計測・制御の概要

目的

  1. 情報通信と計測・制御の仕組み及び社会におけるそれらの技術の活用について理解させる。
  2. 安全性や使いやすさを高めるための配慮が必要であることを理解させる。

内容

身近な計測・制御

生活に溶け込んでいる計測・制御の「利便性」を学習し、「改良点」、「安全性」を考える。そして「必要性」を探求できればさらによい。

指導上の留意点

コンピュータによる計測・制御

基本的なシステムについての解説である。

計測・制御の要素間を取り持つインタフェースの存在を示すが、電気回路や機構などの技術的な内容には立ち入らない。

要素の意味や役割は次のとおり。

人 間 感覚 → 神経系 → 頭脳 → 神経系 → 手足
計測・制御
システム
センサ→  インタフェース→  コンピュータ→  インタフェース→  操作部

指導上の留意点

計測・制御システムの設計

例:ライントレーサのシステム(製作して制御するなどの学習は、理解を深めるのに有効)

光センサ コンピュータ 操作部
黒線上(反射光なし) 左タイヤだけ回す指示 左タイヤ停止・右タイヤ回転
黒線外(反射光あり) 右タイヤだけ回す指示 右タイヤ停止・左タイヤ回転

指導上の留意点

感想等

「計測・制御システムの設計」の教材について

テキストp283によると、“本講座では普通教科「情報」の「情報B](4)ア,イを目標としている”と記述されている。身近な生活と関連づけた題材を主眼にするということである。また、「計測・制御システムの設計」については、p294には“授業時間によっては省略も可”とあり、指導例としてはライントレーサだけしか与えられておらず、省略するすることになりやすいと思う。

このような理由から、私自身も製作に重点を置く必要はないと思いながらも、p283に「実際に製作して制御するなどの体験をさせることは、理解を深めるのに有効である」とも記述されているので、教材となりそうなものを検索してみた。その結果が、

である。ここで詳しく述べるのは主題からずれると思われるので、よくまとまった情報源のURLを記載する。次のとおり。

生徒の課題

生徒にとって身近に感じる計測・制御といえば、テキストに載っている家電製品(電気炊飯器、冷暖房装置)であろう。そこで、次のような課題を考察してみた。

課題:インバータ

インバータは、エアコン、電子レンジなど、多くの電気製品に利用されている。直流電流から好きな周波数の交流を作る変換器のことで、主要部品は半導体スイッチ素子とマイコン。直流電流の向きを一定間隔でタイミングよく切り替えて交流を得るという原理であり、この切り替えをマイクロプロセッサにさせる。メリットは、電流の流れをきめ細かく制御できること。エアコンを例にとると、従来は電気のオン・オフで温度を調整していたが、インバータを利用すればモーターの回転が自由にコントロールできるので、微妙な温度調整が可能。省エネルギーで快適なエアコンになる。

インバータつきのエアコンを買うか低価格なもので初期投資を抑えるか、私は判断に迷うところだが、生徒にとって興味のある分野の用語の意味や機能のしくみを調べさせる実習で、さまざまな計測・制御システムを掘り起こすことができるかもしれない。

なお、同じようによく見かける「ファジー制御」ということばを調べようとすると技術的に難しくなり、まとめにくくなってしまう。本単元の趣旨としては、計測・制御の「利便性」についての学習であり、電気回路や機構などの技術的な内容には立ち入らないとなっているので、「ファジー理論により、以前では多くのICが必要だった細かい制御が1つのチップでできるようになった」という押さえで十分であろう。しかし指導者が発問時に「他の生徒に分かりやすくまとめるように」ということを強調していると、生徒が技術的な不明点を解消しようとしてしまい(その点で自分が消化できなかったことが印象に残り)、単元の目的は達しているにもかかわらず、生徒本人の達成感や満足感が感じられないという問題点を生む可能性があり、指導者は気をつけなければならないと思う。

計測・制御そのものではないが、ふと考えた...

現在の普通科高校の多くの教科の指導項目は、実生活に密着したものというよりも、義務教科を終えたあとのさらに専門的・発展的内容が多い。

それに対して、時代の必要性から新設された教科「情報」は、高度情報通信社会といわれる現状に完全に密着しており、即座に必要な内容で占められている。特に普通教科「情報」は、いたるところ「深入りしない」等の表現を用いながら、一貫して現実の社会生活が意識されている。

指導する側としては、情報手段を適切に活用する能力や健全な態度を身につけるという目標を、非常に強く意識しなければならない。

参考文献

平成13年度新教科「情報」現職教員等講習会テキスト(1) 文部科学省

高等学校学習指導要領解説 情報編 文部省

 


以上2001.10.30作成 (1行目に戻る)

 

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