
09. 香港ブルース
10. Black Peanuts
11. Chattanooga Choo Choo
12. ハリケーン・ドロシー
13. しんしんしん
14. 夏なんです
15. 終りの季節
16. はらいそ
E1. 風をあつめて
E2. 幸せハッピー
E3. Stella


九州地区限定 2006/04/20

九州地区で発行されている情報誌『kyushu eyes』の5月号に細野晴臣のインタビューが掲載されており、細野はここで、「肝心なことはまだ言いたくない」としながら、ニューアルバムのレコーディングについていくつかのビジョンを語っている。要点は次のとおり。

・木で作られたような、幼稚園の教室みたいな場所を借りてレコーディングしたい。今そういう場所を探している。
・浜口茂外也とリズムを作っていこうかと思う。
・生ギターを弾くのが面白くて、家で毎日弾いている。ベースのことは忘れている。

この取材は3月中旬、東京シャイネス福岡公演のキャンペーンで細野が九州を訪れた際に行われ、記事では長崎を散歩する細野の表情も併せて紹介されている。
同誌は4月20日に発売、21日の福岡公演当日には会場でも即売された(『kyushu eyes』は福岡公演に協賛している)。書店やコンビニエンス・ストアでの販売は九州地区に限られるが、バックナンバーになればインターネットでの通販が可能になる模様。詳細は下記参照。

http://www.kyushu-eyes.jp/


Fritz Richmond Tribute 2006/04/02

2005年11月に永眠したジャグ(大型のビン)奏者、フリッツ・リッチモンドの追悼ライヴ『A Jug Band Extravaganza !』が4月2日夕刻から渋谷/デュオ・ミュージック・エクスチェンジで催され、来日したジェフ・マルダー、ジョン・セバスチャン、ジム・クウェスキンのサポート役として、細野晴臣がゲスト出演した。
細野が最初に登場したのは日本のジャグ・バンド2組に続くセバスチャンのセット。「Do You Believe in Magic」などの代表曲をギターの弾き語りで聴かせてきたセバスチャンが、「1976年に日本に来た時、ある男を知って興奮し、彼のアルバムがどれも欲しくなった。全部買ったよ、細野晴臣のアルバムを。今夜は友達が来てくれたんだ。ハリー・ホソノ」と紹介。細野の出演を知らなかった観客にはまさにサプライズとなり、会場は異様な歓声に沸いた。クウェスキン(g)、マルダー(wash board)も加わり、細野のベースとともに「Daydream」が演奏されるという奇跡のようなセッションで第一部が終了。
休憩を挟んだ第二部はまずマルダーがギターを手に一人で登場し、その2曲め「Wild Ox Moan」で細野(b)とセバスチャン(g)がサポートにつく。続く「Small Town Talk」から1曲を挟み、クウェスキンが歌う「Papa's on The Housetop」、クウェスキンと麻田浩のデュエット「Guabi Guabi」まで、細野はライヴでは珍しいマリンバを担当。「Somebody Stole My Gal」で再びベースに持ち替えるも、ヘリウムガスによるマルダーの即席ムシ声が聴けた「Sweet Sue, Just You」でもマレットを握り、本編での出番を終えた。
出演者全員でのアンコールの2曲「Jug Band Music」「New Jug Band Waltz」では、細野はジャグ・バンドに欠かせない「楽器」ウォッシュ・ボード(洗濯板)を担いで現れ、演奏に参加。ここでのにこやかな笑顔に象徴されるように、この日の細野の佇まいからは、「憧れ」のミュージシャンとの共演という意味も含めて、セッションを心から楽しんでいる様子が感じられた。
フリッツ・リッチモンドの企画で制作が進められていた、ジャグ・バンドの歴史をテーマとするドキュメンタリーの制作費捻出という目的も兼ねたこのライヴは、アメリカの撮影クルーによって全編が収録されており、その映像は同ドキュメンタリーでも何らかの形で使用される模様である。


