JAZZ 入門 講座  

 第7回(part2) モダンジャズのミュージシャンたち (アルトサックス)


スウィング系のアルトサックス3羽ガラスといえば
  ジョニー・ホッジス(Johnny Hodges)
  ベニー・カーター(Benny Carter)
  ウィリー・スミス(Willie Smith)
ときます。
 各自、それぞれ特徴のある方々で、Duke Ellington 楽団を中心に活躍したJohnny HodgesはやはりEllington サウンズがよく似合い、Benny Carterはきらびやかな音とアンサンブルに特徴があり、そして、アルトサックスをいう楽器をもっとも卑猥に音だしをするWillie Smithとまあ、昔の人は個性が強い。Willie Smithは結局燃え尽き症候群で活動期間は短いのですが、残りのお二方は活動期間は長くモダンジャズの大物たちとも多くの競演があるので、余裕があれば聞いてみたらいいと思います。余裕たっぷりの名人芸が聞けるはずです。
 しかし、モダンジャズ以降ではアルトサックス奏者の殆どに影響を与えた人は、後にも先にもチャーリー・パーカー(Charlie Parker)なのです。テナーサックス奏者にも影響を与えているので、あらゆるサックス奏者の頂点に位置するといってもいいのではないかと思います。しかし、もともと彼はレスター・ヤングに相当影響を受けて自分のスタイルを見出しました。そう意味ではレスター・ヤングという人がどれだけ、ジャズに貢献したかということでしょう。したがって、テナー・サックスもアルト・サックスもモダンジャズにおいては根が同じ発達をしているわけです。結局、前半はチャーリー・パーカーの存在でアルトがスター、中盤からジョン・コルトレーンの存在でテナーがスターというところでしょうか?そういえば最近もアルトサックスにメジャーな人材は不足しているようです。

 アルトサックスの主な奏者は以下のとおりです。

チャーリー・パーカー(Charlie Parker) 1920〜1955
 音、フレーズ、スピード感何をとってもこの人を超える人はいないと思いますが、何度聞いてもよく分からないというのも本音。何だか分からなくてもこの人の演奏がNo.1だと思って聞くしかありません。わからなくても、他の人とは一味も二味も違うことは分かります。
 この人を理解しようとして某評論家は2週間ぐらい朝から晩まで聞きとおして、やっと分かりかけてきたというぐらいですから、われわれのように評論を飯の種にしない人は特に理解する必要はありません。分からなくても聞けるか聞けないかといえば後期コルトレーンよりはよっぽど聞くことはできます。そんなにキテレツなことはしていません。何が分からないかというと、すごさが具体的に説明できるように分からないのです。
だれもライブを聞いた人はいないし、録音もあまりよくありませんしね。
 

小説家であり、ジャズ評論家でもある村上春樹氏が誰かのCDのライナーノーツにチャーリー・パーカー一家という風に風刺してパーカー派のアルトサックス奏者のたとえ話が書いてありましたが、無茶苦茶言っている面もありますが、思わず納得してしまったのでそれをたとえに紹介します。

まずは、いとこのソニー・スティット(Sonny Stitt)
パーカーよりも前から活動していたのですが、パーカの音、フレイズにあまりにも似ているといわれたので、パーカーが生きている間はテナーサックスに切り替えて、パーカーが亡くなってからアルトに戻したという器用な人です。本人はたまたま似ていただけだといっていますが、そうなのでしょう。でも似ています。テナーでやってもアルトでやってもあまり変わらないというのもすごいものです。

長男級から
フィル・ウッズ(Phil Woods) 1931〜
 白人ですがパーカーに心酔して、何から何まで吸収しようとした人で、おまけにパーカーの未亡人とまで結婚したというお方です。長男というだけあってしっかりものですが結局親は越えられませんでした。
<推薦盤>
 Woodlore (Prestige)

以下、順番は忘れましたが、パーカーの子供たちです。

ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson) 1926〜
 村上春樹氏はよっぽどこの人が嫌いなのか無茶苦茶なたとえをしていますが、確かにパーカー派の中ではシビアな面に欠けているのかもしれません。シビアに演奏しているCDもあるのですが、どちらかというとくつろぎ系に入ってしまうので損をしていますね。そうは言うけど堂々とBlue Noteの中心的なミュージシャンなのですけどね。
<推薦盤>
 A Night at Birdland (Blue Note) - Art Blakey
 Blues Walk (Blue Note)

ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean) 1932〜2006
 パーカー派といわれつつもあまりパーカーらしくないのです。多大な影響を受けつつも自分のスタイルを模索人なのです。家出した次男坊だったかな?
どちらかというと、この人のサックスの音は名前と違ってクリーンではありません。そのクリーンでないところが渋さにつながるのですが...
<推薦盤>
 4,5,and 6 (Prestige)
 Swing, Swang, Swingin' (Blue Note)

ソニー・クリス(Sonny Criss) 1927〜1977
 ここで紹介するほど大物かと思われますが、スタートが西海岸なのと、Blue Noteに吹き込んでいないので非常に過小評価された悲劇のサックス奏者なのです。ただ、愚直に死ぬまでパーカーを追い求めた点では右に出る人はいないのではないかと思います。私的に言うと泣きのサックス奏者です。西海岸時代の演奏はパーカーを目指すあまり音数さえ多ければよかろうという感じで、スチャラカ節が少々うるさいのですが、晩年は本当に渋くなって、この哀愁管は後で言うアート・ペッパー以上です。
<推薦盤>
 Inglewood Jam パーカと競演したことで有名なレコードです。
 Saturday Morning (Muse)

以上がパーカーファミリーたち。
影響度の少ない有名人を次に紹介します。

アート・ペッパー(Art Pepper) 1925〜1982
 ある意味、チェット・ベイカーと並ぶウェストコースト(西海岸)ジャズの代表選手です。日本でも非常に人気のある人だったそうです。(今は知らない。)ただこの人はウェストコーストジャズとしては異質だったと思います。アンサンブル中心の中でこの人はアドリブを重視しています。アドリブの内容ならパーカーに次ぐ人だという人もいるくらいです。本当か嘘かは知りませんが原曲を知らなかっただけという説もあります。それでもちゃんと作品にするところはえらい。そして、どことなく漂う哀愁感これが人気の秘密です。俗に「翳りのアルト」といわれる人です。結局、この人の人生は麻薬との戦いであったような気もしますが、そういうところから翳りが出るのかもしれません。パーカーにしてもこの人にしても麻薬で命を縮めてしまったのは残念で仕方ありません。
<推薦盤>
 Meet the Rhythm Section (Contemporary)
 Living Legend (Contemporary)

ポール・デスモンド(Paul Desmond) 1924〜1977
 唯一チャーリー・パーカの影響を受けていない人といわれています。ジャズ曲ではメガヒットした“Take Five”の作曲者です。デイブ・ブルーベックカルテットのメンバーだったのです。学生さんにしか受けなかったデイブ・ブルーベックをちゃんとしたジャズコンボにしたというだけでも、ジャズメッセンジャーズを再生したベニー・ゴルソンと同じく立派な人です。パーカーに染められすぎたジャズに飽きたときこの人の世界は本当にすがすがしい。
<推薦盤>
 Time Out(Dave Brubeck Quartet)
 Take Ten (RCA)

エリック・ドルフィー(Eric Dolphy) 1928〜1964
 アバンギャルド系ジャズの奏者として有名なのです。アルトサックスだけでなくバスクラリネット、フルートも吹いていて、どちらかというとバスクラリネットの演奏のほうが印象が非常に強いのです。大物といえば大物。チャールズ・ミンガスという人が手放したくなかったというのも分かります。チャールズ・ミンガスの世界はこの人の存在があったからです。
音楽に乗るとか乗らないとかは別にして、音楽を追求していった点ではコルトレーン以上の人でこの人が長生きしていたらジャズも少し違う方向に行っていたのかもしれません。
<推薦盤>
 Out to Lunch (Blue Note)
 Out There (Prestige)

オーネット・コールマン(Ornet Coleman) 1930〜
 フリージャズの創生者であり、中心人物であるので初心者向けではないかもしれませんが、そういう人だということは覚えて置いてください。ジャズを何年も聞き込んだ今になってみればそんなにわけのわからないことはしていないことは分かりましたが、やはり初心者には難しすぎます。

<推薦盤> 初心者向きではないのでありませんが、それでも聞きたい人に
 The Shape of Jazz to Come(ジャズ来るべきもの)(Atlantic)



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