電気用品安全法に関するあらたな要望について 2006/03/23

3月23日、今月いっぱいで「猶予期間満了」となる電気用品安全法について、「ビンテージ」とされる楽器や音響機器だけではなく、2001年以前に製造されたPSEマークのない全ての中古・新古の電気製品を取締まり対象から除外するよう求める新たな要望が、50名を超えるミュージシャンや関係団体の賛同のもとで経済産業省に提出され、細野晴臣が坂本龍一、高橋幸宏らとともにその発起人に名を連ねた。同日午前中、坂本、サエキけんぞう、東儀秀樹らがこの要望に関する記者会見を行った。
細野は3月20日未明放送のInter FM『Daisy Holiday !』での佐藤博との対話の中で、同法への反対の意思を明確に示していた。
要望の詳細は演奏家権利処理合同機構ミュージック・ピープルズ・ネスト参照。


ライヴ付き講演会 2006/03/18

3月18日夕刻に立教大学池袋キャンパスで行われた同大大学院 異文化コミュニケーション研究科の公開講演会に、細野晴臣が講師として登場した。『異文化の音、自然の音−音楽を<異化>する』と題された講演はまず、はっぴいえんどからYMOを経て現在に至る細野のハイブリッドな音楽活動を、「さよならアメリカ さよならニッポン」をひとつのキーワードに、非アメリカ的なアメリカとしてのマーティン・デニー、そして非日本的な日本としての服部良一という、ふたつの「異文化」との出逢いに関連づけて読み解こうとする野田研一教授のイントロダクションからスタート。野田教授の話を受け「まな板の上の魚のつもりで来た」と登壇した細野は、占領下にMPからチョコレートを貰った記憶や、種々雑多なSP盤を夢中で聴き出した幼年期の話を通して、生まれた時から既に「異文化」に囲まれる「さよならアメリカ さよならニッポン」的状況があったとし、野田教授をして「ハイブリッド」と言わしめたこれまでの活動は、そういった時代の所産と言う他ない、との見方を示した。また、その後出逢ったバッファロー・スプリングフィールドの音楽に、伝統と広汎な影響とに裏打ちされた解析不能な魅力(スティーブン・スティルスの言う"something else")を発見し、そうした音楽のマジックを追求しようというところから、コピーの脱却=はっぴいえんどの活動が始まったことなど、創作の原点とも言うべきエピソードも改めて語られた。
8ビートと4ビートの混交が生んだロックの豊かなビートに象徴されるように、自分が魅きつけられる面白いことが起こるのは「異なるものが出逢う場」とする、「異文化コミュニケーション」というテーマを意識した発言で細野の一人語りは終了。中盤からはコメンテーターとして招かれた三上敏視と野田教授も壇上に登場して、音楽を聴きながらの進行となった。細野の私物の蓄音機でホーギー・カーマイケル「Hong Kong Blues」のSP盤を実際にかけたり、Powerbook G4でDJのように音を鳴らす中、最新の仕事として、参加を要請されているというセニョール・ココナッツ(=アトム・ハート)のYMOラテン・カヴァー『Yellow Fever』から「Tong Poo」「Rydeen」の完成前のトラックの一部を無許可で聴かせるサーヴィスぶり。
終盤には三上が環太平洋モンゴロイド・ユニットでの奉納演奏活動の話題を振り、細野が即興の悦びとともに「どう面白く見せるかじゃなくて、音楽をいかにリラックスして楽しくできるかが僕の2007年以降のテーマ。観ている人はそれを楽しむ、というのがいい」と語り出すと、話は東京シャイネス公演でとり入れられたステージ上での「公開リハーサル」へ。細野は「今やってもいいですよ」と背後からアコースティック・ギターを取り出し、思いがけずライヴ演奏が披露されることになった。細野が遊びっぽくアントン・カラス「第三の男」を爪弾いた後、三上のアコーディオンを従えてラフに歌われた「Hong Kong Blues」「Chattanooga Choo Choo」に、大教室は大きな拍手に包まれた。
なお細野は演奏開始前、ジョン・セバスチャン、ジェフ・マルダーらが来日して4月2日に開催されるフリッツ・リッチモンドの追悼ライヴ(渋谷/デュオ・ミュージック・エクスチェンジ)について、「呼ばれてるんです。行かないわけにはいかない。ベースを弾きます」と明かした。


花のナニワに来てみれば 2006/02/25

2月25日夜、大阪城ホールで開催された忌野清志郎35周年ファイナルイベント『新 ナニワ・サリバン・ショー』で、HISが結成以来初となるライヴを行った。HISの登場は、開演から約2時間が経過した20時ごろ。メイン・ステージでのGO! GO! 7188の演奏中、アリーナ席中央付近に設えられたサブ・ステージでコシミハル(accordion)、高野寛(g, cho)、浜口茂外也(perc)、吉川忠英(g)が秘かにセッティングを開始。やがてGO! GO! 7188が演奏を終え、赤い照明がサブ・ステージを照らす。同時に会場に流された「HISのテーマ」にのって、手に手を取り合った忌野、坂本冬美、細野晴臣がアリーナ右側の通路から入場する、という演出だった。3人の衣装は、アルバム『日本の人』でおなじみの学生服とセーラー服。くるぶしまで伸びた坂本のスカート丈が時間の経過を感じさせる。忌野がアコースティック・ギター、細野がフェンダー・ジャズ・ベースを手に取ると、坂本がお手を拝借、とばかりに手拍子を始め、観客席に手拍子の輪が広がるのに合わせて1曲め「パープル・ヘイズ音頭」がスタートした(坂本は途中、「花の銀座に〜」のくだりを「花のナニワに〜」と歌い替え、さりげなくサーヴィス)。ステージは5曲中3曲でメイン・ヴォーカルを務めた歌姫・坂本中心のMCを挟みながら進行。細野は手練のサポート・メンバーそれぞれの持ち味を活かしたライヴ・アレンジの核となるベースを全曲で弾いたが、「Pom Pom 蒸気」では、かなりアップテンポな演奏にのせて、テンション高めのヴォーカルも聴かせた。
忌野と豪華(そして異色)ゲストとの共演を数多く含むこの夜のショーは全体で約4時間半。BEGINのセットではHISの「日本の人」がとり上げられ、比嘉栄昇が奏でる三線の響きが効果を上げていた。アンコールでは、「ナニワ・サリバン・ショーのテーマ」「上を向いて歩こう」「雨上がりの夜空に」の3曲で出演者全員が登場し、細野もタンバリンを手に再び姿を見せた。「雨上がりの夜空に」の途中、サプライズ・ゲストの間寛平が「ア〜メ〜マ〜」と叫び、ステージ上の一同がコケるという吉本新喜劇さながらの一場面も。全員がステージに並んだ壮観に「すごいメンツだ。これは見ていたい」と主役自ら感嘆していたが、それもうなずける、ゴージャス極まりないアニバーサリー・イベントになった。
なお、終演後の会場アナウンスで、このイベントの模様が4月15日夜にNHK-BS2で放送されることが発表された。
HISのセットリストは以下のとおり。

01. パープル・ヘイズ音頭 ※vo:坂本冬美
02. Oh My Love ラジオから愛のうた ※vo:坂本冬美
03. 500マイル ※vo:忌野清志郎
04. Pom Pom 蒸気 ※vo:細野晴臣
05. 幸せハッピー ※vo:坂本冬美


Hoagy Carmichael Covers 2006/02/13

2月13日未明放送のInter FM『Daisy Holiday !』で細野晴臣は、アルバム『泰安洋行』でカヴァーした「hong kong blues」(ホーギー・カイマイケル作品)を、再度レコーディングしたいとの意向を示した。タイミングからみて今年発表予定のソロ・アルバムに収録される可能性がある。
この日の放送では、撮影終了した日本映画の劇中歌となる、やはりホーギー・カーマイケル作品の「stardust」(歌うのは映画の出演者である女優・鈴木京香)のトラックをSketch Showで制作することも発表された。映画はコンテムポラリー・プロダクション代表の信藤三雄監督作品で、竹中直人主演の『男はソレをがまんできない -The Playboy, Don't Cry !-』とみられ、今夏公開が予定されている。


HISサポート・メンバー 2006/02/08

2月25日に開催予定の『新ナニワ・サリバン・ショー』(大阪城ホール)で、HISのステージに参加するミュージシャンが次のように決定した。

コシミハル(accordion)、高野寛(g)、浜口茂外也(perc)、吉川忠英(g)
忌野清志郎のオフィシャル・サイトで発表があった。

バーディー サウンドトラックCD 2006/02/08

NHK教育で4月8日から放送が再開されるCGアニメ『南の島の小さな飛行機 バーディー』のサウンドトラックCDが発売予定であることが明らかになった。時期は未定。サウンドトラックは細野晴臣の他、コシミハル、岡田崇も担当しているという。自身も制作に参加し、楽曲も提供している木本靖夫のブログより。


HIS初ライヴのプラン 2006/01/28

2月25日に大阪城ホールで開催予定の『新ナニワ・サリバン・ショー』で、HISは4曲演奏予定であり、高野寛と浜口茂外也がサポートする模様。
1月28日、『東京シャイネス』京都公演のMCで細野晴臣が語った。


東京シャイネス 京都公演 2006/01/28

1月28日夜、京都大学西部講堂にて、細野晴臣&東京シャイネス『東京シャイネス』の京都公演が行われた。旧暦の大晦日にあたるこの日。ステージは細野の「カウントダウン・ライヴにようこそ」というMCで幕を開けた。輪になって細野(g, vo)を囲むように並んだ東京シャイネスのメンバーは、向かって左から高田漣(pedal steel)、浜口茂外也(ds, perc)、伊賀航(b)、三上敏視(accordion, cho)、鈴木惣一朗(mandolin, cho)、高野寛(g, cho)。2005年12月27日の東京公演でのセットに初演の新曲を含む2曲が追加された他、「僕は一寸」「stella」ではイントロの構成を見直して披露、また「chattanooga choo choo」の歌詞も京都までの新幹線の行程を盛り込んだ「冬の京都」篇とも呼ぶべきバージョンに生まれ変わっており、安定よりも変化を求める姿勢を改めて印象づける。恒例(?)のメンバー紹介を兼ねた「公開リハーサル」に今回選ばれた楽曲は、東京公演では演奏されなかった「hong kong blues」。「ちょっとやらせっぽいですが」と言いながらその場でコード譜を配ると「弾けないところは弾かないで。その方がうまくいくから」と絶妙な指示を出し、結果的に演奏は無難にまとまった。約1時間45分のステージを通して余裕に満ちた細野のパフォーマンスは緊張を感じさせず、高田渡との京都の思い出や、当日の早朝に見た夢の話を交えたたっぷりのMCはサーヴィス満点。関西圏のファンが待ちに待ったであろう歌声にも力が漲っていた。
なお、アンコールには東京公演に続く高遠彩子と木津茂理、そして東京・京都とオープニング・アクトを務めたKAMA AINA=青柳拓次が参加。最後の演奏曲「stella」は、前日が命日であり、西部講堂への出演経験も多かったという元ローザ・ルクセンブルグ〜ボ・ガンボスのどんとに捧げられた。
セットリストは下記のとおり。

01. ろっかばいまいべいびい
02. 暗闇坂むささび変化
03. 僕は一寸
04. lotus love
05. 恋は桃色
06. モーガン・ブギ ※新曲。 アニメ『南の島の小さな飛行機 バーディー』のための楽曲と思われる。
07. pom pom 蒸気
08. hi-heel sneakers
09. 香港ブルース ※兼メンバー紹介
10. chattanooga choo choo
11. 夏なんです
12. 終りの季節
13. はらいそ
E1. 風をあつめて ※ゲスト:高遠彩子(cho)
E2. 幸せハッピー  ※ゲスト:高遠彩子(cho)、木津茂理(cho)、青柳拓次(cho)
E3. stella ※ゲスト:高遠彩子(cho)


三木鶏郎を知ってるかい? 2006/01/18

糸井重里主宰・ほぼ日刊イトイ新聞で展開中の企画『三木鶏郎を知ってるかい?』のPART1が終了。糸井と大瀧詠一の連載対談のあとを受け、PART2からは細野晴臣と鈴木慶一が登場することが明らかになった。初回更新日は今のところ未定。


教授デビュー 2006/01/14

多摩美術大学 美術学部 芸術学科(八王子)の客員教授に細野晴臣が就任した。同大学 芸術人類学研究所長である中沢新一からのオファーを受けてのことと思われ、2005年11月14日未明放送のInter FM『Daisy Holiday !』で、細野自身が中沢から「協力要請」があったことを明かしていた。細野の就任は2005年11月16日、同学科Webサイトのニュースリリースで発表済み。細野は音楽の担当となるが、具体的なカリキュラムや講議の日程は未定となっている。

<情報協力:Clioさん>

一年の計 2006/01/09

2006年にソロ・アルバム制作を予定している細野晴臣は、1月9日未明放送のInter FM『Daisy Holiday !』で自ら「やる気まんまん」と発言。「ソロを作ったらまた違うモードですよ」として、アルバム・リリース後には『東京シャイネス』に続くソロ・ライヴを開催したいとの意欲も示した。


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